深さ1.5mまで連続30分という制限付きながらも、別売の防水ケースなどを必要とせずに水中撮影が可能な本機Optio WP。ZDNet Japanの編集部にも大きな水中撮影キットを購入したものの、使う機会もあまりないばかりか、海外旅行へ持って行ったときには、そのデジカメ離れした防水ケースのスタイルゆえ、外国人に不思議な視線を向けられたという経験をもつ部員がいるが、本機ならばビーチでも自然に思い出をカメラにおさめることができるだろう。
試用時ももちろん、水道の蛇口からの水浴びだけでは物足りず、早速外出して水中撮影を試してみた。本来は海に潜って美しい水中を撮影したいところだがそれはかなわず、水中にカメラを突っ込んでの撮影を試した。手馴れた人には当然のことなのかもしれないが、水中では空気中と比較し若干光量が落ち暗めの写真になりがちなことや、手だけ水中に入れての撮影のためファインダーが水中に入っていてよく見えず、被写体の確認が難しかったりと、意外に思ったとおりの撮影はするのは難しい。だが、そのあたりは水中でも撮影できるデジカメだけあり、撮影モードには水中専用の「マーメイドモード」がついており、光の量がやや少ない水中でも美しい色合いに撮影できるモードも用意されているので、水中撮影時には積極的に利用したい。
だが、少々撮影は難しくとも、この手軽に水中を撮影できるという機能の魅力には抗いがたいものがある。海が透き通るような美しいビーチにいったが、浜辺の写真だけしか撮影できず、水中の魅力を友人などに自慢できずに残念に思った経験をもつ読者も多いのではないだろうか。本機を持っていれば、磯遊びから、簡単なシュノーケリングまで、今まで記録できなかった場面を余すことなく思い出に残すことができる。
なお、当然本機は水より比重は重いので、水中で使うときには手軽だからといって、うっかり手放して水中に沈めないように注意したい。例えばストラップ孔を利用して「うき」をつけるなどして落下防止策を講じると安心だ。
また、防水加工の副次的効果だが、Optio WPはレンズ部分が一般のカメラのように外部まで沈胴する形式ではなく、透明の保護バリアの内部でのみ沈胴する仕組みとなっている。結果、レンズバリアのようなものがないため、レンズを保護している透明のバリア部分を指紋などで汚しやすい。反面、レンズ部分がカメラの外側には出ないため、ぶつけたり落としたりしたとき壊れやすい沈胴部分を破壊しまう心配はないだろう。
基本性能は500万画素に、光学3倍ズームとこのクラスの価格の製品としては標準的なものだが、防水加工がしてあり、このスリムさを思えば納得のスペックだ。モニターは本体サイズいっぱいの2.0型微反射型液晶モニターを備え、屋外での視認性も高く安心して使うことができる。
撮影画質については、やや全体に白っぽくコントラストが低めなため、筆者のようにくっきりとしたカラーを好む人は設定など若干の工夫が必要だろう。
また、ISO感度が低い状態でも、曇天時や暗所などでは比較的粒状のノイズが目立つ。画質を重視する場合にISO感度を調整する際は、より慎重な選択が必要だ。
操作面に関しては、ペンタックスならではのアイディアがいくつか組み込まれており、非常に自由度が高い設定が可能だ。例えば本機にはグリーンボタンと呼ばれるボタンがあり、これを押すことで一瞬にして標準の撮影設定に戻したり、露出調整など頻繁に利用する機能をすぐ呼び出すことができる。そしてこのグリーンボタンにどの機能を持たせるかはユーザーの必要に応じて自由に入れ替えが可能だ。
また撮影モードは、「夜景」「風景」などのよくあるモードだけでなく、「美術館」や「キャンドルナイト」といったものまで合計20ものモードが用意されている。普段はそのうち15モードだけが選択できるようになっており、モードメニューはユーザーで必要なモードを選んで表示させるといった仕組みになっている。
さらにフラッシュの発光禁止、露出調整の値、ISO感度の値などを電源OFF時にそれぞれ記憶するかどうかまで、カスタマイズが可能だ。こういったメニューのカスタマイズ機能はペンタックの機種ではおなじみのものだが、コンパクトカメラでも自分の撮影習慣に合わせて自由に設定を切り替えることができるカスタマイズ機能が用意してあるのは、標準の設定に不満を感じている人にはうれしい機能だ。
「あまり水場にはいかない」という読者もいるかもしれない。確かに防水というと、どうしても夏のレジャー先行のイメージだが、冬場であっても雪の中の撮影など本機の防水機能が役立つシーンは大変多い。また、防水性能とともに防塵性能も高いため、デジタルカメラに気を使い撮影を控えてきた多くのシーンも、撮影可能になる。コンパクトカメラを選ぶユーザーの「“クリエイティブツール”というより、生活のいろいろなシーンをあますことなく記録したい」という期待にうまく応えてくれるデジカメだ。
全天候型ともいえるタフネスさを備えながらも、バックに入れつねに持ち歩いても納得のデザインを備える本機は、つねに持ち歩くコンパクトデジカメにふさわしいコンセプトを盛り込んだモデルだといえるだろう。
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