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SEMは生活者視点の広告手法〜マーケティング全体との相関

加藤順彦(株式会社NIKKO 代表取締役社長)2007年06月25日 08時00分
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 リスティング広告を含め、生活者の検索行動を基にしたマーケティング活動は、サーチエンジンを利用したマーケティング手法=SEM(Search Engine Marketing)と総称されています。

 グーグルに並び、この市場の重要プレーヤーが先頃ヤフー株式会社傘下となることが発表になったオーバーチュアです。そのオーバーチュアがこの2007年4月、世界展開に伴い日本でも「新スポンサードサーチ」(開発コード名「Panama」)へ広告システムを移行を開始しました。

 この変更によってオーバーチュアは広告掲載順位=入札価格という一元的な仕組みから、グーグル同様に広告の質(リンク先との関連性・親和性)やユーザーの注目度が表示順位に影響する複雑な仕組みに変化しちゃったのです。

 これは生活者視点でのサービス改変です。

 広告会社は無論、広告主もこれまでよりもますます生活者の都合やニーズを注視し、彼らの求める解を広告に&リンク先に用意し続けなければ、獲得はおろか検索結果に表示すらされなくなったのです。

 NIKKOではこれを機に広告主の、そして広告会社のSEMにおける単価至上主義・順位至上主義が緩和し、合理的に適切な成果を追求する欧米型の運用が広がっていくのではないかと考えています。

 この変化に伴って広告主がSEMをより鳥瞰的なマーケティング活動の一環に位置づければ、その中で検索行為の意味や役割がより明確になってくのではないか、と思うからです。

▼マーケティング活動(4P)→販促・広告(promotion)→AD→SEM(リスティング広告・SEO)

 ……と、この時点でも企業のマーケティング活動全体から見れば十分各論なわけですけど、こういった鳥瞰の意識を欠いてしまうとSEMの性質上「単価」「順位」といった数値・状況に視点を奪われすぎてしまい、極めて微細な(あるいは些細な)ことに振り回されてしまうのです。

ナスカの絵

 もちろんSEMのパフォーマンス係数を最適化、最大化する行動は必要不可欠な要素ではありますが、そこで注意しなくてはならないのは、ミクロな係数値一つ一つに注目しすぎちゃうと、それぞれの作業が本来の広告主の目的(ビジネスゴール)を見失うことなんです。

 「木を見て森を見ず」ですね。ナスカの地上絵で必死になって地面走ってても汗だけかいて何も見えてこないわけです。自戒もこめ(^^;)。

 無論、細かい各論の積み重ねから目指すビジネスゴールへとは繋がっていくわけですが、実際には特定の広告の顧客獲得単価だけにフォーカスして最適化を目指しているケースが多く、しかもその最適化が現実のビジネスにはほとんど影響してない(!)ということもままあるのです。

 遍くマーケティング活動は、直接・間接を問わず、ビジネスゴールに繋がるアクションでなければ成立しませんし、そうでなきゃ、そこに投資する意味は無いわけです。

 故にリスティング広告に限らず、あらゆるマーケティング活動で求められる「費用対効果」というのは、単に単価や率を指す訳ではなく、取り組むビジネス全体への貢献度を考える必要があるんですねぇ。

  • ビジネスゴールは何か
  • どんな手段を用いるのか
  • 競合はどうしているのか
  • ユーザーのインサイト(消費者のホンネ)は
  • どのように評価すべきか
  • 評価をいかにしてアクションに繋げるか

上記のようなマーケティング課題は、ウェブサイトにも言えます。

 ウェブサイトをマーケティングに活かすには、その誘導先のコンテンツの位置づけ・求められる役割にあわせて上記ポイントから独自の指標を作り、そのウェブサイトごとの指標から集客効果を総合的に見るということが大事です。同じ企業のウェブサイトの中でも、コンテンツごとの役割があります。誘導先ページすべてを単一の数値指標や同じタイプのレポートで検証するというのはもう古いわけです。

 その「求めるゴール」にあわせた検証を可能にしたツールの開発と運用ノウハウを持っているのは日本でもまだ数社しかありません。

 広告主と広告会社がビジネスゴールから帰納して、本来有るべきマーケティング活動の、本来取り組むべきPDCA(Plan-Do-Check-Act)サイクルを決めて実行していくことこそが大事だ!と思っています。

 これからも絶えず新しい最先端のコミュニケーションが創出されていくことでしょう。そのたびに技術はバージョンアップされていきますが、そのベクトルは、真っ直ぐに広告主に、そしてその先にいる生活者に向かっています。

 なぜ、こういったスタイルに変化してきたのかを考えると、やはりインターネットが生活者にパワーを与えたんだな、って思います。今回のPanamaのようなシステムの導入は、ウェブサイト上での生活者のニーズに「より適切にマッチする」広告を実現するためにあり、これからの広告のあり方を示唆していますね。

*共著:株式会社NIKKO メディアマーケティングDiv. 元良一裕、佐野玄

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 新潮流の加藤コラムはここでネタ切れ!ということで一旦区切りとさせていただき、勝手ながら休載とさせていただきます。

 充電して今度は文春流、或いはポスト流のコラムなどいつか書かせていただきたいと思っています。これまでご愛読頂いた多くの方、コメントやトラックバック、ブックマークを頂いた方、併走していただいた海老根さん、本当にありがとうございました。

 そして今後とも何卒よろしくお願いいたします。ではまた今度。

加藤順彦
株式会社NIKKO 代表取締役社長

1967年4月7日生まれ、大阪府出身。関西学院大学商学部在学中の1986年に株式会社リョーマ設立に参加し、学生起業を興す。1991年同大学卒業後、株式会社徳間インテリジェンスネットワークに勤務。1992年に雑誌媒体専門の広告会社、日広(現NIKKO)を設立。1996年からインターネット広告の取り扱いを開始、ウェブサイトを軸としたインタラクティブマーケティングに強みを持つ総合広告会社へと発展。日本広告業協会 インタラクティブメディア研究小委員会委員、日経広告研究所 デジタル放送広告研究会委員。

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