24時間イベント「Mozilla 24」--改めて考えるオープンソースの精神

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 2007年9月15日の正午から翌16日の正午まで、Mozilaが主催する地球規模で時差を超えた24時間ノンストップのイベント「Mozilla24」が行われた。

 イベントでは次世代のインターネットのあり方に興味、関心の高いIT有識者、専門家、研究者、エンジニアに加えて一般ユーザーの参加もあり、パネルディスカッション、ワークショップ、音楽イベントなどさまざまなプログラムが実施された。

 国内では「慶應義塾大学三田キャンパス東館」「ベルサール九段」「京都大学学術情報メディアセンター」の3会場を設け、「SHIBUYA BOXX」と「SHIBUYA@FUTURE」ではロックフェスティバルが開催された。イベントは、マレーシアとバンコク、ハワイでも同時に行われ、イベントの様子はネットで中継して全世界に発信された。

オープンソースの精神は民主的な考え方にある

 2007年9月15日12:00、慶應義塾大学三田キャンパスから発信されたMozilla Japan 代表理事 瀧田佐登子氏の挨拶からMozilla24は幕を開けた。

0919_mozilla1.jpgMozilla Japan 代表理事 瀧田佐登子氏

 瀧田氏は参加者に向け、これまで脈々と築かれてきた「ブラウザの歴史」を紹介し、ネットスケープとマイクロソフトのシェア戦争について熱く語った。技術を高める戦いの裏側では、企業の営利、シェアの奪い合いがあり、そこには標準無視などの弊害が伴う。当時を振り返り、「スタンダードは考えられなかった」と瀧田氏は言う。しかし、1998年にネットスケープが技術公開したのがオープンソースの始まりだった。そこからモノづくりの原点へ立ち返り、エンジニアと研究者がオープンな環境で標準を重視はじめた。

 「オープンソースが始まってから5年、FireFoxは世界中のエンジニア、ユーザーが作り上げていきました。インターネットの可能性をどうやって広げていけるのか。現在もMozillaは営利目的でない、ピュアなオープンソースプロダクトを目指しています」(瀧田氏)

 この2〜3年でウェブ2.0を皮切りに、ブログ、SNS、RSSなど、新しい技術が続々と登場した。コミュニケーションのスタイルが双方向へとなっていく中、ネットサービスをリードするグーグル シニアプロダクトマネージャの及川卓也氏は、ソフトウェア、ハードウェアにおいて与えられたものをそのまま使うのではなく、工夫して使うことが必要だと述べた。

0919_mozilla2.jpgグーグル シニアプロダクトマネージャの及川卓也氏

 「グーグルはオープンソースの精神を生かして、コミュニティ、エコシステムに注力しています。検索サービス、Gmail、Google Earthなどでは、ユーザーの意見を大切にし、どう使われたか、また、使われなかったかというユーザーの意見がサービスの良し悪しの投票となっています。これは非常に民主的な考え方と言えるでしょう」(及川氏)

 及川氏は、サービスを提供する中で、社内だけで決定したものを与えるということは、ユーザーに対する強制を意味するのではないかと疑問を投げかけた。

 そして、オープンソースで発展、開発し、ユーザーにダイレクトに聞く形で発展させれば、今後も技術者、世界のワーク、ライフスタイルは変えていけると力説した。

インターネットは地球規模のプロジェクト

 また、「日本のインターネットの父」と呼ばれる慶應義塾大学環境情報学部教授 村井純氏は、サービスを支えてくれるインターネットは、今後どうなるかという点を語った。

0919_mozilla3.jpg慶應義塾大学環境情報学部教授 村井純氏

 インターネット環境は、大学のソフトウェア開発者の中から自分達のための環境を作りたいという発想から始まった。それが世の中に広がり、すべての人が使うようになった。自由を妨げない環境がベースとなっているので、新しいアイデアを作り出しやすいと村井教授は述べた。

 「インターネットの大事な使命として、すべての人の創造性をどう支援していくか。誰でも支援できるのがウェブの環境です。インターネットには国境の概念がなく、地球がひとつになったものです。これは人類が初めて手にしたものなのです。インターネットでは、人が受け入れるかどうかで標準化を決めていく。地球全体の環境をどう維持していくかを考えていかなければなりません」(村井教授)

 村井氏はインターネットを、「24時間、地球全体が力を合わせて作っていく時差のないプロジェクト」と呼んだ。過去から現在、そして未来に繋げるためには、ユーザーひとりひとりのアイデアと巨大なチームワークが必要だという。時差を超え、プログラムによってはチャットで一般参加も可能なmozilla24開催の意義は、この村井教授の言葉に収束されているようだった。

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