ガジェットバトンを毎回楽しみにしている方には少々期待外れかもしれないが、今回、僕が自慢する物は何の変哲もない携帯ラジオ。世の中では通勤ラジオが密かにヒット商品らしく、まあ、そういう意味では流行り物と言えなくはない。でも自宅作業が多い僕のラジオは、流行りは流行りでもジョギングの方、ジョギング用携帯ラジオなのだ。
ジョギングならiPodがあるじゃないか?と思うだろう。実際、僕もiPodを聞いて走ることもある。でもやっぱりジョギングには携帯ラジオなのだ。その証拠に僕のジョギング用携帯ラジオは3代目で、昨年暮れに買い直したばかりだ。
僕は1日に普通10km走る。時間にすると約1時間。走るコースは茅ヶ崎海岸沿いのサイクリングロード。僕はサーフィンもやるので、日没前の約1時間、波チェックしながら走るのは2倍楽しい。
そしてジョギングを習慣化するために一役買ってくれるいつもの番組はFM横浜の「Radio Dock」だ。ラジオの良さはいくつかある。まず、ほとんどが生番組であること。海沿いを走っていて危険なのは地震が起きたときだ。走っていると地面の揺れがわからない。電柱もないので揺れる電線も見えない。道沿いには防災無線スピーカも立っているが、地元放送局の生番組のほうが確実で反応が速い。4月1日からは緊急地震速報もスタートした。
もちろん、普通のニュースや天気予報も役に立つ。DJの話がヒントとなってアイデアが閃くこともある。走っている間は脳を休める時間であり、逆に集中的に何かを考えられる時間でもあるのだ。
でもやっぱりFMラジオを聴くもっとも大きな理由はセンスある音楽だろう。TVなどの映像メディアではビデオクリップがない曲は取り上げないし、やはりどうしてもメジャー路線だ。その点、ラジオは新旧ジャンルにとらわれずに世界中から音楽を探し出し、フルコーラスで掛けてくれる。ラジオの良さはまさにココ。自分のiTunesからiPodに移した曲にこの楽しさはない。
前置きが長くなった。そろそろ僕が使っている携帯ラジオ、ソニー「SRF-M97V」を紹介しよう。商品カテゴリーで言えば通勤ラジオに入り、その形状からライターサイズラジオにも分類される。では、なぜこのラジオがジョギング用携帯ラジオとして最適なのだろうか。
まずはサイズと重さが重要だ。言うまでもなくジョギングは身軽に限る。通勤ラジオに分類される携帯ラジオにはスピーカー内蔵の名刺サイズがもっとも多いが、SRF-M97Vにはスピーカーがない。そのぶんサイズが小さく、電池も単4が1本で軽い(約58g)。サイズだけで言えばソニーはちょっと厚めのキャッシュカードサイズのラジオを作っている(約47g)。しかしこれには欠点が2つある。1つはボタン電池であること、もう1つはアナログチューナである点だ。
先にも書いたように、僕は普段は1日10km走る。月に数回は20km走や30km走もする。月間にすると150km以上。時間では15時間ぐらいだ。電池持続時間を比較すると単4電池1本のライターサイズラジオは約40時間、ボタン電池1個のカード型ラジオは約20時間で半分だ。つまりボタン電池だと毎月のように電池交換しなければならないことになる。理由は電池代だけじゃない。走っている途中で電池切れすると、音がしないイヤホンを挿したまま何キロも走ることになり、これがなんとも切なくてヘコんでしまうのだった。
もう1つ欠かせないポイント、それが周波数をプリセットでき、手軽に切り替えられるシンセサイザーチューナにある。耳で聞きながら選局するアナログチューナはジョギングに向いていない。SRF-M97Vなら、AM>FM>TVのバンド切り替えと選局はジョグレバーをクイクイッと操作するだけ。以前使っていたラジオは何かの拍子に選局ボタンが押されることがあったが、このSRF-M97Vには誤動作防止のHOLDスイッチが付いてそんなこともなくなった。
長距離を走るときは、給水ボトル、補給食、小銭、携帯電話など、持ってた方が良いとされる物が増えて悩むのだが、それでも携帯ラジオはなかなか外せない。なぜなら「がんばれ!」と絶妙なタイミングで軽快な曲が流れてくるから。ラジオは僕のジョギングトレーナーなのだ。
