今回のテーマは「60、70歳代におけるパソコン利用とセキュリティに関する調査」。
ここ数年、巧妙化するコンピュータウイルスやフィッシング詐欺。「ウイルス対策ソフトの適切な運用」や「詐欺などの手法に関して知識を有すること」で、被害を受けるリスクを低減することができるといわれている。今回、60、70歳代のパソコン利用者に対し、「ウイルス対策ソフトの利用状況」や「セキュリティに関する知識」といった項目について調査を行い、60、70歳代におけるパソコン利用とセキュリティに関する現況について明らかにした。
今回の調査は12月6日〜7日に行い、60、70歳代の男女613人(年代:60歳代73.6%、70歳代26.4% gooリサーチモニター)から回答を得た。
回答者全員に対して、「コンピュータウイルス」「フィッシング詐欺」「ワンクリック詐欺」の3つの用語の理解について確認した。「コンピュータウイルス」は95%以上が理解(「大変よく理解している」「大体理解している」「少し理解している」の合計)していたが、「フィッシング詐欺」「ワンクリック詐欺」については、それぞれ15%程度の人は理解していなかった。これを男女別でみると、男性の10%程度に対し、女性は20%以上の人が理解していないと答えており、男性の方が理解が進んでいることがわかる。
ハードウェアへのセキュリティ対策については、「ウイルス対策ソフト」をインストールしており、常に監視しているとの回答した人は62.6%にとどまり、インストール状況や運用状況を把握していない人も含め4割弱の人はウイルスの危険を含んだ環境で、パソコンを利用している状況が明らかになった。
また、「ウイルス対策ソフト」をインストールしていると回答した人に、定義ファイルを定期的に更新しているか聞いたところ、「インストールしており、常に監視している」と回答した人は、97.4%と高い比率で更新していたが、「常には監視していない人」などのそれ以外の人では55.6%に留まり、「ウイルス対策ソフト」については、適切に運用している人と、できていない人の2層にわかれる傾向が確認できた。
続いて、契約しているインターネットサービスプロバイダ名で、個人情報を含む情報の入力のお願いメールが送られてきたというシーンを提示し、情報の入力を行うかという質問を行ったところ、20%強の人が「入力する」と回答した。
入力すると回答した理由として、「契約しているインターネットサービスプロバイダ名でのメールだから」を76.0%の人が選んでおり、用語レベルでの知識はあるが、メールにおいて差出人名などを容易に詐称できるといったフィッシング詐欺の手口となりうる部分の危険性に関してまでは浸透していないことが読みとれる。また、「入力しない」を選んだ人のうち、「フィッシング詐欺」を想定して「入力しない」と回答を選択した人は9割で、1割の人は想定していなかったことも確認できており、この層についても、危険性があると考えられる。
本調査を通じて、詐欺や悪意をもった接触を行ってくるものに対して、60、70歳代のパソコン利用者における一定数は備えが十分ではないことが確認できた。今後は、年配の利用者に対して、より具体的な手口や事象を提示した上での注意喚起、ならびに適切な運用で効果が期待できるウイルス対策ソフトの運用方法の浸透をはかることが必要だと考えられる。
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