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ISP対策と広告モデルがデジタル音楽の今後となるか?

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 1月末、南仏リゾート地のカンヌで恒例の音楽業界の年次イベント「MIDEM(Marche international du Disque, de L'Edition Musical et de La Video Musique)」が開かれた。4大レコードレーベルをはじめ、音楽業界の関係者が集う世界最大の音楽見本市だ。テーマは今年もデジタル。だが、暗いトンネルの終わりはまだ見えてはいない--そんな雰囲気のまま、5日間の会期を終えたようだ。

 MIDEMで最大の話題となったのはデジタルだ。まずは初日の1月27日、ベンチャー企業の米Qtraxが合法、無料の音楽ダウンロードサービスを大々的に発表し話題を振りまいた。携帯電話メーカー英Sony Ericssonも音楽配信事業本格化に向け、Sony BMG、Warner Music Groupなど10社と提携したことを発表した。同社は今後、自社音楽サービス「PlayNow Arena」で楽曲ダウンロードサービスを展開する計画だ。

 Qtraxの無料、合法サービスは広告収入により運営される。広告モデルは、その直前に発表された米CBS傘下英Last.fmの広告ベース無料ストリーミングサービスに次ぐものとなる。だが、その後「Qtraxとは契約していない」と反論したWarnerなどレコードレーベルの反応を見ると、レコードレーベル側は必ずしもこのモデルを好んでいないことがわかる。

 事実、デジタル音楽関連サービスが発表される一方で、課題も大きく取り上げられた--違法ダウンロードだ。

 英国ベースの音楽業界団体、国際レコード連盟(IFPI)はMIDEMの前の週にデジタル音楽に関する年次レポートを発表、デジタル音楽市場の成長率を40%としながらも、違法ダウンロードを大きな課題とし、ISPに取り締まりへの協力を呼びかけている。また、フランス文化省がデジタル時代の著作権を管理する目的で新設した機関、ARMT(Autorite de regulation des mesures techniques)の代表者、Jean Berbinau氏はMIDEMで、フランスでは今年夏にもISPが違法ダウンロード取り締まりに協力する法が可決する見通しであると語った。これは、フランス大統領が昨年明らかにした方針を規制化するもので、ISPはフィルタリング技術を導入してユーザーのトラフィックを監視する。違法ダウンロードが認められたユーザーに対し、2回までは電子メールにて警告した後、3回目にはアクセスを遮断するというものだ。MIDEMではこのほか、人気バンドU2のマネージャーも、ISPによる違法ダウンロード対策を呼びかけている。

 ここで書くまでもないことだが、違法ダウンロードは1990年代終わりのNapsterからずっと続いている問題だ。IFPIによると、著作権を侵害したファイルのやりとりはISPの全トラフィックの80%を占めるという。違法音楽ファイルは合法のトラフィックの20倍ともいう。

 MIDEMでは、対策としてのISPのフィルタリングとビジネスモデルとしての広告モデルという方向性が見えたようでもあるが、前者はプライバシー問題にも波及しそうで即解決策にはなりそうにない。デジタルでいかにして収益をあげるのか--新しい課題ではないが、音楽業界全体はいまだに明確な答えを見つけられていない。

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