Yahoo!ショッピング、楽天市場、ビッダーズ(順不同)などのインターネットモールやインターネットオークションが普及し、誰もが容易にインターネット上で商取引を行えるようになった。また、去年度の消費者向けECの市場規模(BtoC)は約4.4兆円、2005年度比22.9%増(出典:月刊「ネット販売」Vol.8- No.6)と、Eコマースは驚異的な伸び率を見せている。
しかし、「簡単」にできるからと言って、何の知識もなくはじめて良いというわけにはいかない。そのあまりの手軽さに見落としがちではあるが、商取引は法律によって制限されている。
インターネット通販は、法律上では「特定商取引法(特商法)」の「通信販売」であると定められている。この法律には、消費者が安全に通信販売サイトなどを利用できるように、「支払い方の明示」などが盛り込まれている。本来これらを満たさないECサイトは営業をしてはいけない。
また、特商法の適用範囲内にあるのは、「販売業者または役務提供事業者」とされている。特商法は、販売業者を規制するための法律である。言い換えれば、特商法は個人売買には適用されない。
しかし、「個人」と「事業者」はどこで区別されているのだろうか。特に「ヤフーオークション」などに代表されるインターネットオークションでは、「個人」と「事業者」が混在するため、その区別がかなり難しい。これについては経産省がガイドラインを発表している。
これを参照すると、
(1)すべてのカテゴリーについては、
(2)特定のカテゴリー、商品については
以上のケースに該当する者は、たとえ実際には「個人」であっても、「事業者」であるとみなすとしている(上記以外で、「事業者」とみなされる条件についてはガイドライン参照)。 この取り決めを御存知だっただろうか。自分でも認識しない内に事業者になってしまっている方もいるのではないだろうか。
このように、「インターネット」というバーチャルな匿名の世界においては、どうしても「尊法遵守」という思考が希薄になりがちである。しかし、リアルの世界に置き換えて考えてみてほしい。たとえば、保健所から許可を得ていない飲食店に好んで食事に行く人間はいないはずだ。これはECにおいても同じ、もしくはそれ以上に当てはまるはずである。
もし、これからECに新規参入を考えている読者がいれば、然るべきところに相談して欲しい(手前味噌にはなるが、弊社には「EC推進部」という専門部署がある。御入用の際は是非お声掛けいただきたい)。
また、すでにEC事業を行っている読者にとっては今回述べたことは周知の事実であったはずだが、個人情報の保護や在庫切れ、発送遅れによる消費者の要望に沿えない可能性の記載など、初心に帰って確認してみてほしい。日ごろから細かい努力を積み重ね、消費者目線の行き届いたサービスを提供し続けることが業績アップの最大の近道であると考える。
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