デジタル画像処理大手のアスカネットの業績が順調に回復する見通しとなり、株価上昇への期待感が強まってきた。同社は2008年4月期の業績(非連結)見通しについて、売上高39億円(前期比19%増)、営業利益5億1000万円(同2.9倍)、経常利益5億1000万円(同2.7倍)、税引き利益2億9000万円(同2.9倍)とV字回復を予想している。
この急激な業績回復見通しの背景となっているのは、パーソナルパブリッシング事業の順調な拡大が見込んでいるためだ。パーソナルパブリッシング事業というのは、デジタルカメラの普及が加速する中、従来のフィルムと印画紙では不可能だったデジタル写真ならではの新しい楽しみ方を消費者に提供する新しいサービスだ。同社が無料で提供するソフトを使用してユーザーが編集したデジタル写真を同社サイトにアップロードすれば、写真集やアルバムなどが作成できるサービスで、需要拡大が見込まれている。
この中でも、ユーザーが編集してアルバムを作る「マイブック」の利用の拡大が期待されている。「マイブック」は、子育ての記録や、旅行、結婚式などのイベントに多く利用されている。このほか、2006年10月からスタートした「オートアルバム」も好評を得ていえる。「オートアルバム」は、撮影したデジタル写真を同社サイトにアップロードすれば、L版1枚当たり16円(A4サイズ・80ページの場合)の単価で自動的にアルバムを作成することができるというサービス。
前期の2007年4月期は、タレントの眞鍋かをりをイメージキャラクターとして起用するなどしてテレビ、新聞、雑誌などで積極的なCM戦略を展開したのをはじめ、米国ラスベガスで開催されたコンベションに参加するなど、広告宣伝費が例年の約1億円に比べ3億円多い4億円と大きく膨らんだという特殊要因もあり、経常利益は1億8400万円(前々期比50.2%減)と大幅減益を強いられたものの、今期はそれが通常ペースに戻ることから、利益がV字回復することになる。
同社のもうひとつの主力事業である、葬儀社向けに遺影写真の合成とオンライン配信を行うメモリアルデザインサービス事業については、画像処理の高い技術力や充実した自社サポート体制を強調した顧客開拓を進めると同時に、生産面でも生産工程や業務分担の見直しを行い、より効率な生産体制の構築に努めることから、今期も安定した成長が見込まれている。
さらに、同社では海外での婚礼写真市場の取り込みを狙って2年前から米国、豪州に進出し、プロのカメラマンに特化して提携するビジネスを展開している。こうした海外を含めたパーソナルパブリッシング事業の成長を今後のけん引役として、同社では2013年4月期までに売上高を前期実績(32億円)に比べて約3倍の100億円に引き上げる中期計画の達成を目指している。
同社の株価は、前期2007年4月期決算発表に伴って明らかにされた今期2008年4月期の業績予想が急回復見通しとなったことを好感し、10万円台を回復した。その後は11万円を挟んだ水準での推移となっている。先週末13日の終値は10万8000円で試算したPERは16.2倍と割安水準にある。今後業績の急回復が確認されるに従って、株価も上場軌道をたどり、中期的には年初来高値(2月2日)の13万円台の回復も期待ができそうだ。
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