このカメラを手にして最初に感じた事は、やはり小さく軽いということだ。最近の一眼デジカメの世界では概ね高画素数のモデルが出そろったこともあり、エントリーモデルにおいては小型軽量を競うことが流行のようである。ペンタックス初の一眼デジカメ「*ist D」が発売になったのが2003年9月。その後次々と新機種が発表される中、一時はキヤノンのEOS Kiss Digital Nに奪われた形となっていた世界最軽量の誇りも、この「*ist DL」の登場により奪い返したことになる。
ここで素直に浮かんで来た疑問が一つ。はたしてカメラは小さく軽い方が良いのであろうか。私は仕事柄プロ機を使用することが多い。みなさんもご存知の通りプロ機と言われるものは往々にして大きく重くゴツいものである。もちろん、それにはれっきとした理由がある訳だ。耐久性を含む信頼性を重視するプロ機ではボディ外装がプラスチックではなくマグネシウムであったり、バッテリー容量を重視した大型グリップが付いていたりとそれなりの重量となる。大口径望遠レンズを使用するにあたってはカメラの重さでバランスを取り安定させることも重要である。しかし、いかにプロといえども普段からそのように重いカメラを持ち歩きたいとは思わない。すくなくとも私は嫌だ。これが小さな子供を連れたお母さんだとしたら、大きくて重いカメラなど即座に却下されることであろう。 ちょっと極端な例えになってしまったが、つまるところカメラは気楽に持ち歩きいつでも写真が撮れるということも大事なわけで、このカメラ「*ist DL」は小さく軽量であるということだけでも十分な価値があると私は思うのである。
では、このカメラは小さく軽いだけのカメラなのか、というとそうではない。メインスイッチをONにすると0.8秒とすばやく起動し、ファインダーを覗きレリーズすることで瞬時にピントの合うAF性能。撮影された画像は背面2.5型の大きなTFT液晶で確認できる。特にこの大きく見やすい液晶画面はより多くの人々に写真を楽しんでもらおうという、このカメラの性格を如実に表していると言える。
「*ist DL」は初代「*ist D」および「*ist DS」から機能を簡略化したモデルと見られている。たしかにペンタプリズムからペンタミラーへと変更されたり、AF測距点が11点から3点へと絞られたりと低コスト化が計られている。しかし、これらの省かれた機能が実際にどれだけ必要かと考えると、実はさほど重要ではなかったりするのだ。現に私は、この「*ist DL」にデジタル専用標準ズーム「DA18mmF3.5〜55mmF5.6AL」を装着して主にスナップ撮影に使用しているのだが、撮影していて不満に思ったことはほとんどない。もちろん気になる点が全くないわけではないが、これだけのカメラが実売7万円台で買えてしまうのである。それだけでもペンタックスよくやった!という感じである。
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