消費の行方を左右するインターネット上の口コミ情報をビジネスに生かそうと、コンビニ各社がネット通販とのコラボレーションに力を入れ始めている。コンビニの中心顧客層である20〜30歳代の消費者は、ネット情報を基に商品を購入する傾向があり、ネット側にも実際の商品を手に取って選んでもらえるといったシナジー(相乗)効果が期待できるためだ。
ローソンは17日から、楽天が運営する通販サイト「楽天市場」の人気商品をナチュラルローソンで販売する。楽天市場でしか購入できない15種類のスナック菓子や洋菓子で、健康志向の高まりに合わせ、無農薬栽培の原料を使用した商品を厳選した。これに続き、31日からは楽天市場で人気のふりかけを使用したおにぎりなどの販売も始める予定だ。
ローソンは、楽天市場とのシナジーを高めるため、店頭で配布するチラシにQRコードを印刷。携帯電話のカメラでQRコードを撮影すると、携帯サイト上の商品販売ページで買い物ができる仕組みを整えた。
ファミリーマートはすでに、ネット通販大手のディー・エヌ・エー(東京都渋谷区)と共同開発した有名菓子職人監修のスイーツを販売。1カ月に2品目ずつ店頭に並べ、ディー・エヌ・エーが運営する通販サイト「ビッダーズ」で、販売中の商品の開発秘話などを紹介している。ファミリーマートの上田準二社長は、「ビッダーズの利用者層とファミリーマートが狙う顧客層が一致した」と、コラボのメリットを強調する。
これとは別に、同社は、自社開発した化粧品の店頭販促物に登場するモデルを、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の「ミクシィ」上で募集するなど、ネットの活用を加速させている。
最大手のセブン−イレブンもオリジナル化粧品「パラドゥ」のマスカラのデザインを、ヤフーのサイト上で公募。「店頭での告知は来店しない人には伝わらない」(広報部)ことから、ネットを魅力的な宣伝媒体と位置づけている。
コンビニとネットのコラボが加速する背景には、「ネットの口コミ情報の影響力」(ファミリーマート)がある。パラドゥの場合、化粧品の口コミサイト「@コスメ」で評価が上がると、商品に関する問い合わせが一気に増えたという。
テレビの通販番組と異なり、ネットには消費者が欲しい情報を求めてサイトを訪れるため、あらかじめ興味を持った人に絞って商品をPRできるという利点がある。ただ、ネット上では写真や文章でしか商品を説明できないため、コンビニとのコラボ販売は今後ますます増えそうだ。
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