自動化という発想を基盤とする企業が、クリーン技術に関して効率を重視しても驚くには当たらないだろう。
IBMはここ1年間で、エネルギー効率や水質保全を手掛ける一部の新興企業との連携を開始してきた。その背景には、将来的にそれらの技術の安定的な需要が見込めるとの意図がある。
「これまで、わずかの資本しか、改善のために必要とされてこなかった。劇的な効率の向上と無駄の削減を図り、資本を自由に使えるようにすることが可能かを確かめるというのが1つの考えだ」と語るのは、IBMのVenture Capital Groupの戦略担当ディレクターであるAndrew(Drew)Clark氏だ。
IBMは10年ほど前から、新興企業が開発した革新的な技術を利用するため、ベンチャーキャピタルグループと正式に提携し始めた。それらの技術が、同社のより大規模な取引に合致する可能性がある。
IBMは、同社のBig Green Innovationsイニシアチブの一環として、クリーン技術を手掛ける新興企業を探し出し、それらの企業と連携し始めた。現在、さまざまな分野で、ベンチャーキャピタルの急増を追い風にクリーン技術企業が続々と設立されつつある。
しかし、太陽エネルギーやバイオ燃料がメディアで大きく取り上げられる中、IBMは主に(資源の)保全に力を入れているとClark氏は語る。
その理由は、電力業界が、電力網へのピーク需要を減らすためのエネルギー効率技術(今のところ、クリーン技術の中で最も成功している分野の1つ)に注目しているからだ。
Clark氏は、「連結した全てのエネルギー装置からの情報を管理できるようにするには、われわれはどのような設計を行えば良いかとの問い合わせを電力会社から受けている」とした上で、「われわれは自分たちのIT知識を活用し(中略)それを全く別の分野に適用することが可能だ」と語った。
一例として、IBMはGridPointと呼ばれる企業と「本格的に」連携している。GridPointは、再生可能エネルギーを生成し、それを家庭に保存するシステムを開発している。この(価格が1万ドル以上する)比較的高価な製品を市場投入する上で、電力会社は重要な役割を果たせるとClark氏は指摘する。
また水質保全の分野では、IBMは水質に関する情報の監視、収集を可能にするシステムを開発してきた複数の新興企業との連携を開始している。潜在顧客は地方自治体だとClark氏は語る。
IBMはもちろん、データを収集し、同社のハイエンドサーバで高度な分析を行うことを得意としている。
水に関して言えば、IBMは長期間かけて水質の変化を追跡するモデルの構築やさまざまな要因をリアルタイムで表示するダッシュボードの開発が可能だ。
IBMの注目するそのほかの分野のクリーン技術としては、企業の「カーボンフットプリント(二酸化炭素排出量)」の算出や、エネルギー効率の向上を目指すグリーンビルディング企業との連携などが挙げられる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したも のです。海外CNET Networksの記事へ
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