古いレンズをデジタル一眼レフでも使いたい!--お気に入りガジェットバトン第37回

古いレンズがデジタル一眼レフでも使える「マウントアダプタ」

 デジカメが登場してから、休止中だった写真の趣味が復活した。デジタル一眼レフを購入して使い始めたものの、レンズの写りがシャープすぎて面白くない。最近のレンズは優秀すぎて、レンズの写りに味がないと感じてしまったのだ。古いレンズをデジタル一眼レフでも使いたい。そんな要望をかなえてくれるのが、今回紹介するマウントアダプタである。

マウントアダプタで古いレンズを装着

 カメラに詳しい人ならご存じと思うが、フィルム時代からマウントアダプタは存在した。たとえば、ニコンのレンズをキヤノンのボディに付けるとか。もちろん、マウント部分の形状が異なるので、そのままでは装着できない。マウントの形状を変換する機械的な部品がマウントアダプタだ。無限遠までピントが合う組み合わせのアダプタが以前から売られている。

M42マウントのレンズをEOSボディに付けるアダプタ M42マウントのレンズをEOSボディに付けるアダプタ

 このマウントアダプタが、デジタル一眼レフでも使える。マウントの種類によって装着できるレンズの多さが違う。一番多いのがフォーサーズ(オリンパスとパナソニック)、次に多いのがキヤノンのEOSで、それ以外はかなり少ない。少しでも多くの古いレンズを使いたいなら、フォーサーズまたはEOSのボディが適する。

M42マウントのAUTO-ALPA 50mm F1.7 MACROをEOS Kiss Digital Xに付けた状態。撮影時の操作は面倒になるが普通に写せる M42マウントのAUTO-ALPA 50mm F1.7 MACROをEOS Kiss Digital Xに付けた状態。撮影時の操作は面倒になるが普通に写せる

 機械的に装着するだけなので、ピント合わせはMF(マニュアルフォーカス)になるし、手動で絞り込んでからの撮影になる。手順が増えて少し大変なので、面倒くさがりには向かない。でも、古いMFレンズが使える点が大きな魅力だ。現代の優秀なレンズとは異なり、独特の味わいを持ったレンズが数多く存在する。普通に評価すれば写りの悪いレンズだが、変わった雰囲気を演出する道具としては非常に魅力がある。私の作品を何点か見ていただければ、少しは理解していただける……と思う。

作品1「緑の頂上へ」M42マウントのSMC TAKUMAR 50mm F1.4を使用。柔らかくて美しいぼけが魅力 作品1「緑の頂上へ」M42マウントのSMC TAKUMAR 50mm F1.4を使用。柔らかくて美しいぼけが魅力
作品2「ツツジのオーラ」M42マウントのTokina AT-X120 60-120mm F2.8を使用。柔らかい写りがオーラの感じを生み出す 作品2「ツツジのオーラ」M42マウントのTokina AT-X120 60-120mm F2.8を使用。柔らかい写りがオーラの感じを生み出す
作品3「光の親子」エキザクタマウントのSoligor Telephoto 135mm F2.8を使用。光のにじみが雰囲気を演出 作品3「光の親子」エキザクタマウントのSoligor Telephoto 135mm F2.8を使用。光のにじみが雰囲気を演出
作品4「未来へ」エキザクタマウントのP. ANGENIEUX 50mm F1.5を使用。周辺部の放射状の流れが未来へ向かう動きを強調 作品4「未来へ」エキザクタマウントのP. ANGENIEUX 50mm F1.5を使用。周辺部の放射状の流れが未来へ向かう動きを強調
作品5「夢心地」M42マウントのSIGMATEL 135mm F1.8を使用。ハイライト(明部)の周囲に広がるフレアーが夢見る雰囲気を作り出す 作品5「夢心地」M42マウントのSIGMATEL 135mm F1.8を使用。ハイライト(明部)の周囲に広がるフレアーが夢見る雰囲気を作り出す

 デジタル一眼レフで古いMFレンズを使うと、露出が正しくない現象が発生する。デジタルなら撮影直後に結果が確認できるため、そのばで露出を補正すれば済む。このような使い方ができるので、フィルム時代よりもデジタル時代に向いた道具と言えるかも知れない。

 実際に使う上で一番問題となるのが、ピント合わせのしづらさ。普及タイプのデジタル一眼レフは、光学ファインダーの倍率が低いのに加え、フォーカシングスクリーンが良くないので、ピントの山がわかりにくい。使いやすく改良するためには、スクリーンを交換が望ましい。私が使っているE-330もEOS Kiss Digital Xも、スクリーンをミノルタX-700用アキュートマットに交換した。どちらも各カメラ用の改造されたもので、ヤフオクで売られている。

フォーカスエイドが使えるアダプタも登場

 ただの機械部品が何でデジタルのガジェットなの?と突っ込まれそうなので、最新事情も紹介しよう。アダプタに特殊な電子部品を付け、AF(オートフォーカス)レンズだとカメラをだます製品が登場している。もちろんAFは使えないが、ピントが合ったときにカメラ側で合致表示をしてくれる。いわゆるフォーカスエイドが使えるのだ。

