前編では「Mac mini」に“触れる”ところまでしか至らなかった。そこで今回はまず実際に動かしてみた印象を簡単に述べる。
アップルから借り受けた試用機は、1.42GHzのG4チップを積んだ上位機種のほうで、これに1GBのメモリと80GBのハードディスクを搭載し、さらにWi-Fi対応の無線LANカード「AirMac Extreme カード」とBluetoothモジュールを内蔵している。しかも光学ドライブは「SuperDrive」と、現状で入手可能なハードウェアの選択肢をすべて盛り込んだ構成だった(オンラインのアップルストアで試算したところ、これだけで税込み13万620円(2005年3月18日現在)と出た)。無論、キーボード&マウスは Bluetooth対応のワイヤレス版で、これに20インチの「CinemaDisplay」がついているのだから(ラーメンにたとえると光麺の「熟成光麺全部のせ」でもかなわない)超ゴージャス版といったところか。
欲張ったことを言えば、正直もう少しリーズナブルな組み合わせを試してみかった。自腹を切ることを想定すると、メモリは512Mバイトへのアップグレード(プラス8,610円)がせいぜいで、1Gバイト(プラス3万7,590円)はとても手が出ない気がするし、またそこまで出すなら別の選択肢も視野に入ってくると思う。だが、そこは人間万事塞翁が馬で、「Mac mini」が提供する機能をひと通り概観することができたのは、やはり“全部のせ”だったおかげでもある。
システム自体、少なくとも大多数のMacユーザーにとっては、すでにお馴染みのMac OS X 10.3なので、今更に当方が屋上屋を重ねる部分もない(乗り換えを検討しているWindowsユーザーには気になるところだろうが、書き出すと切りがないので割愛させていただく)。ただし、これだけのユーザー・エクスペリエンスを生み出すものが、すべてこの小さな「お弁当箱」──自宅に持って帰ってテストしてみたところ、さっそくそういうニックネームが付いた──に収められていると思うと、不思議な感慨のようなものさえ沸いてくる。
動作全般についての印象は無論十分に快適なものだった。ブラウザや電子メールソフトなどを使っている分には不足はない。また「iMovie HD」や「iDVD 5」を使った比較的ヘビーなタスクについても無難にこなしたとの印象を受けた(ただし、「Power Mac」の最上位機種と並べてベンチマークをとったわけではないので、これはあくまでも主観的なものである)。
動作音についても売り込み通りで、数十センチメートルしか離れていない目の前──デスクトップのモニター脇に置いて動かしていても、「スーッ」といった感じのかすかな音しかせず、こちらが不安になるほどだった。ただし、1つ気になったのは「SuperDrive」の動作音で、ディスクの読み込み時などには比較的大きい音がした。もっともこれが、搭載されている松下寿電子製の薄型DVDドライブに共通するものか、それともこの個体に特有のものなのかは現時点では不明である。
私がもっとも感心したのはBluetoothのキーボード&マウスで、これについては動かし始めてすぐに「マスト・バイ」と感じた。携帯電話機や PDAとのデータ同期などはめったに考える必要がなかった私には、これまで正直Bluetoothを見くびっていたところがあり、机まわりの配線が不要になる程度の認識しかなかったため、導入の動機付けを持てなかった。だが今回初めてこの無線キーボード&マウスを利用してみて、非常に感度が高く、ストレスなく使えることが判明し(試しにどれくらい遠くから操作できるかを仕事場のオープンスペースで実験してみたところ、5〜6メートル程度は楽勝という感じだった)、存外の好印象を持った。
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