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昨年末弊社の代表を退任しまして、非常勤の取締役になってからというもの、週1〜2回オフィスに出ては昨今の事業の進捗動向を伺いつつ、ぶらぶらとしていたところ、「御手洗さんの物欲を浪費するのはもったいないので、レビューを書きなさい」──という指令がレビュースタッフ陣から下った。「じゃあ私が書きたいものしか書かない」というかなりわがままを言いつつも、とりあえず数回レビューを執筆させていただくことにしました。書きたいものしか書かないからには、辛口かつ面白くて、役に立つものを目指して頑張りますので、どうぞよろしくお願いします。
第1回は、私が最近かなり時間を使って悩んだ「iPodにベストフィットな素晴らしいヘッドホン、イヤホン」ということで、最終的に選択したBOSE社の雑音シャットアウトヘッドホン「Quiet Comfort 2」をレビューしてみたいと思います。
iPod用のヘッドホンというのは、おそらく音マニアな方は悩むところだと思います。今回取り上げるような比較的高めで、流通に乗らないヘッドホンは試聴の機会も少ないと思いますので、できる限り詳細にレビューしていきます。
ネット各所でノイズ削減機能について高い評価を得ているのがこの「BOSE Quiet Comfort 2」。結構前からノイズ削減の手段として一般的な、環境ノイズと全く逆位相の波形の音を発生させて、外部のノイズを打ち消すタイプのヘッドホンです。
ヘッドホンは高性能マイクを内蔵し、外部の音をモニターしつつ、再生音と比較しながら主に低周波のノイズを打ち消すため、電車や自動車の騒音はかなり削減されますが、実は話し声などはしっかりと聞こえます。さらにマサチューセッツ工科大から発したBOSE社だけあって、長時間の視聴でも疲労を感じないよう音質を最適にチューニングする機能を備えています。
今回iPod用のヘッドホンを選ぶのに当たって重要視したのは、屋外での視聴の音質、携帯性でした。音質は人により聴く音楽のジャンルが異なるので、そこでどういう音質を重視するかが決まってきますが、私はテクノに始まり、Jazz、ブルースなどR&Bと言ったジャンルが比較的多いこともあり、低音部の再現性や厚みを重視しています。「Quiet Comfort2」は、ネット上での皆さんの評価もこの低音部に関して比較的良好なものが多かったので、私も今回の評価の際には参考にさせていただきました。
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「Quiet Comfort 2」の前バージョンでは、このノイズリダクション機構用の電池ボックスが、外部にヘッドホンとコードでつながる形であったのに対し、今回はイヤーカップ部に全て内蔵されていて、全体的に非常にコンパクトに収まっています。また、イヤーカップを90度回転させて畳むことができるため、収納性も高く、ヘッドホンにしては高い携帯性が実現されていると言えます。
ノイズリダクション機構を利用するには、イヤーカップの片側に単4電池を入れる必要がありますが、これも重さを感じさせるものではなく、特に違和感はありません。唯一の難点は、イヤーカップ部にある電源を入れないと、何も音を聴くことができないことぐらいでしょうか。つまり電池が切れてしまうと、音楽が聴けない、ということです。とはいえ、これもそうそうあることではないとすると、あまりストレス要因にはならない気がします。
さて、早速このヘッドホンを試してみた感想ですが、音質についてはネット上でのレビューに多く見られるように、「非常に無難な音質」でした。素晴らしく良い、とも思いませんでしたが、普通に聴けるレベルだと思います。
私も詳しいわけではないのではっきりとはいいにくいですが、どうやらBOSE社特有の音質というものがあるらしく、低域重視で厚みのある音のようです。これは、このQuiet Comfort 2でも同様との実感があります(以前Wave Music Systemという同社の製品を視聴させていただいたことがありましたが、確かにその時の音の傾向に近い気がしました)。
少し間違えると篭った感じの音と言われそうですが、低音部が厚いながらも比較的はっきりと聞こえる点が特徴ではないかと思います。私が聴くようなジャンルの曲には、非常にマッチしていました。逆に高音部が特徴的なジャンルの曲だと、高音部が少しぼやけた感じになるので、あまりそういったところに特徴のあるジャンルを再生するには向かないかもしれません。
しかし、このヘッドホンで一番特筆すべきはやはりこの「低周波ノイズの削減機能」でしょう。多くのユーザに触れられている点ですが、確かに装着すると「音に集中できる自分だけの空間」をどこでもしっかりと作れるのは嬉しい限りです。特に、通勤・通学時の電車や、エンジン音がうるさい飛行機の中でもプレイヤーのボリュームを上げずに音楽の視聴が可能なことは、そういった場所でボリュームをとにかく大きくして聴いても曲がノイズに巻き込まれてしまうストレスを味わったことのある人には、間違いなく朗報でしょう。
このヘッドホンは、電源を入れておき、各種プレイヤーをつながずに耳にあてれば、遮音用の機器としても使えるのです。静かに本を読みたいとか、静かに仕事をしたいといったニーズにも応えてくれます。
BOSE社は独特なマーケティング手法(大手流通に製品を流さず、限られた自社店舗と、タッパーウェア型の集合視聴体験機会の提供で製品をユーザに体験してもらうもの)で、一般のお店ではなかなか試聴も購入もできません(注1)。4万円前後という値段を考えると、購入後にユーザとしてはなかなか悪いことを書きにくい部分もあるかと思いますが、そういう部分を差し引いて考えても、いいヘッドホンなのだと思います。
ネックは4万円で、しかも試聴もできないというリスクはありますが(注2)、アクティブに屋外でも音楽を、しかも低音部の豊かな音楽を楽しみたいという方には「買ってもよし」と言える製品ではないでしょうか。
注1) Quiet Comfort 2は集合視聴体験会を通しての視聴は実施しておらず、直営店とAppleStoreでのみ購入可能です。
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