9月29日、中国国家版権局により海賊版情報通報センターが設けられた。通報先には12390という通話無料の短い電話番号と、メールアドレスがあてられた。また同センターが開設される数日前には、これの有効性をさらに確かにするために「海賊版を通報する行為を奨励する条例」を制定した。
「通報センターはできた。これで中国の社会に対し強烈なメッセージを送ることができる。海賊版に関わる行為は犯罪行為である!」こう語るのは、新聞出版総署署長で国家版権局局長の柳斌杰氏。柳斌杰氏は続けてこう語る。「中国国民に限らず外国人も海賊版行為を発見し通報してほしい。有効な通報であればみな奨励金を得ることができる」その奨励金は通報元が企業であれば最大で10万元(約155万円)、個人であれば1万元(約15万5000円)。さらに、中国全土にわたる重大案件と判断された場合はこの制限以上の奨励金を得ることができるという。また柳斌杰氏はこのセンターについて「このセンターの開設には、中国政府が設立した反海賊版ファンドによるものだ」とコメントしており、国家レベルの政策であることを強調している。
ここからは筆者の思うところではあるが、海賊版は様々なジャンルで流通しているので法を整備したところで急に改善するのは難しいだろう。
PC用ビジネスソフトひとつとっても、ようやくPCメーカーのPCラインアップの上位機種(稀なケースではあるが、メーカーによっては中位機種や下位機種でも)で正規版Windowsがプリインストールされるようになったばかりだ。Officeソフトがプリインストールされた機種はまだ存在しない。Adobeのソフトだって、本屋には様々な解説本が出ているのに、肝心の正規版ソフトは一般向けの正規版ソフトショップで売られている様子はない。
日本のコンテンツであれば、コンシューマーやPC向けのゲームソフトや、アニメやドラマなどの映像コンテンツ海賊版が出回っているし、前者ほどではないが、ジャパニーズアイドルの海賊版も流通している。
BSA(Business Software Alliance)の統計では、2006年の中国におけるパソコンソフトの海賊版利用率は82%だったという。82%という現状から海賊版が浸透していないトップクラスの国々(20〜30%)へ突然シフトするのはなかなか難しいだろうが、果たしてこの政策の導入により、北京オリンピックまでにどれだけ海賊版問題が改善するだろうか。
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