これはイイ!ガジェッター御手洗大祐の自腹レビュー 第3回:「ThinkPad X41 Tablet」を体感する(長期レビュー 後編)

IBM
内容:3回目は、引き続きThinkPad X41 Tabletレビューの後編をお送りします。ペン機能を使ったメモ書きなどをサポートする「Journalノートライタ」を中心に、ソフト面でのThinkpad X41 Tabletの使い勝手について、レポートします。

Web仕事にタブレットPCを活用する

 タブレットPCと言われても、通常は何のためにタブレットとペンを利用するのかイメージできないケースが多いと思われますが、私がタブレットPCを購入したのには実ははっきりとした目的がありました。

 ここ数年、私はWeb関連の仕事をしていますが、ここで大きなストレスなのがWebの画面設計に関するミーティングでした。1枚1枚Web画面を印刷して、ペンで修正などを書き込んで──というのも結構面倒だし、サイズが限定されてしんどいというのもあります。かといってプロジェクターに画面を投影しても、画面の修正にはマウスをせせこましくいじる必要があり、これもどうかと思っていたわけです。

 なので、タブレットPCの発表があってからは、実はこれを使えばいいのでは?と思っていたのでした。今回は、実際にこうしたケースの利用も含めたソフト面でのThinkpad X41 Tabletの使い勝手について、簡単にレポートさせていただきます。

Journalノートライタは楽しい!

 タブレットPCの魅力を語るには、この「Windows Journal」についてまず説明しないわけにはいきません。タブレットPCにデフォルトでインストールされているこのソフトウェアでは、ペンインターフェースを使ってさまざまなメモ書きを自由に作成し、保存することができます。

 Windows XPのアップデートなどでもよく見かける、マイクロソフトから配布されているWindows Journalビューワーというのは、このWindows Journalで作成したファイルを閲覧するためのソフトです。つまり、このツールを使って作成したメモ書きは、Journalノートライタが導入されていないPCでは編集はできませんが、閲覧は一般のPCからでも行うことが可能です。また、Webへの編集後ドキュメントのパブリッシングも可能なので、閲覧だけであればWebからも可能という優れものです。

 このツールはペンツールの筆先の太さを変えられたり、描画色を変えられたり、そのまま手書きの書き込みを文字認識する、タブレットPCのメモ書きに必要な機能をそろえています。普通のノートと同じく、直感的に書きたいことを比較的に書くことができるツールです。

 ところで、タブレットPCにはデフォルトでプリンタにJournalノートライタというプリンタがインストールされています。これを使うと、Webページや画像ファイル等、さまざまなドキュメントをJournalノートライタで編集できるファイル形式(.jntという拡張子のファイル)に書き出すことができます。

 書き出されたファイルは画像ファイルのようなものなので、例えば元のドキュメントにあったテキストを、テキスト情報として扱って編集することはできませんが、ドキュメントの上からさまざまなメモ書きをすることは自由です。

写真1:Webページのレイアウトにコメントを入れるのもカンタン (クリックすると拡大できます

 このツールを利用することで、写真1のようにWebページのレイアウトにさまざまなコメントを入れたり、あるいは簡単なイラストを記入したりすることが可能になります。

 Webの立ち上げやリニューアルにはさまざまなステークホルダー(利害関係者)がかかわりますが、早速実際に使ってみた感触では、Webの画面案を開きながらワイワイその場でペン入れをしながら作業をすることで、より具体的に修正項目案などを取り込みながら作業していける印象を得ることができました。

タブレットPCでOneNote2003を使ってみる

 Officeシリーズの「OneNote 2003」というソフトウェアは、直感的にノートを取ることができるソフトウェアです。もっと言うと、いわゆるノートの自由に書けるメリットは残しつつも、同時に写真などの画像や、Webページ、音声などを一元的に貼り込んで管理できるツールです。

 ですから、例えば議事録を筆記で取りつつ、その時の音声ファイルも同時に貼り込んでおく、といった芸当もでき、またノート内の文章を対象とした検索などもできる、いわゆるアイディアプロセッシングをサポートしてくれるツールです(とはいえ、何に使うのか、ということが具体的にイメージできず、実際にはまだあまり利用できていないのですが……)。

 自由に書ける、ということはペンコンピューティングの強みが出る、と以前から思っていたこともあり、早速こちらもタブレットPCで利用してみました。

 結論から言ってしまうと、自由度が非常に高いこともあり、何に利用するのかをはっきりイメージしてからでないとなかなか使いづらいものの、方向性が定まるとさまざまなことに利用できそうなツールだというところでしょうか。よく、議事録に活用という紹介記事も見ますが、今までのワープロに慣れたところから、OneNoteに移行するのには発想の転換みたいなものが必要なのではないかと思っています。

 つまり、リニアに会議の議事録を取っていくのではなく、ブレストなどでさまざまに散逸するアイディアやリソースを取りまとめて、後で報告のためにまとめる、といったところではかなり有効だけれども、意思決定のためのミーティングのように、リニアに議事が進行するものではあまりメリットがない、というところでしょうか。

OneNote2003の画面。URLも写真も貼り付けられ、もちろん手書きの文字も入れられる (クリックすると拡大できます

 実際のミーティングには双方が入り乱れることが多いため、なかなか1つのツールで処理しきれないのが現状ですが、OneNoteは使い込んで、利用のポイントを押さえられるようになれば、実際の売り文句のように生産性の向上をサポートしてくれるのではないかと思います。

 なお、こちらのツールも情報共有には配慮されていて、OneNoteユーザ間だけの情報共有だけではなく、取ったノートについてはWebへのパブリッシングも可能となっています。実際にイラストを描きながら議論を進める仕事などには相当力を発揮しそうです。

まだ一般的ではないけれども、とりあえず買いのタブレットPC

 タブレットPCというとどうも特殊なPCの香り(?)がして、購入をためらってしまう方も多いかもしれません。確かにピュアタブレット型のものであれば、購入前に相当利用の方向性をしっかりと定めておく必要があるでしょう。

 しかし、今回ご紹介してきたThinkpad X41 Tabletのように、コンバーチブル型のものであれば、通常は普通のノートPCとして利用することもできます。その意味では、個人で利用するには最適のタブレットPCと言えます。個人的には、「全部タブレットPC(コンバーチブル型)になれー!」と叫びたいところでもあります(笑)。

 価格も以前のような割高感はあまりないですし、少しでもノートのような利用方法や、自由なイラスト描きだけにでも利用してみたい、という興味をお持ちの方は、躊躇せず購入ではないかと思っています。

 ただ、文句なしに推挙するには、やはりもうちょっと画面の解像度を高めてもらいたいところです。ペンでぐりぐりと描いていると、領域の狭さをどうしても感じてしまうシーンが結構あります。これを超えるためには、現状では一般的なXGAサイズを早く脱出して、軽くて解像度の高いタブレットPCの登場が待たれるところです。以前PanasonicのLet's Note のY2シリーズを利用した時にも感じましたが、画面の大きさが一部生産性につながっているところもあり、今後の技術革新の過程で、画面サイズと重量問題が解決されたタブレットPCが早く出てほしいところです。

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