日本レコード協会、日本の楽曲の普及状況について報告会、今後は中国に力点

 日本レコード協会と音楽産業・文化振興財団は9月26日、「第4回東京アジア ・ミュージックマーケット概要説明及び日本音楽のアジア展開に関する報告会」 を実施した。日本の楽曲がアジアでどの程度普及しているかの現状について、 日本のレコード会社各社事例発表も交えながら紹介した。

●台湾、韓国、香港で日本の楽曲が人気、中国に期待し認証手続きを簡素化

 まず冒頭に、日本レコード協会の田辺攻専務理事が概況報告を行った。この なかで、「台湾、韓国、香港」順で日本の楽曲が売れているとしてそれぞれの 傾向についても言及。新たに楽曲を販売する権利(新規ライセンス)を得たCD などの06年出荷数量では、台湾が76万9000枚で前年比71%、韓国が35万枚で同 79%と下降気味だが、一方香港は18万枚で同123%と伸びている実態を示した。

 田辺専務理事は、その潜在力に注目して「今後力を入れていきたい国は中国」 と語る。ただし、中国で日本の楽曲を販売するためには、第三者機関による 「検閲制度」「権利認証制度」が必要。この2つの手続きに時間がかかるため、 コンテンツ普及の妨げとなっているという。そこで、07年4月に日本レコード 協会が認証機関として正式に業務を開始。権利認証制度を簡素化し、認証取得 時間を大幅に短縮した。一般的に中国では日本の楽曲の海賊版が多いといわれ ているが、その要因として、正規版の発売が少ないことと、日中間の発売日に 大きな開きがあることを指摘。今後は、権利認証制度に加え、検閲時間の短縮 にも取り組むことで、海賊版の拡散も抑えでいく考えを明らかにした。

●ソニー、中孝介を中華圏で先行デビュー、中国の人気歌手・韓雪とコラボも

 続いて、アジアで活躍する日本のアーティストの状況について、ポニーキャ ニオンやエイベックス・グループ・ホールディングスなどが事例を発表した。 ソニー・ミュージックエンタテインメントでは、日本より先に台湾、香港、中 国でデビューした鹿児島県・奄美大島出身のアーティスト・中孝介を紹介。06 年11月に中華圏先行アルバム「触道心弦」をリリースしたほか、07年8月には、 07年「日中文化・スポーツ交流年」のテーマソング「言葉はいらない」を、中 国の人気女優兼歌手の韓雪(ハンシュエ)と共同で初披露。9月の日中国交35 周年イベントにも出演するなど、アジアに軸足を置いた活動の模様をレポート した。

 このほか、アジア各地でライブ活動などを行っているアーティストとしてYU IやSOUL'd OUT、ラルク アン シエル、小松亮太の事例も紹介。同社の田中章 国際グループインターナショナル・マーケティング部長は、日本の音楽コンテ ンツがアジアで普及するためには、「映画、テレビ、アニメと連携して展開す る」「その国にはない幅広い音楽を提供する」「ライブでアーティストのパワー を直接見せる」といった方法が必要、と述べた。

 なお、音楽産業・文化振興財団は、「JAPAN国際コンテンツフェスティバル (CoFesta)」のオフィシャルイベントとして、「第4回東京アジア・ミュージ ックマーケット(TAM)」を10月15-19日に開催。一般向けでは、アジア各地の アーティストのショーケースライブに加え、音楽関係者向けのアジアの音楽市 場に関するビジネスセミナーと商談会も実施する。

 ショーケースライブは16-18日分の受け付けは既に締め切ったが、19日のみ 有料で受付中。料金はワンドリンク付きの立ち見で2000円。ぴあ、ローソン、 e+(イープラス)のいずれかで購入する。主な会場はウェスティンホテル東 京、恵比寿ガーデンホール、恵比寿ガーデンルームなど。

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