これらの特許とは対照的に、控訴裁判所が地方裁判所での再審議を命じた米国特許番号6359880号は、公衆ワイヤレスインターネットゲートウェイおよびコードレスインターネットゲートウェイがインターネットと通信する方法に関するものだ。この技術は、Vonageが現在展開している商業サービスにおいて大きな比率を占めていないため、この一件が地方裁判所に差し戻されても、Vonageの実際のビジネスに与える影響はほとんどないだろう。
そして、6359880号の特許は他の2つの特許に比べて重要性が低いため、控訴裁判所の命令に従って地方裁判所が損害額を再評価する際には、まったく新たに裁判を行うことなく、同額の支払いを命じる可能性もある。
その理由は簡単だ。VonageとVerizonのそれぞれの専門家はともに、地方裁判所で行われた裁判において、6359880号の特許は損害額の算定にほとんど影響しないと証言しているのだ。つまり、評価損害額のほとんどは、6104711号と6282574号の特許に関するものとして算出されているのである。そして、判事はこれらの専門家の証言をもとに、再び5800万ドルという損害額を算定する可能性がある。
しかしVonageは、支払うことになるこの高額な損害額に加えて、今やサービス停止の可能性にも直面している。
控訴裁判中には、サービス差し止め命令は効力がなかった。しかし、控訴裁判所の判決は2週間から1カ月以内に確定するはずであり、判決確定後には、Verizonの特許を侵害する技術をVonageが使用することを禁じる命令が発効することになる。
Vonageは、サービスの提供を続けていくと強く主張している。
O'Leary氏は声明において「ビジネスは通常通り継続していく」と述べるとともに、「6104711号と6282574号の特許に対する回避策を取り入れてからすでにある程度の時間が経過しており、われわれは顧客に素晴らしいエクスペリエンスを提供することに注力し続けていく」と述べている。
しかし、こういった主張が正しいかどうかついては今後を見守っていく必要がある。今のところ、同社の回避策がどう機能するかは明らかにされていない。裁判所が立ち入り、裁判中に審議されたように、新たに取り入れられた回避策が特許を侵害しているかどうかを決定するか、Verizonがそれらの回避策を問題にするかのいずれかとなるだろう。
1つ確かなことは、Vonageの前に垂れこめた暗雲がこれで一挙に晴れたとは言えないということである。
Stifel NicolausのアナリストであるRebecca Arbogast氏は「Vonageのサービスに影響がでる恐れは確かにあると考えている」と述べるとともに、「Vonageは回避策があると述べているが、誰が本当のことを知っているというのだろうか?私の勘だと、Verizonはこういった回避策も積極的に問題にしていくはずだ」とも述べている。
今回の法的な打撃がもたらされたのは、カンザス州の陪審員がSprint Nextelの保有する6件の特許に対するVonageの特許侵害を認めた翌日のことだった。カンザス州の裁判で認められた賠償額は6950万ドルだった。Arbogast氏は、Vonageにとっては悪いニュースばかりだと述べている。
Arbogast氏は「これらは異なる裁判所で争われた異なる特許に関するものだ」と述べたうえで、「しかし、Sprintの裁判で決定された賠償額は巨額であり、Verizonの裁判ですでに高額の賠償命令を受けていたVonageはさらに不利になる。そのうえ、サービス停止の恐れがあるとなれば、投資家らは同社に対して慎重になる」と説明した。
実際、Vonageの株価はさらに26%下がり、終値は1株96セントだった。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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