サブプライムローン(信用度の低い顧客向け住宅ローン)問題に端を発した、金融市場の世界的な信用収縮懸念により、東証1部の株価全般が大幅安となっている。その中で、ソフトバンクの株価が8月16日、1月4日の大発会につけた2360円を下回り、年初来安値を更新してきた。
先週末17日には、一時2115円まで下落。8日引け後に発表した2008年3月期第1四半期(4〜6月)決算は好調で、株価も一時上昇機運に乗りかけていただけに、今後の同社の株価動向に注目が集まっている。
ソフトバンクが8日に発表した2008年3月期第1四半期(4〜6月)の連結業績は、売上高6631億円(前年同期比34.2%増)、営業利益788億円(同44.9%増)、経常利益511億円(同97%増)の大幅な増収増益となった。
移動体通信事業は子会社化したソフトバンクモバイルが3カ月間フルに寄与(前年同期は2カ月間の寄与)した。積極的な宣伝なども功を奏して携帯電話の新規契約数から解約数を引いた契約純増数は、前年同期の3万件から今期は53万件と大幅に増えた。
移動体通信事業の営業利益は435億円となり、前期の四半期の1〜3月期比では3%増だった。またインターネット・カルチャー事業の営業利益は271億円となり、前年同期に比べて26%増えた。
電気通信事業者協会が7日にまとめたソフトバンクモバイルにおける7月の携帯電話・PHSの契約数は、新規契約から解約を差し引いた「純増数」で3カ月連続首位を守った。これは、月額980円で自社の契約者同士が夜間を除いて話し放題になる「ホワイトプラン」で、小規模事業者などの需要を開拓したことが寄与したためだ。
今後はARPU(1契約者当たりの月間収入)の動向が同社の収益動向を大きく左右することになりそう。同社の第1四半期の同社のデータARPUは1410円にとどまっていることから、すでに2000円程度の他社に比較してまだ上昇余地があることに期待感が高まっている。
一方でソフトバンクの株価に厳しい見方も出ている。JPモルガン証券は14日付のリポートで、ソフトバンクの投資判断を新規で3段階評価の再下位とした。これも株価が反転下落基調となるひとつのきっかけとなったとされている。
同リポートでは「ソフトバンクの営業利益は、2007年3月期の2711億円から2012年3月期には4201億円と年率9.2%と高い成長をする見通し、しかし一方でソフトバンクの株価(8月10日終値2550円)は我々が将来の含み益拡大を積極的に加味した目標株価2220円を14.9%上回っており、同社への株式市場の期待値は高すぎる」としている。
ソフトバンクは個人投資家の指標株といわれる銘柄で、個人投資家の投資マインドを敏感に反映した株価推移となる傾向が強い。今回の全体相場の急落で短期的には投資意欲は大きく後退しており、ソフトバンクの株価も一時的には2000円の大台を割り込む可能性もありそうだ。
しかし、全体相場が落ち着きを取り戻せば、再び上昇トレンドに復帰し、2500円乗せを目指した展開となりそうだ。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」