質問、回答サイト「OKWave」を運営するオウケイウェイヴの株価が急反発基調を強めている。
2月14日に今6月期12月中間業績計画の下方修正を行ったことも影響し、株価は3月3日に2万6650円の株式上場来安値を付けていた。しかしその後、連続ストップ高を交えて急速に切り返し、4月14日には9万4500円まで上昇した。
オウケイウェイヴ株が上場するのは名古屋証券取引所の新興企業向け市場「セントレックス」。ここ、問題企業の上場廃止決定などにより、再び投資リスクが意識されている地方新興市場だ。なぜ、これまで投資家から敬遠されてきた地方新興市場銘柄のオウケイウェイヴが、ここまで人気を集めているのか。
ポータル事業とソリューション事業が収益の2本柱。ポータル事業ではQ&Aサイト「OKWave」の運営とコンテンツ提供を行う。「OKWave」は個人向けに無料でサービス提供し、広告収入を得るビジネスモデル。コンテンツ提供はOEM(相手先ブランドによる生産)形式のデータベース提供で、NTTレゾナントの「教えてgoo」や朝日新聞の「アサヒ・コム 教えて!北京五輪」など、約50社の優良顧客を抱えている。
もう一方のソリューション事業では、企業ページの「よくある質問」向けにインフラ提供を行う。サポートセンターへ寄せられた質問をデータベース化するASP(ソフト期間貸し)も提供している。
売上高、利益とも、中軸となっているのはソリューション事業。今上期ベースの売上高では約6割を占めている。ソリューションは安定的な収益の基盤となっており、足元で高成長しているのはポータル事業。ページビュー数が前年同期比約2倍のペースで伸びており、今年1月には登録者数が100万人を突破。広告収入がいよいよ本格化しつつあるとみられる。
この上期は新サービスと業務提携を相次いで発表した。2007年7月にリクエスト型動画共有サイト「OKVideo」と、在日外国人向けQ&Aサイト「OKWorld」を開設。また、ドコモのiモード向けサービスも開始している。同11月には新たな試みとして、音声Q&Aサービス「VOICE de OK」にも着手した。
また、2007年11月には米国に子会社を設立。海外戦略にも着手した。中期的には2010年に10ヶ国語、100ヶ国でのサービス提供を目指していくという。
提携戦略では、2007年10月に楽天との資本・業務提携を発表。楽天とはインフォシーク、楽天KCと取引があり、今回、資本面で追加出資を受けてより密着した関係を築いていく。そして同社株急騰の直接的なきっかけとなったのが、2008年3月11日に発表した米マイクロソフトとの資本・業務提携だ。株価はこの発表後、4営業日連続でストップ高となり、発表前から数えて18営業日連続高という、記録的な上昇を演じた。
株価は3月後半にかけて一時、利益確定売り先行となったものの、4月に入って再上昇に転じ10日に目先の高値を更新。チャート上では非常に強い上値指向を示している。
背景には、白熱しているマイクロソフトとヤフーの買収合戦が影響していると指摘される。日本の株式市場でもネット企業への買収価値が改めて認識されており、オウケイウェイヴについては既に米大手ネット企業と資本関係がある企業として、関連物色の筆頭となっているようだ。
ただ、今6月期が下方修正済みであるなど、目先の業績面には不安もある。地方新興市場上場銘柄としての不信感も底流しており、このまま一本調子の買いが続くとは考えづらい。今後は、中期的な業績拡大期待のほか、新サービスの収益寄与や楽天やマイクロソフトとの提携効果の表面化なども見定める必要がありそうだ。
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