ソフト関連サービス大手のオービックの株価が、3月19日につけた年初来安値の1万5780円を底に急速に反転上昇の動きを強めている。背景には2008年3月期業績の好調な推移と、2009年3月期の収益拡大への期待感があるためだ。株価はすでに、2万円前後の水準にまで回復をみせているが、中期的には今後も株価の上昇に拍車がかかりそうだ。
同社が2008年1月に発表した2008年3月期の第3四半期(2007年4〜12月)の連結決算は、売上高353億円(前年同期比6.5%増)、営業利益104億円(同15.5%増)、経常利益136億円(同17.3%増)、純利益84億円(同14.8%増) となった。これは、若手システムエンジニアに対する徹底した営業研修により、効率の良いシステム開発が進展していることが寄与したためだ。
また、重点課題に位置付けている「製販一体体制」の強化によって、案件ごとに収益性を考慮する考え方が定着しつつあることもプラスに働いた。主力事業である統合業務ソフトウェアの「OBIC7exシリーズ」と、豊富な業種・業務別ソリューションと組み合わせたコンポーネント型ERPのシステム構築も順調な拡大をみせた。
したがって、会社側予想の2008年3月期の連結売上高496億円(前々期比8.4%)、営業利益140億円(同9%増)、経常利益180億円(同10.9%増)、純利益113億円(同10.7%増)は上方修正されることになりそうだ。
さらに、この4月からスタートした2009年3月期についても、J-SOX法の本格実施に伴う引き続く特需や、「OBIC7exシリーズ」のマイナーバージョンアップ製品として2008年の夏から新規投入が予想される「OBIC7fxシリーズ」の拡販期待や、金融業界向けの「不動産担保評価システム」の継続的な成長にも期待ができそうだ。コスト管理強化の動きが一段と高まるなかで、会計システムを中心に幅広い産業で求められ、主力ターゲットの中堅・中小企業向けの基幹システム導入への需要の伸びも期待できそうだ。
こうして、システムインテグレーション、システムサポート、オフィスオートメーションの各事業とも順調な推移が見込めることから、2009年3月期の業績は、売上高550億円(前期推定比10%増)、営業利益165億円(同17%増)、経常利益200億円(同11%増)、純利益130億円(同15%増)程度と予想され、今期も引き続き2ケタ増益の可能性がありそうだ。
オービックの株価は2006年10月に高値2万7000円をつけて以降、ほぼ一貫して下落トレンドを強いられてきたものの、ここにきて一転して上昇基調を強めている。3月19日の年初来安値1万5780円を付けて以降急ピッチの上昇をみせ、先週末18日には2万230円をつけるなど、ちょうど1カ月間で28%という高い上昇率となっている。
株価チャートの週足では、5週連続の陽線という極めて強いシグナルを示している。短期間での急上昇をしているだけに、利益確定の売りから目先的には小幅な調整も想定されるものの、中期的には2万5000円台を回復してくることも十分期待できそうだ。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス