モバイル向けソフト開発大手のシステムプロが好調な第1四半期の連結決算を発表した。これをキッカケに年初来安値圏で低迷状態にある株価に、反転上昇への期待感が高まっている。
システムプロは、3月5日に2008年10月期の第1四半期(2007年11月〜2008年1月)の連結決算を発表した。売上高19億800万円(前年同期比13.9%増)、営業利益3億2300万円(同2.4%増)、経常利益3億6000万円(同7.7%増)、純利益2億2400万円(同34%増)となった。7月中間期の業績予想に対する第1四半期の進捗率は、売上高で約40%、営業利益で約42%と高水準の実績となった。
第1四半期の決算が好調な結果となったのは、主力のモバイル・ネットワーク事業の売上高が予想を上回る好調な推移をみせているためだ。モバイルのキャリア間や端末メーカー間でのシェア争いが激化する一方で、メーカー各社は付加価値を高めることが求められる中、多機種戦略を進めている。
こうした業界環境の変化を追い風として、機種ごとに作成する仕様設計書作成業務や、品質検査業務は機種数に比例して増大している。この結果、豊富な経験と高い技術力が必要とされることから、こうした業務を行えるアウトソーシングについて、ベンダーが非常に少ないという実情ある。その中でも同社は多くの移動体通信キャリアやメーカーから品質やコンプライアンス体制について高い評価を得ていることから、同社の受注は順調な推移をみせている。このモバイル・ネットワーク事業の第1四半期の連結売上高は13億2500万円(同31.6%増)と高い伸びを維持している。
同社は、独立系の中堅ソフト開発会社で、携帯電話などモバイル向けのソフト開発が売上高の約60%以上を占めている。同社の大きな特徴として、営業利益率が20%台と同業他社(平均7〜8%程度)の中では非常に高い利益率を保っている点だ。主要キャリアのNTTドコモ、au、ソフトバンクモバイルの3社からほぼ均等に着実な受注を得ているところに強みがある。
2008年10月期通期の連結業績予想は、売上高110億800万円(前期比39.7%増)、営業利益20億4800万円(同28.4%増)、経常利益21億100円(同35.1%増)、純利益12億400万円(同41.9%増)と好調な推移を見込んでいる。
同社の株価は、業績好調にもかかわらず、2007年12月10日に高値9万8500円をつけて以降、下落トレンドをたどっており、今年に入っては7万円水準を軸とした小幅なボックス推移で、依然として下値模索の状態が続いている。しかし、連結PERは13倍台と割安水準にあることから、今回の第1四半期の好決算をキッカケに、株価が反転上昇に向かい、比較的短期間に8万円台に乗せ、中期的には10万円台に乗せてくることも十分に期待できそうだ。
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