10年以上も言い続けている、「パソコンの音がヒドい」と。
「ヒドい」には2つの意味がある。1つ目は音質の悪さ。割れた音、ノイズ交じりの音にはがっかりである。
2つ目は、音量の標準がないこと。それが原因で、ウェブサイトや音付きコンテンツが好き勝手に音量を設定する。たびたびパソコンの音量を変えないといけない。
できる範囲で解決を試みて、たどり着いたのが「USBサウンドデバイス」である。端的に言うと、USBでつなぐアンプ&スピーカ/ヘッドフォンのことだ。
音を鳴らす仕組みをパソコンの外に引きずり出してしまえば、自分のやりたいようにできる。USBなので、コネクタを刺すだけで音が鳴る(多くはドライバ不要)。USB上を流れる音データはデジタルなので、パソコンのノイズから逃れやすい。
筆者は、複数のパソコンを使っているし、出先のパソコンで音を聴くこともある。いつかはパソコンを買い替える。こうした場合でも、外付けのUSBサウンドデバイスを持って行って差し替えれば、同じ条件で音を聴くことができる。個人レベルで音を標準化できると言い換えてもいい。
とっかえひっかえいろいろ使ったが、お気に入りのUSBサウンドデバイスは、ラジカセ(死語?)とヘッドセットの2つだ。
いまやメモリープレーヤー全盛だが、数年前まではMD(ミニディスク)プレーヤーだった。そんな時代の2001年に買い、いまだに現役なのが、ケンウッドのUSB付きMDプレーヤー「MDX-G7」である。MDプレーヤーなのにUSBが付いている点で異彩を放っていた。
このMDプレーヤーは、スピーカを折りたたむことができる。持ち運びに便利である。プロジェクタを設置した会議室は増えたが、音の設備がないことも多い。そんな場合には、これを持参してプレゼンテーションをしている。
残念ながら世の中的には、USBサウンドデバイス付きを魅力に感じる人は少なかったようで、競合製品が増えないまま消えつつある。壊れたときが心配だ。
じっくり音を“扱う”ときは、ソニーのUSBヘッドセット「DR-260USB」を使う。ヘッドセット(右)と操作部(左)でワンペアである。操作部には音量とミュートの調節ができる。
購入したのは2004年。使いすぎてガタがきている。この製品はロングセラーになっているので、いまでも同じものを買い求められるのがうれしい。
Skypeは「よい音質」が売りのIP電話である。Skypeの代理店が無料でイヤホンタイプのヘッドセットを配っているが、あれはダメ。受話・送話のどちらも音が悪すぎて、Skypeの印象を悪くしている。よい音のマイクとスピーカ/ヘッドフォンを使うと、会話がいきなりスムーズに進む。音が重要なのは、ウェブのテレビ会議/電話サービスにも言える。
Skypeやウェブビデオ会議では、下のプロフィール写真のようにヘッドセットを装着してパソコンに向かう。快適である。
悲しいのは、USBサウンドデバイスの選択肢が一向に増えないことだ。購買欲をそそるような目新しい新製品はもっと出てこないのだろうか?