電子部品が付いたアダプタで、ペンタックスKマウントのレンズをEOSに付けるタイプ 電子部品が付いたアダプタで、ペンタックスKマウントのレンズをEOSに付けるタイプ

 このタイプのアダプタは、EOS用が最初に登場して普及しはじめ、最近ではフォーサーズ用とソニーα用も登場した。残念なことに、新タイプのアダプタはカメラ量販店ではまだ売っておらず、オークションのヤフオクやeBayに出品されているだけのようだ。電子部品が付いても高価ではないので、気軽に買えるだろう。入手経路が一般的ではないにしても、入手可能となった状況は良いと思う。

 マウントアダプタは奥が深い。マウントが合っていても装着できないレンズがあるし、装着したら外れなくなる組み合わせもある。使用に際しては注意が必要なので、インターネット上で詳しい情報を調べてから使うのが安全だろう。もし古いレンズの写りが好きなら、これほど楽しい道具はない。私は完全にハマってしまい、古いMFレンズでの撮影比率が全体の99%を越えた。もう手放せない。

川村渇真氏プロフィール

フリーランスのシステムコンサルタントとライターという二足のわらじで活動中。ライターとしては、いろいろなものを工夫して使いこなす原稿が得意。三足目のわらじとして、写真関連の仕事を加えようと検討している。


【使用製品】

いろいろなメーカーのマウントアダプタ。日本製で有名なのは、近代インターナショナルやエレフォト。
・近代インターナショナル:http://www.kindai-inc.co.jp/mount.htm
・エレフォト:http://elefoto.hp.infoseek.co.jp/


【購入時期】

2004年3月~


【お気に入り度合い】

これと古いレンズがなくては写真を撮る気がしない。

【次回執筆者】

掌田津耶乃さん


【次回の執筆者にひとこと】

次回の「ガジェット・バトン」は、何事にもこだわって面白い使い方を得意する掌田津耶乃さん。ユニークなガジェットを紹介してくれそうなのでお願いした。

【バトンRoundUp】

START: 第1回:澤村 信氏(カナ入力派の必須アイテムとは?) → 第2回:朽木 海氏(ウォークマンとケータイをまとめてくれる救世主とは?) → 第3回:大和 哲氏(ケータイマニアのためのフルキーボードとは) 第4回:西川善司(トライゼット)氏(飛行機の友、安眠の友、ノイズキャンセリングヘッドフォン) → 第5回:平澤 寿康氏(出張に欠かせない超小型無線LANルータ) → 第6回:石井英男氏(いつでもどこでもインターネット接続が可能なPHS通信アダプタ) → 第7回:大島 篤氏(電卓とデジタル時計の秘密) → 第8回:荻窪 圭氏(自転車とGPSがあればどこにでもいけます) → 第9回:田中裕子(Yuko Tanaka)氏(これでクラシックもOK!究極のカナル型イヤフォン) → 第10回:佐橋慶信氏(ビジュアル・ブックマークの実践方法とは?) → 第11回:清水隆夫氏(プロ御用達の業務用GPSデジタルカメラ) → 第12回:高橋隆雄氏(傭兵たるものガジェットなど持たぬ!) → 第13回:野本響子氏(「壊れても買い続けたい」理想のロボット) → 第14回:本田雅一氏(本田雅一氏の求める条件にピッタリはまる「あのデジカメ」) → 第15回:塩田紳二氏(紙に書いて「デジタルデータ」になるアイテム) → 第16回:山田祥平氏(山田祥平氏が愛用する移動時間の必須アイテム) → 第17回:元麻布春男氏(元麻布春男氏が「感心した」ガジェット) → 第18回:鈴木淳也氏(ノートPCモバイラーに必須のアイテム) → 第19回:小山安博氏(ライフスタイルを快適にするアイテム) → 第20回:海上忍氏(最強の“心理的防音ルーム”を実現するアイテム) → 第21回:大谷和利氏(古くなっても旧くならないデジタルカメラ) → 第22回:山路達也氏(ラジオを新たなメディアに進化させる「radio SHARK 2」) → 第23回:川野 剛 氏(あと10年は使いたい頑丈なデジカメ) → 第24回:野田幾子氏(面倒を楽しませてくれるウチの亭主) → 第25回:井上真花氏(デジタルだけどアナログのよさを持つ10年選手) → 第26回:安田理央氏(録音するならコレがいい!) → 第27回:とみさわ昭仁氏(コレが「僕の人喰い映画館」) → 第28回:米光一成氏(一度味わうとやめられない便利さ) → 第29回:小野憲史氏(小型で軽量、薄暗いところもシッカリと!) → 第30回:Jo Kubota氏(いつでもどこでも自作・分解するツール) → 第31回:唯野司氏(こよなく「DSテレビ」を愛す) → 第32回:平山美江氏(ハイビジョンレコーダーで動画を120%味わい尽くす) → 第33回:龍川優氏(メタボが怖けりゃ付けてひた歩け!) → 第34回:林 信行氏(自信を持って名機と呼べる携帯電話) → 第35回:塩澤一洋氏(心をまっすぐ伝えるカメラ「GR Digital」) → 第36回:林 伸夫氏(ガジェット嫌いの私が衝動買いした「Garmin Forerunner 305」)

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