ノートPCモバイラーに必須のアイテムとは?--お気に入りガジェットバトン第18回

 米国在住ということで「米国ならではのヘンなガジェット」みたいなものを期待されて元麻布氏よりバトンを渡されたようですが、残念ながら、そのようなものはありません(苦笑)。実際のところ、PC関係のガジェットは日本とそう大差はなく、目新しいといえば6月29日の発売が予定されているiPhone購入計画を立てているくらいです。現在使っているMotorolaの初代RAZR(すでに3年選手)が壊れる寸前なので、その代わりとなる携帯の登場を待ちわびているだけだったりします。というわけで今回は、先日購入したばかりのMacBook周辺に話を振ってみたいと思います。

バックアップは重要です

 今年初めにCES取材で出張中、ThinkPadのHDDクラッシュで1年間ぶんの作業データをすべて失って以来、新しいノートPCの購入計画とともに、こまめなバックアップ計画、メールのGmailへの移行、作業データのオンライン保存を進めていました。もし出張先で手持ちのマシンがクラッシュして作業ができなくなっても、オンライン上にデータがあれば、現地のプレスルーム等でマシンを借用することで即作業を再開できます。詳細は後述しますが、この原稿も実は自分のマシンではなく、米フロリダ州オーランドで開催されたTechEd 2007のプレスルーム据え付けのVistaマシンで書いているものです。Gmailの下書き機能で原稿を書きためて、送信の際にテキストファイル化して写真と一緒に編集部に渡します。最近のWindowsは、英語版OSでも簡単に日本語入力環境が導入できるから便利ですね。

 これまで某出版社の編集者時代から、某ITなメディア系のウェブサイトを立ち上げ、そして米国にやってくるまでの約9年間、一貫してIBMのThinkPadユーザーでした。ただ最近はWindows PCにも少々飽きてきたこともあり、Macへの乗り換えを検討していました。Windows専用アプリの依存度が低く、もともとゲームなどもやらないため、移行自体は簡単だと考えていましたから。米国内での移動が多く、家の引っ越しも多いためデスクトップPCではなく、ノートPC一択です。MacBook ProではなくMacBookを選んだのは、こちらのほうがデザインが好みだったからです。

 そして5月15日、基本仕様の強化されたMacBookが発表されました。これを乗り換えの好機とみて早速購入、5月31日からのサンノゼ→ボストン→オーランドの長期出張に備えセットアップを続けました。そのときに活躍したのが今回紹介するアイテムです。

IDE/ATAPI接続のHDDをUSB 2.0経由でPCに接続する「DIU2」。画像は若松通商のホームページから IDE/ATAPI接続のHDDをUSB 2.0経由でPCに接続する「DIU2」。画像は若松通商のホームページから

IDE/ATAPI → USB 2.0 「DIU2」

 このアイテム、以前にThinkPadのハード自体がクラッシュしたとき、修理前にHDD内のデータを引き上げるために購入したものです。USBケーブルの反対側に2.5/3.5インチ両HDD接続用のコネクタが配置されており、接続したHDDをそのままUSB接続の外部ストレージとしてPC上にマウントできます。

接続したHDDは、そのままUSB接続の外部ドライブとして操作できる。USB 2.0でデータの高速転送ができるため、非常に便利だ 接続したHDDは、そのままUSB接続の外部ドライブとして操作できる。USB 2.0でデータの高速転送ができるため、非常に便利だ

 接続するHDDが3.5インチの場合は外部電源が必要になりますが、2.5インチの場合はそのまま接続できるため便利です。USB 2.0にも対応しており、ヘタな低速ネットワーク経由よりも高速データ転送が可能です。あくまで体感ですが、40~50Gバイト程度のデータなら1時間ほど放置しておけばコピーできるようです。

 このアイテム、以後もバックアップ用途で当初思った以上に活躍することになります。以前にバックアップ用に米国のFry's ElectronicsでBuffalo(有名な日本のあのメーカーです)のNASを購入したのですが、これには致命的な欠陥がありました。米国で購入したので当然英語版なのですが、なんと日本語名のファイルをNASに転送すると文字化けが発生してしまい、データを読み出せないどころか、削除さえできない状態になってしまいます。