テクニカルライターでプログラマーでセミナー講師で商品プランナーだったり。Macintosh専門誌創刊当初からライター活動を開始し、著書は約50冊。CD-ROM制作から始まって、今はFlashコンテンツ制作なんぞもやってます。現在、Flash ActionScript 3.0入門書の続編を鋭意執筆中。
【使用製品】ソニーSRF-M97V
【購入時期】2007.11.28
【お気に入り度合い】欲を言ったらきりがないけど、本当は心拍数記録とGPS機能が欲しい。でも、とりあえず100点満点で70点。もうあと5mm薄くて80点、アンテナ感度がもっと上がれば90点。
【次回執筆者】須藤慎一さん
【次回の執筆者にひとこと】彼と出会って約25年。いったいどうやって仕込むのやら、新しいことも古いこともどんなことだって細かいとこまで執拗に知っている須藤君。インドア派に見えて実はけっこうアウトドアの強者。アウトドアが高じて軽井沢の山の中、トイレや浴室まで全面ガラス張りの超クールな家に住む才人です。ひねりのある見識を期待してます。
【バトンRoundUp】START: 第1回:澤村 信氏(カナ入力派の必須アイテムとは?) → 第2回:朽木 海氏(ウォークマンとケータイをまとめてくれる救世主とは?) → 第3回:大和 哲氏(ケータイマニアのためのフルキーボードとは) 第4回:西川善司(トライゼット)氏(飛行機の友、安眠の友、ノイズキャンセリングヘッドフォン) → 第5回:平澤 寿康氏(出張に欠かせない超小型無線LANルータ) → 第6回:石井英男氏(いつでもどこでもインターネット接続が可能なPHS通信アダプタ) → 第7回:大島 篤氏(電卓とデジタル時計の秘密) → 第8回:荻窪 圭氏(自転車とGPSがあればどこにでもいけます) → 第9回:田中裕子(Yuko Tanaka)氏(これでクラシックもOK!究極のカナル型イヤフォン) → 第10回:佐橋慶信氏(ビジュアル・ブックマークの実践方法とは?) → 第11回:清水隆夫氏(プロ御用達の業務用GPSデジタルカメラ) → 第12回:高橋隆雄氏(傭兵たるものガジェットなど持たぬ!) → 第13回:野本響子氏(「壊れても買い続けたい」理想のロボット) → 第14回:本田雅一氏(本田雅一氏の求める条件にピッタリはまる「あのデジカメ」) → 第15回:塩田紳二氏(紙に書いて「デジタルデータ」になるアイテム) → 第16回:山田祥平氏(山田祥平氏が愛用する移動時間の必須アイテム) → 第17回:元麻布春男氏(元麻布春男氏が「感心した」ガジェット) → 第18回:鈴木淳也氏(ノートPCモバイラーに必須のアイテム) → 第19回:小山安博氏(ライフスタイルを快適にするアイテム) → 第20回:海上忍氏(最強の“心理的防音ルーム”を実現するアイテム) → 第21回:大谷和利氏(古くなっても旧くならないデジタルカメラ) → 第22回:山路達也氏(ラジオを新たなメディアに進化させる「radio SHARK 2」) → 第23回:川野 剛 氏(あと10年は使いたい頑丈なデジカメ) → 第24回:野田幾子氏(面倒を楽しませてくれるウチの亭主) → 第25回:井上真花氏(デジタルだけどアナログのよさを持つ10年選手) → 第26回:安田理央氏(録音するならコレがいい!) → 第27回:とみさわ昭仁氏(コレが「僕の人喰い映画館」) → 第28回:米光一成氏(一度味わうとやめられない便利さ) → 第29回:小野憲史氏(小型で軽量、薄暗いところもシッカリと!) → 第30回:Jo Kubota氏(いつでもどこでも自作・分解するツール) → 第31回:唯野司氏(こよなく「DSテレビ」を愛す) → 第32回:平山美江氏(ハイビジョンレコーダーで動画を120%味わい尽くす) → 第33回:龍川優氏(メタボが怖けりゃ付けてひた歩け!) → 第34回:林 信行氏(自信を持って名機と呼べる携帯電話) → 第35回:塩澤一洋氏(心をまっすぐ伝えるカメラ「GR Digital」) → 第36回:林 伸夫氏(ガジェット嫌いの私が衝動買いした「Garmin Forerunner 305」) → 第37回:川村渇真氏(古いレンズをデジタル一眼レフでも使いたい!) → 第38回:掌田津耶乃氏(思った以上に「バイオリン」)
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