技術系の商品や、技術そのものを“解き明かす”仕事をしています。ライターとして文字で、マーケターとして商品コンセプトや販促ツールの形で世に著わすことが多いです。「パソコンサポート」と「迷惑メール対策」を、ライフワークとしてやっています。金銭的な利益につながらないどころか、持ち出しになるのが悩みです。
【使用製品】(1)USBヘッドセット ソニー DR-260USB
(2)USB付きMDプレーヤー ケンウッド MDX-G7
【購入時期】(1)USBヘッドセット ソニー DR-260USB 2004年春
(2)USB付きMDプレーヤー ケンウッド MDX-G7 2001年春
【お気に入り度合い】パソコンを変えても、音は変えたくない。パソコンの音標準のなさ、ノイズのひどさから解放されてシアワセになりました。
【次回執筆者】鈴木哲哉さん
【次回の執筆者にひとこと】「玄箱」の本を書くかと思えば「プリント基板」の本も書く。鈴木哲哉さんはマニアックなPCライターです。しかし、もう半分があるのです。編集者出身の彼は、ワープロソフトやエディタで原稿を書くなんていうハンパなことはしません。いきなりDTPソフトで原稿を執筆し、完全版下データに仕上げて、そのまま印刷会社に入稿するのです。そんな鈴木哲哉さんが引っ張り出すガジェットに興味深々です。
【バトンRoundUp】START: 第1回:澤村 信氏(カナ入力派の必須アイテムとは?) → 第2回:朽木 海氏(ウォークマンとケータイをまとめてくれる救世主とは?) → 第3回:大和 哲氏(ケータイマニアのためのフルキーボードとは) 第4回:西川善司(トライゼット)氏(飛行機の友、安眠の友、ノイズキャンセリングヘッドフォン) → 第5回:平澤 寿康氏(出張に欠かせない超小型無線LANルータ) → 第6回:石井英男氏(いつでもどこでもインターネット接続が可能なPHS通信アダプタ) → 第7回:大島 篤氏(電卓とデジタル時計の秘密) → 第8回:荻窪 圭氏(自転車とGPSがあればどこにでもいけます) → 第9回:田中裕子(Yuko Tanaka)氏(これでクラシックもOK!究極のカナル型イヤフォン) → 第10回:佐橋慶信氏(ビジュアル・ブックマークの実践方法とは?) → 第11回:清水隆夫氏(プロ御用達の業務用GPSデジタルカメラ) → 第12回:高橋隆雄氏(傭兵たるものガジェットなど持たぬ!) → 第13回:野本響子氏(「壊れても買い続けたい」理想のロボット) → 第14回:本田雅一氏(本田雅一氏の求める条件にピッタリはまる「あのデジカメ」) → 第15回:塩田紳二氏(紙に書いて「デジタルデータ」になるアイテム) → 第16回:山田祥平氏(山田祥平氏が愛用する移動時間の必須アイテム) → 第17回:元麻布春男氏(元麻布春男氏が「感心した」ガジェット) → 第18回:鈴木淳也氏(ノートPCモバイラーに必須のアイテム) → 第19回:小山安博氏(ライフスタイルを快適にするアイテム) → 第20回:海上忍氏(最強の“心理的防音ルーム”を実現するアイテム) → 第21回:大谷和利氏(古くなっても旧くならないデジタルカメラ) → 第22回:山路達也氏(ラジオを新たなメディアに進化させる「radio SHARK 2」) → 第23回:川野 剛 氏(あと10年は使いたい頑丈なデジカメ) → 第24回:野田幾子氏(面倒を楽しませてくれるウチの亭主) → 第25回:井上真花氏(デジタルだけどアナログのよさを持つ10年選手) → 第26回:安田理央氏(録音するならコレがいい!) → 第27回:とみさわ昭仁氏(コレが「僕の人喰い映画館」) → 第28回:米光一成氏(一度味わうとやめられない便利さ) → 第29回:小野憲史氏(小型で軽量、薄暗いところもシッカリと!) → 第30回:Jo Kubota氏(いつでもどこでも自作・分解するツール) → 第31回:唯野司氏(こよなく「DSテレビ」を愛す) → 第32回:平山美江氏(ハイビジョンレコーダーで動画を120%味わい尽くす) → 第33回:龍川優氏(メタボが怖けりゃ付けてひた歩け!) → 第34回:林 信行氏(自信を持って名機と呼べる携帯電話) → 第35回:塩澤一洋氏(心をまっすぐ伝えるカメラ「GR Digital」) → 第36回:林 伸夫氏(ガジェット嫌いの私が衝動買いした「Garmin Forerunner 305」) → 第37回:川村渇真氏(古いレンズをデジタル一眼レフでも使いたい!) → 第38回:掌田津耶乃氏(思った以上に「バイオリン」) → 第39回:大重美幸氏(ラジオはジョギングトレーナー)
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