シカゴ発--大手パッケージソフトウェアプロバイダーの1社であるAdobe Systemsは、同社のオンラインサービスを積極的に拡大し、ウェブからの売り上げを増加させたい意向だ。
同社幹部らは米国時間10月2日、当地で開催の同社開発者カンファレンスAdobe Max 2007において、2008年にリリース予定のコラボレーションサービスと文書ワークフローウェブサービスについて詳しく述べた。
同社はまた、「Thermo」という開発コード名の新しいツールを披露した。プログラマーではなくデザイナーを対象とした、リッチインターネットアプリケーション(RIA)を構築するためのツールである。
Adobeの戦略は、自社の既存のデスクトップおよびサーバアプリケーションを補完する形でサービスを導入するというものである。幹部らによると、同社はまだサービスの課金方法については、広告またはサブスクリプション形式による売り上げの分配という可能性を含めて、複数のビジネスモデルを用いて試験中であるという。
チーフソフトウェアアーキテクトであるKevin Lynch氏は1日、「サービスの世界においてソフトウェアの課金体制がどのように変化するか、そしてそれに対しAdobeはどう変わるべきかについて調べている」と述べた。
Lynch氏は2日の基調講演では、Adobeはまだサービス提供の「初期段階」にいるが、同社は今後さらにサービスを拡大していくつもりであると述べた。
Adobeは1カ月以内に、2者間の高品質なインターネット電話を実現するソフトウェア「Pacifica」のベータ版をリリースする予定である。Pacificaには、テキストメッセージングなどのサービスも含まれる予定。
同社幹部らはまた、会議用製品「Adobe Acrobat Connect Web」の次期バージョンである「CoCoMo」も披露した。同製品の正式版は2008年にリリース予定。
幹部らによるとAdobeは、開発者らが自分のアプリケーションから、ビデオストリーミング、インスタントメッセージング、共有ホワイトボードなど、同社のウェブ会議や協調サービスを利用できるようにするためのサービスをホスティングする予定であるという。
開発者らは、クライアント側で「Flex Builder」で開発した自分の既存のアプリケーションを変更することができる。
Adobeはまた、オンラインで文書を共有することを可能とする「Share」というサービスのベータ版をリリースした。Adobeは、まず1Gバイトのストレージを無償で提供し、その後、サブスクリプションベースのプレミアムサービスを提供する予定である。
AdobeのAndrew Shebanow氏によると、Shareの将来的な機能としては、タギング、フィルタリング、同社のウェブワープロ「Buzzword」との統合、「Microsoft Office」と「OpenDocument」間における文書フォーマットのサーバ側の変換を予定しているという。
また同社は、同社の文書ワークフローサーバ「LiveCycle ES」をホスティットサービスとして提供する予定である、とLynch氏は述べた。同社の画像ストリーミングウェブサービス「Scene7」も、小規模企業や個人デザイナー向けに提供する予定であるという。
基調講演ではカンファレンス参加者らに対し、Thermoも披露された。これは、デザイナーがアプリケーションを開発することを可能にし、プロの開発者らとより円滑に作業することを目的としたツールである。
2008年にはThermoのテスト版がデザイナー向けに提供される予定である。
AdobeのMark Anders氏は、「デザイナーが作業方法を変えることなく、開発者によりわかりやすいものを提供できることを目的にしている」と述べた。
Anders氏によると、デザイナーは、Flexのコードを記述することなく、アプリケーションの設計遷移図やレイアウトの視覚的なコンポーネントを利用することができるという。視覚的なコンポーネントは、「レイヤー」という個々の要素として提供され、デザイナーはそれらを操作することができる。
デモでは、設計者や開発者からなる参加者らから何度も拍手が湧き起こっていた。Marketplace DigitalのデザイナーであるStephen Pillbeck氏は、リリースされたら絶対にThermoを利用すると述べた。
Pillbeck氏は、「これがあれば、デザインモードにいながらにして自分自身で開発し、それからデータベース作業をしてもらうために開発者に引き渡すことができる」と述べた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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