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ウォークマンが初めて「ビーンズ」デザインを採用したのは1996年、「WM-EQ2」というカセットウォークマンであった。それまで小さく軽いこと、あるいは機能やバッテリーの持ちを競っていたポータブルオーディオの世界に新しい方向性を示した画期的な製品で、そのカジュアルで親しみやすいデザインは大ヒットを記録した。ここで紹介するネットワークウォークマン「NW-E305/307」は、そのデザインを復活採用した意欲的な製品。パソコンのヘビーユーザーを中心に広がってきたメモリータイプのポータブルオーディオだが、この製品をきっかけに、いっそう普及することが期待される。
NW-E305/307(以下、ビーンズ)は、E400/500シリーズ(以下、スティック)の下位にラインアップされる製品。スティックと同時に発表になったE100シリーズはすでに生産完了となっているため、実は、メモリータイプは、スティックとこのビーンズだけである。
ビーンズはずんぐりとしたデザインのため写真では大きく感じるが、厚みはあるもののサイズ的には、スティックと大差ない。スティック同様、ストラップで首から提げて利用することが可能だ。いちばんの特徴はUSB端子を内蔵しており、ケーブルなしで曲の転送(録音)や充電ができること。右サイドのカバーをスライドさせると、自動的にUSB端子がポップアップする機構を備えている。
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ビーンズは、メモリーの容量の違いで、1GBのモデル(NW-E307およびNW-E307/B)と512MBのモデル(NW-E305)が用意されている。スティックにはFMチューナーを内蔵したE500系と内蔵しないE400系があるが、ビーンズは全モデルFMチューナーを内蔵している。バッテリーはスティックと同等で、USBからのバスパワー充電方式、再生時間は最長約50時間である。フル充電は2時間ほど、約3分の充電で約3時間の再生が可能な急速充電に対応しているのも同じだ。
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ビーンズは、内部的にはスティックから進化を遂げており、新しくATRAC3Plusの320kbpsに対応した。これまでの最高ビットレートは256kbpsであったが、これでMP3とATRAC3Plusがビットレートで同等となったわけだ。もちろんビットレートだけで音質が決まるわけではないが、ATRAC3Plusを否定する材料は、これでひとつ消えたことになる。実際のところ256kbpsと320kbpsの音質差はそれほど大きくはない。しかし、少しでもいい音で、と思うなら、うれしい進化だろう。
本体だけでなく、付属のソフトウェア、SonicStageもVer.3.0から3.2へ進化した。大きな変更は、ATRAC3Plusで、320kbpsをはじめとしてビットレートのバリエーションが増え、より細かい使い分けが可能になったこと、そして、音楽CDからの取り込み(録音)時に著作権保護処理を行うかどうかを選択できるようになったことである。つまり、著作権保護処理をするかどうかをユーザーが判断すればよく、取り込み時に著作権保護処理をしなかった曲データ(ファイル)なら、自由にバックアップをとったり、ほかのパソコンに移動したりすることができるようになったのである。ATRAC系の圧縮方式を選択すれば、ライブ盤など曲間に無音がないCDもきれいに再生できるのはこれまで同様で、この点は個人的には高く評価している。ソフトの使い勝手もよくなり価格的にもこなれたビーンズは、ネットワークウォークマンの入門機として広くお勧めしたい。
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