台頭する新たなユーザータイプ--2008年韓国IT市場展望

 「韓国のIT市場の成長率は2007年(3.7%)より上昇し、4.6%になる見込み」。これは韓国IDCによる、2008年の韓国IT市場の展望だ。同社は2007年12月に「2008年 韓国IT市場展望セミナー」を開催し、2008年の展望を発表した。

 これによると、2008年には世界的にも景気の不確実性からIT投資が鈍化する見込みで、成長率も2007年の6.9%から5.5〜6.0%にとどまるという。韓国のIT市場規模は15兆1300億ウォン規模。ハードウェア市場の下落が続き、ソフトウェアやサービス分野が市場を主導するという。韓国市場における2007年比の成長率はハードウェアが1.7%、ソフトウェアが8.3%、サービスが6.1%との展望だ。

 ところで日本でも郵政公社が採用するなどして注目度が増している「SaaS(Software as a Service)」。これは韓国でも注目度が高く、2008年にはより多様なサービス提供モデルが登場するという。

 こうした流れの中で、異なる領域のIT事業が合わさるなどして、効率性や柔軟性に優れたサービス形態がより多様化していくと、韓国IDCは予想している。また機能や性能の高度化に比例して、扱い方が複雑化していたIT製品が、単純化される傾向も強まるという。この代表的例が、老若男女誰でも操作しやすく親しみやすいソフトウェアで人気を得た「Nintendo DS」だ。LG経済研究所では、単純化された使いやすい機能や製品を好むユーザー層を「アーリーアダプター」に対比して「スローアダプター」と呼び、この層が新たな消費者の主役に台頭してきていると述べた。

 このほか世界的に注目されているのが「グリーンIT」だ。これは電力消費や温暖化ガスの排出を抑えるなど、地球環境に配慮したIT製品や設備のことを指す。米国の調査会社であるGartnerでは、2008年の「戦略的技術的トレンド トップ10」の1位としてグリーンITを選出している。

 このグリーンIT、韓国での認知度や実行度などはまだまだ高いとは言えないのが現状だが、グローバル企業を中心に、少しずつ取り組みが始まっている。たとえばSun Microsystemsからは、移動型データセンター「ブラックボックス」が登場した。これはコンテナに内蔵されたデータセンターで、従来の8分の1という大きさに収められている。冷却装置は水冷式で、電力消費をおさえた効率的な冷却を実現。二酸化炭素の排出量も最小化している。熱交換器もファンと冷却水を利用し、既存の冷却装置よりも最大40%高い効率での冷却が可能だ。

 韓国企業の事例では2007年10月、Samsung電子がLCDパネルの全製品に対する「PVCフリー宣言」を行った。PVC(Poly Vinyl Chloride)は絶縁性に優れたプラスティックの一種だが、廃棄後の償却改定で有害物質が排出されるため環境汚染問題をも抱えている。同社ではPVCをこれまで、LCDのランプワイヤーやなどに使用してきたという。しかし今後はPVCの代わりにPE(Poly Ethylene)を使用していく方針だ。

 Samsung電子では2003年から「エコパートナー認証制」を実行し、2007年2月からは「統合廃棄物管理システム」も運用している。欧州連合の「RoHS(Restriction of the Use of Certain Hazardous Substances in Electrical and Electronic Equipment)」に代表されるような環境に配慮する製品の規制は、世界的な動きとなっているが、Samsung電子のように世界へ向けて製品を輸出している企業では大変敏感に反応せざるを得ない分野といえよう。

 韓国政府の環境部では2008年から「電気・電子製品および自動車の資源循環に関する法律(環境循環法)」を施行している。これは電気製品や自動車に関して、有害物質の使用をおさえリサイクルを促す目的で制定されたものだ。鉛や水銀など有害物質の含有基準などを定め、この遵守状態を公表したりするといったことを義務付けた法律だ。

 地球環境に優しいITという側面は、実際に環境を保全することのほかに企業イメージの向上効果も見込める。以前であれば、機能の多さや性能の高さ、デザインや操作性の優秀さがIT製品を評価する1つの指標となっていたが、最近はこれらとは別の面からのアプローチも必須となってきている。それが環境面や、顧客ごとの細かな必要性や要求に合わせたサービスである。

 こうして見るとIT製品の真価をはかる基準は、単純に高性能、多機能というものから、無駄や悪影響がどれほど少ないかや、企業の環境への取り組みといった、総合的な評価がなされるよう方向へ変わってきているようだ。2008年には韓国はもちろん、世界的にこうした流れがいっそう強まることが予想され、企業では対応に迫られそうだ。

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