個人の通信の分析が行われるのは携帯電話上であって、企業のサーバ上ではない、とBegole氏は言う。それに、日本は消費者のプライバシー保護に関して、世界でもきわめて厳しい規制を行っている、とBegole氏は付け加える。
デモンストレーションの話に戻ろう。PARCの開発者と大日本印刷からの参加者のほか、私を含む数名が、「Windows Mobile」オペレーティングシステムを搭載した携帯電話を持ってパロアルトのダウンタウンに繰り出した。
インターフェースは分かりやすく、大きなタッチスクリーン「ボタン」を親指で叩くだけでナビゲートできる。Appleの「iPhone」に似た感じだが、このインターフェースはiPhoneほどスムーズではない。もう1つの違いは、このシステムは片手で操作できる点だ。iPhoneは片手で操作できない、と多くの人が言っている。
太平洋標準時の午前11時30分頃、ランチタイムに営業している近くのいくつものレストランと、(ショッピングしたい気分の場合に備えて)家具やインテリアの店、(汗を流したい気分の場合に備えて)ジムに関する情報が、システムから送られてきた。現在地からの距離や料理の種類などで検索対象を広げたり絞ったりするのは簡単だった。
特定の時間に営業していない店は表示されないので、時計を午前4時にうっかり変更したときには何も表示されなかった。なにしろ、パロアルトのダウンタウンにいたのだから。
自分の携帯電話から、「高級なタイ料理は?」というテキストメッセージをテスト用機器に送ると、地元のタイ料理レストランが表示された。「バンコク」の文字が店名に含まれている店も、それはタイの都市名だと正しく認識されていた。
T-Mobileのモバイルネットワークでシステムの反応が遅くなることがときどきあったが、日本のユーザーの場合はこうした問題はないはずだ。また、ときにはGPSシステムの精度がやや悪くなって、実際の位置から多少離れた地点を現在地と判断することがあるという。
提案されるレストランをフィルタリングして料金が高い順に表示させようとしたら、ネットワークの速度が落ち、検索結果が表示されるまでに時間がかかった。大日本印刷では、高級店をブロックする「お手頃」フィルターに使えるのではと私が言うと、「これはそういう機能で、バグじゃありません」と、PARCの関係者は冗談をとばした。
私はいまでも、携帯電話を使って方向を調べたり、地図を見たり、最寄りの「Starbucks」の位置を知ったりできる。けだるい日曜の午後、カリフォルニア州モンテレーで2、3時間つぶすのにどうすればいいかを知りたいとき、このシステムがそれと同じくらい役立つ情報を提案してくれるわけではない。とは言っても、実のところ、行くならモンテレー湾水族館だということは、誰でも知っているのではないだろうか?
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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