Windows PCだけでなく、Macにも問題なく接続できる。マウントされたWindowsシステム用のドライブは、Macフォーマットしなくてもそのまま外部ドライブとしてマウントできる Windows PCだけでなく、Macにも問題なく接続できる。マウントされたWindowsシステム用のドライブは、Macフォーマットしなくてもそのまま外部ドライブとしてマウントできる

 これだと使い物にならないので、ファイル名が数字だけの写真データ以外、すべてzipで固めてNASに保存することにしましたが、いかんせん不便です。そこで以後は2.5インチHDDをバックアップ用に購入し、先ほどのアイテムでデータを定期的に退避するようにしました。CD-RやDVDに書き出していたころと比較すれば、桁違いに作業や管理が楽になりました。

 バックアップ以外にも、マシン間のデータ転送で活躍することになります。たとえばMacBookを購入した際には、ThinkPadからのデータをMacに移動するのに役立ちました。Macでは、MacフォーマットのHDDでなくてもWindowsのファイルシステムのHDDをきちんと認識できるようで、ThinkPadのデータを退避したHDDをMacにUSB接続するだけで、そのままマウントできます。

 一方でMacはWindowsネットワークの認識も可能なようで、先ほどのNAS上のデータもCIFSボリュームのネットワークドライブとしてそのままMac上にマウントできます。フォルダ上に作業ファイルの"ごみ"を残してしまいますが、Windowsと同じ感覚でファイルを操作できるのは便利です。

米国内で購入したBuffalo製のNAS。ファイル名が化けるという問題はあるものの、2つあるUSBポートを使って外部HDDをネットワーク接続させたり、プリンタを接続してネットワークプリンタにすることが可能 米国内で購入したBuffalo製のNAS。ファイル名が化けるという問題はあるものの、2つあるUSBポートを使って外部HDDをネットワーク接続させたり、プリンタを接続してネットワークプリンタにすることが可能

 そんなこんなでThinkPadの作業データの一部をMacBookにコピーしたのですが、すべてのデータを移動するようなことはせず、Mac上で作成した原稿やデータ、そして撮影した写真データも、必ずバックアップ用HDDやオンラインに退避していました。理由の1つは時間がなかったのでデータの整理ができなかったからなのですが、これが思わぬ形でピンチを救います。

出張初日にMacBookがクラッシュ

 待ちに待った長期出張の初日、サンノゼでのGoogle Developer Day 2007の取材を終え、そのまま近隣エリアにあるオークランド空港へと向かいました。最初の目的地はボストン、そこでホテルにチェックインして原稿を送り、そのまま現地にいる友人に会いに行きました。ところが2時間ほどしてホテルの部屋に戻ってきたところ、MacBookの画面がブラックアウトして反応がありません。電源をいったん切って再起動すると、MacOSのロゴの代わりに、「?」マークのフォルダアイコンが表示されます。Macの知識はほとんどありませんが、システムファイル破損かHDDクラッシュと判断、修理のために先ほどの友人の力を借りて現地のApple Storeを探してもらいます。

 ボストン市内(正確にはケンブリッジ)で唯一のストアを探し当ててMacBookを持ち込んだところ、HDDクラッシュが原因と判明。ところが代替のHDDの在庫が同店にはなく、修理までには最低でも7~10日ほどかかるとのこと。ボストンに滞在するのは2日間だけの予定なのでそんな余裕はなく、申し出を断ってそのまま次の目的地のオーランドまで移動することに。担当したGenius Barのスタッフによれば、もしかしたらオーランドに代替部品があるかもしれないと言われ、同店舗内でオーランド市内に2つのApple Storeがあることを確認。TechEd初日での基調講演が終わりしだい、すぐに店舗で修理を依頼できるように予約の連絡を入れつつ……。

