お手ごろ価格に充実性能。エントリーユーザー狙い撃ちデジカメ 三洋電機 Xacti DSC-S5

五十嵐啓人(CNET Japan Staff)2005年04月22日 00時00分
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三洋電機
内容:今回取り上げる三洋電機製デジカメ「Xacti DSC-S5」は、基本性能の充実とともに、優れた価格設定をもつプロダクトだ。デジカメの年間出荷台数が800万台を超え(2004年CIPA統計)、すでに多くの人がデジカメを手にするようになった今、三洋がエントリー層をターゲットに送り出した本機のインプレッションをお伝えする。

マニュアル不要の簡単インターフェイス

三洋電機 Xacti DSC-S5

本体背面。1.8型モニターは屋外でも明るく、視認性も高い

 「本と娼婦はベッドに連れ込める」という言葉を残したのはかのベンヤミンだが、ZDNet Japanの編集部にも「デジタル製品のマニュアルはベッドに連れ込める」と豪語する“マニュアル好き”の上司がいる。製品マニュアルの随までしゃぶろうという心意気はレビュアーの鏡だが、できればマニュアルを読まずに製品を使いこなしたいという願いをもつ人は多いだろう。

 本機DSC-S5は、マニュアルにはちょっと食指が動かないという人にも、安心しておすすめできるデジカメだ。

 モード切替、シャッター、ズームなどの最低限の機能を除き、その他はディスプレイ横にある十字キーと、中央のボタンの2種が用意されているのみ。ディスプレイの表示に従い操作するだけのカンタンさだ。ディスプレイの操作ボタンも大きく見やすく作られており、細かい文字が読むことが負担になるシニア層などにも優しい。

 数あるデジカメの中には、ひとつのボタンに多数の機能を割り当てていたりなど使いにくいものもあるが、本機ではその心配は無いだろう。

必要十分の基本性能

 ハードウェア基本性能としては、510万画素、光学2.8倍ズームとひととおりのツボは抑えており、このクラスのデジカメとしては申し分無い。また16MBとそれほど大きいサイズではないが内蔵メモリもついており、メモリーカードを入れ忘れてしまったなど、いざという時にもまったく撮れないということはないので安心できる。

 画質についてはサンプル撮影写真を見ていただきたいと思うが、クセの無い素直な色表現だと感じた。また、マクロモードでの最短焦点距離も2cmで、至近距離の無理な撮影でも柔軟に対応してくれる。

 このように概ね好印象の本機だが、細かいことを言えば、やや光学ズーム使用時のモーター駆動音が大きい。屋外であれば気にならないだろうが、講演会などの静かな場所では少し気になる音の大きさだった。

 また、本機にはいろいろな撮影モードがついており、シーンごとに最適なモードを選択することで、より美しく撮影することができる。だが、この機能を利用し夜景モードで撮影したところ、シャッタースピードが落ちるため手振れしない画像を撮影するのはかなり難しかった。「夜間三脚も使わずに手振れ無しの写真は撮影できない」というのは常識かもしれないが、必ずしもその知識がエントリーユーザーに共有されているとは言いがたい。みなとみらい界隈を散歩していると夜景を撮影しようとしている観光客が、フラッシュをたいてしまっている姿も多く目にする。

 これは決して本機に限った話ではないが、ISO感度を最大固定にしてシャッタースピードを上げることで、撮影品質は少し下がっても、手振れなどの失敗を最小限に抑えられるエントリー機ならではの“夜間モード”というものがあってもよいのではないかと感じた。

サンプル撮影画像(リンク先未加工)

解像度 : 2592×1944
画像サイズ : 約1.3Mバイト
露出時間 : 1/246秒
レンズF値 : F4.2
ISO感度 : 50
撮影条件 : 曇天
解像度 : 2592×1944
画像サイズ : 約1.1Mバイト
露出時間 : 1/670秒
レンズF値 : F4.3
ISO感度 : 50
撮影条件 : 曇天
解像度 : 2592×1944
画像サイズ : 約1.3Mバイト
露出時間 : 1/10秒
レンズF値 : F3
ISO感度 : 100
撮影条件 : 室内
解像度 : 1944×2592
画像サイズ : 約1.0Mバイト
露出時間 : 1/18秒
レンズF値 : F3
ISO感度 : 100
撮影条件 : 室内
解像度 : 2592×1944
画像サイズ : 約1.1Mバイト
露出時間 : 1/324秒
レンズF値 : F4.6
ISO感度 : 50
撮影条件 : 曇天

お手頃価格で充実性能のエントリーモデル

 これらの基本機能以外にも、ユニークな機能に500万画素の本機で1000万画素の画像を撮影するモードがある。つまり、本機目いっぱいの画素数で撮影した画像を自動的に2倍のピクセル数に引き延ばしてくれるということだ。もちろんその分記録データ量は大きくなるが、A4などの大きい用紙にダイレクト印刷したいときでもPCで画像を加工することなく、高品質な画像を出力できる。

 本機が対象としているいわゆるエントリー層向けには、他社からも多くのデジカメが投入されており、競争も激しい。各社ごとに価格・スペック・手振れ防止など独自の路線でエントリー向け市場でのシェア拡大を図っているが、本機は現在の実売価格が2万5000円〜3万円弱と500万画素クラスのデジカメの中でも随一の価格を誇っており、コストパフォーマンスの高いモデルのひとつだ。画素数というわかりやすい指標がエントリーユーザーにとってデジカメ選択の大きな材料となる中で、うまくエントリー層の欲しい機能と価格を両立させている。使い勝手もよく多くの人に安心しておすすめできる端末だといえるだろう。

 今後デジカメの裾野がさらに広がるにつれ、デジカメに求める消費者の価値観もさらに多様化していくことは間違いない。今までデジカメ選択で大きなウエイトをしめた画素数という指標だけでは差別化が難しくなる中、“クリエイティブツール”というより、生活の中の“アクセサリー”としてデジカメをとらえるエントリー層にどのようアプローチをとるのか。ムービーデジカメなど独自のコンセプトを打ち出している三洋電機の戦略に今後とも期待したい。

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