カリフォルニア州フォスターシティ発--Sling Mediaが3億8000万ドルでデジタル衛星放送サービス大手のEchoStar Communicationsに買収されたと報じられた翌日、Sling Mediaは同業者や競合他社の一部から喝さいを浴びた。
当地で開催されているIPTV Worldカンファレンスに出席した業界関係者らは、シリコンバレーの同業者が大金をつかんだことを喜んだ。また彼らの多くは、Sling Media製のハードウェアであるSlingboxを所有しているという。Slingboxのユーザーは、テレビ番組を自宅の家庭用テレビからさまざまな場所へ送信できる。
IPTV関連の新興企業iChip Indiaのマーケティング担当バイスプレジデントであるWard Williams氏は、「これほど素晴らしい結果に至ったのは、交渉をうまく進めたSling Media社員らのお手柄だ」と述べ、さらに次のように続けた。「彼らは、優れた機能を手に入れたのと、消費者に対し彼らがIPTVサービスを必要とする理由を伝えた点で見事な仕事をした。また、われわれにとっても、このような買収は大変励みになる」
IPTVとは、ブロードバンドネットワークを使って家庭のテレビにデジタルコンテンツを配信するサービスを指す。IPTV Worldカンファレンスでは、多くの企業が自社製品を展示したり、IPTVの大量導入時代の到来時期を予測し合っている。コンテンツ管理ソフトウェアを開発するVignetteの最高技術責任者(CTO)であるConleth O'Connell氏によると、IPTV業界がSling Mediaの買収を好意的に感じるもう1つの理由は、今回の買収は大手メディア企業がIPTV業界に注目している証だからだという。
O'Connell氏は、News Corp.の会長であるRupert Murdoch氏が、大衆は情報の流れが一方通行である現状にうんざりしているという発言をもちだした。O'Connell氏によると、Murdoch氏は、ビデオ共有からブログ運営に至るあらゆることから、消費者が情報を自分でコントロールしたがっている様子が伺えると述べたという。
O'Connell氏は、「Slingboxは家庭内に設置されるが、Slingboxを使うことにより、TVエクスペリエンスの外部への発信が可能になる」とした上で、次のように続けた。「われわれは消費者の声に耳を傾けるべきだ。彼らが求めているのはこの共有の概念だ。将来、彼らはお気に入りのテレビ番組のクリップを友人やコミュニティーに送信したくなるだろう。これまでは、情報は放送局から視聴者への一方通行だった」
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したも のです。海外CNET Networksの記事へ
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