 オーランドに2つあるApple Storeのうち、Milleniaのショッピングモールにある店舗を選択してタクシーで移動。状況を説明してHDDの在庫をあたってもらったところ、Millenia店ともう一方のFlorida Mall店ともに在庫がなく、サポート上、一時的なHDD交換も難しいとの説明を受けました(Genius StaffのKP Capehartさん、長時間対応ありがとうございました)。結局出張中の修理は諦めて、サンフランシスコに戻ってからの修理を依頼することに。明らかに初期不良っぽいので返品して新品に換えてほしいところですが、ちょうど出張期間中に14日の返品期限が切れてしまったため、受け付けてくれるかどうかはわかりませんが、なんとかしてもらいたいところです(実際、壊れたのは買ってから10日目ですし)。

 後日談ですが、購入から3週間経っていましたが、事情を説明したらちゃんと新品に交換してもらえました。個人的にはいまのところ、サポートに満足しています。

 とはいえ仕事上作業マシンは必要なので、なんとかしなければいけません。幸いTechEd会場には大量のマシンが用意されていたので、時間の合間を縫ってマシンを日本語対応しつつ作業していました。メールはGmailでアクセスできますし、作業ファイルはたまたま持ち歩いていた2.5インチHDD内にあったので、そのままDIU2でVistaマシンにつないで外部ドライブとして認識させて、写真データのバックアップを含む作業に使っています。

 開場中だけのマシン開放のため作業時間は限られてしまいましたが、お気に入りガジェットがまさかの機器を救ってくれた好例になりました。ぜひ皆さんも、大事なデータのバックアッププランを検討してみてください。現在自分は、大量の写真データもアップロード可能な便利なストレージサービスを探しているところです。

鈴木淳也氏プロフィール

ネットワークやビジネスアプリケーションなどのエンタープライズ分野を中心として活動する在米フリーランスライター。最近は家電や組み込み分野の開発フレームワークやミドルウェア周辺に興味を持って動いています。目下の悩みは、物価高や円安でサンフランシスコが住みにくい街になってること。ホームレスも年々増えて、不景気や二極化が激しくなってきてるな、と感じています。


【使用製品】

DIU2(有限会社DECA)

正確な購入時期は忘れましたが、2年半くらい前です。場所は秋葉原の隅っこにある若松通商です。値段は4000円弱くらいだったと思います。


【お気に入り度合い】

お気に入りというよりも、作業に必須のアイテムです。


【次回執筆者】

小山安博さん


【次回の執筆者にひとこと】

デジカメや携帯、ガジェット系を専門にしている小山さんとの接点は少ないのですが、初めて一緒に仕事したのが今年初旬のInternational CES 2007。そのときの私のThinkPadのマシンクラッシュを目撃した人の1人です。ガジェット系は専門なので、面白いネタが出てくると期待しています。

【バトンRoundUp】

START: 第1回:澤村 信氏(カナ入力派の必須アイテムとは?) → 第2回:朽木 海氏(ウォークマンとケータイをまとめてくれる救世主とは?) → 第3回:大和 哲氏(ケータイマニアのためのフルキーボードとは) 第4回:西川善司(トライゼット)氏(飛行機の友、安眠の友、ノイズキャンセリングヘッドフォン) → 第5回:平澤 寿康氏(出張に欠かせない超小型無線LANルータ) → 第6回:石井英男氏(いつでもどこでもインターネット接続が可能なPHS通信アダプタ) → 第7回:大島 篤氏(電卓とデジタル時計の秘密) → 第8回:荻窪 圭氏(自転車とGPSがあればどこにでもいけます) → 第9回:田中裕子(Yuko Tanaka)氏(これでクラシックもOK!究極のカナル型イヤフォン) → 第10回:佐橋慶信氏(ビジュアル・ブックマークの実践方法とは?) → 第11回:清水隆夫氏(プロ御用達の業務用GPSデジタルカメラ) → 第12回:高橋隆雄氏(傭兵たるものガジェットなど持たぬ!) → 第13回:野本響子氏(「壊れても買い続けたい」理想のロボット) → 第14回:本田雅一氏(本田雅一氏の求める条件にピッタリはまる「あのデジカメ」) → 第15回:塩田紳二氏(紙に書いて「デジタルデータ」になるアイテム) → 第16回:山田祥平氏(山田祥平氏が愛用する移動時間の必須アイテム) → 第17回:元麻布春男氏(元麻布春男氏が「感心した」ガジェット)

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