株式市場でぐるなびの復活が注目を集めている。株価は9月末に10万円ちょうどまで売られる場面もあったが、ここ2カ月で猛反騰。12月には29万1000円の高値を付けた。
飲食店情報のインターネット配信が主力で、加盟店からの加盟料金、販売促進支援料金が収益の柱。ぐるなび株は2005年4月に大証ヘラクレスへ上場。業績高成長を続けるネット株として、株式市場で高く評価されていた。
しかし、2006年1月のライブドア・ショックなどを背景としたネット株人気の衰退に加えて、2007年3月期業績が減益に転落する見込みとなったことで下落のスピードが加速。一時は“終わった株”とみられていた。
2008年3月期の増益転換見込みは2007年の年初から明らかになりつつあった。しかし、決算発表で業績回復が示されて以降も株価は低迷。株式市場では新興企業、特にネット系高成長企業へ不信感が強まっていた。
ぐるなび株は2005年の新規上場時に大人気を集めていたこと、また大証ヘラクレスの主力銘柄でもあったため、典型的な割高銘柄だった。ライブドア・ショック以降は自然体のように下げ続け、少し戻っても上値は重い、という展開がつい最近まで続いていた。2006年秋から約1年間もの間、10万円台でのもみ合いが続いた。
株価は2007年の10月に入ってから、売買代金を増やしながら上値を追い始めた。長い調整を経て売り需要が途切れ始めてきたうえに、11月5日には業績計画の上方修正も発表。今期の連結売上高は従来予想145億5000万円から150億5000万円(前期比28%増)へ、経常利益は同19億5000万円から23億5000万円(同90%増)へ増額した。
新規顧客獲得が順調で加盟店数が拡大し、加盟店単価も順調に増加している。ぐるなびのメディアとしての魅力も高まっており、10月現在の会員数は543万人、月間ユニークユーザー数は1200万人。月間ページビュー数は約5億9000万となった。子会社群の収益改善も連結ベースの利益率を改善させた。
前期の減益も、上海や国内ウエディング、プロモーションといった子会社群が立ち上げ費用などから赤字となり、連結ベースの足を引っ張ったもの。単体ベースでは順調な拡大が続いていた。
言わば先行投資負担による“前向きな減益”であり、株式市場的にはポジティブに評価されてもおかしくはなかった。
期の初めから示していた今期の大幅増益見込みが市場で評価されなかったのは、新興企業全般に対する不信感などが背景。確かに、努力目標のような数字を掲げておいて、期末になって下方修正する企業も少なくなかった。
ぐるなびも11月の上方修正を発表して、ようやく業績回復が市場から認められた格好。増額修正の内容をみてみると、経常利益は中間期までの実績額13億1800万円に対して増額修正済みの通期計画は23億5000万円となる。飲食店は年末が稼ぎ時であるため、それに関連する事業を展開する同社の収益も下期偏重型だ。
増額修正後でも中間期までの進ちょく率は50%を超えており、再増額含みの保守的な収益見通しと認識されている。
株価は目先的に過熱感が強まっているものの、長期間の調整を経たことで、上値圏での需給は良好。いわゆる“上がるから買う、買うから上がる”という状況となっている。
ぐるなびと同じような状況にある銘柄では、東証マザーズのe−まちタウン(旧クレイフィッシュ)も挙げられる。e−まちタウンもクレイフィッシュ時代の諸問題から銘柄イメージが芳しくなく、株式市場で評価されない時代が長かった。現在は主力をサーバーレンタイルからメディア事業の転換し、収益は高成長路線を走っている。
新興市場は、より新たな事業、先端的な業態を求めがち。ただ、今後は旧人気銘柄の復活も、ひとつのテーマとなっていきそうだ。
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