バイオ燃料普及に黄信号 「E3方式」独立系GSだけ協力 大阪府と沖縄・宮古島

FujiSankei Business i.2008年02月19日 11時27分

 大阪府や沖縄県宮古島市で2007年度から本格的に始まったバイオエタノールの実証実験で、ガソリンに3%のバイオエタノールを直接混合する「E3」に協力するガソリンスタンド(GS)が独立系のみにとどまっていることが18日、分かった。大手石油元売り各社の系列GSが、別方式でのバイオエタノール普及を目指す石油連盟に配慮しているためで、このままではE3方式での供給を見込む各地のバイオエタノール生産計画にも影響を与えかねない。

 全国約10カ所で行われているE3方式の実験のうち、大手系列のGSも対象に含めて本格的に実験しているのは、大阪府と宮古島市。大阪府の場合は建築廃材を使って、宮古島市の場合はサトウキビの廃棄物を使ってバイオエタノールを地元で生産して供給している。

 しかし、大阪府でE3の給油に協力しているGSは、石油元売りの系列に属さない独立系の6店だけ。大阪府では20年度以降も協力店舗を増やしたい意向だが、「系列店でE3を販売すると、元売り会社からガソリンの調達ができなくなるようで、独立系にしか協力を期待できそうにない」(地球環境課)という。

 宮古島市も「バイオエタノール・アイランド」構想と銘打ち、宮古島にある19カ所のGSすべてでE3による給油の方針を掲げた。だが、今年度から始まった実証実験で協力を得られたのは独立系の4店のみ。宮古島市からは「系列のGSは元売り各社からの圧力で参加しにくそうだ」との声が漏れる。

 石油連盟が推進しているのは、バイオエタノールを加工した添加物「ETBE」をガソリンに混ぜる方式。「水の混入に弱いE3方式はGSでのガソリン管理に神経を使う必要があるが、ETBEの場合はその必要がない」ためだ。

 しかし、ETBE方式は製油所で混合させる必要があるため、宮古島のようにバイオエタノールを地元で小規模生産するケースには不向き。石油業界を所管する経済産業省でさえ「E3方式は、少量のバイオエタノールを生産地近辺で消費する地産地消に向いている」としている。

 政府は地球温暖化対策の一環として、10年度に50万キロリットルのバイオ燃料の消費を目標にしている。だが、このまま独立系GSでしかE3の給油ができなければ、E3方式による消費拡大は見込めず、環境省では「バイオエタノールの将来の生産、供給量に影響が出かねない」と頭を痛めている。

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