好業績IIJ、株価逆行高の背景

 全般軟調相場で東証1部では年初来安値を更新する銘柄が続出している。その中で株価の上昇トレンドが崩れていない数少ない銘柄として、ネット接続サービスの草分け的企業であるインターネットイニシアティブ(IIJ)に注目が集まっている。IT・ネット関連の勝ち組銘柄の今後の動向を探った。

 IIJが11月12日に発表した2008年3月期9月中間期の連結決算(米国会計基準)は、営業収益299億円(前年同期比13.4%増)、営業利益18億1600万円(同32.5%増)、税引前利益16億9700万円(同20.8%減)、純利益34億7700万円(同21.8%増)となった。税引前利益が大幅減益となったのは、投資有価証券の売却益が前年同期の9億2500万円に比べて2億1400万円と大幅に減少したことなどによる。

 事業部門別では、インターネット接続サービスおよび付加価値サービス部門で、法人向けや、迷惑メール対策のセキリュティー関連の付加価値サービスの売上が順調な伸びをみせ、この部門の売上高は148億700万円(前年同期比23.2%増)となった。

 システムインテグレーション部門では、顧客企業のIT投資意欲の継続や、金融機関、流通業界向け通信ネットワークの再構築などが引き続き堅調な推移をみせた。さらに、9月から本格スタートしたデジタルテレビ向けインターネット配信サービス「アクトビラ」のコンテンツ配信に必要なネットワーク・インフラを提供している。インターネットを活用した映画や音楽、各種情報コンテンツの配信は、現状ではパソコンでの視聴が主流を占めているものの、今後は、デジタルテレビでのインターネット接続やオンデマンドが急速に普及するものとみられている。

 2008年3月期の連結業績について同社は、営業収益690億円(前期比20.9%増)、営業利益46億円(同31.4%増)、税引前利益51億円(同1.0%増)、純利益56億円(3.5%増)としている。

 中期的には、デジタルテレビ向けインターネット配信サービス「アクトビラ」の普及に伴って従量制課金に伴う収益の向上が期待できるうえ、NTTドコモなどの大手通信キャリアから回線を借りてスタートを予定している企業向けのデータ通信サービスの拡大なども見込まれている。

 同社の株価は、2007年2月26日に51万6000円で年初来高値をつけて以来下落トレンドをたどり、8月10日にほぼ半値水準の28万4000円まで下落。その後全般軟調下落地合いに逆行高するように反転上昇軌道に乗り、11月15日には47万8000円までの戻りをみせた。先週末22日終値は42万1000円と値を保っている。

 注目したいのは、株価水準がここまで回復してきたにも関わらず、連結PERが15.5倍とIT・ネット関連の銘柄の中では依然として非常に割安水準にある点だ。さらに、週足チャートを見た場合、現在の株価が13週、26週の両移動平均線より上にあり、株価の上昇トレンドが崩れていないことを表している。

 また、緩やかに上昇中の26週移動平均線を13週移動平均線が下から上へ突き抜けるゴ−ルデンクロスを形成しており、株価の先高期待感が高まっている。中期的には、年初来高値の51万6000円を超えて60万円台での活躍の可能性もありそうだ。

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