ベンチャー企業では営業キャッシュフロー以上の投資をするケースが多く、「あと○○ヶ月で資金がショートする計画である」ということをより正確につかむことが重要です。さらにその正確につかんだ数字をもとに資金調達行為をしたとしても、1カ月経過し実績を入れたことで、さらに状況が変化してくることもあるわけです。
資金繰り計画表とのトレース方法としては、
・今月は計画に比べて○○万円減らずに済んだ
・今月は計画に比べて○○万円増えるのが少なかった
・計画と同様の進捗をしたとしても、あと○○ヶ月で資金がショートしてしまう
・仮に売上が1円も上がらなかったとした場合に○○ヶ月の運転資金が残っている
──のようなトレースコメントを把握することで、計画的な資金管理ができるかと思います。
資金繰りはどんなベンチャー経営者にもついてまわることですので、用意周到な管理をして、本来の事業への意識集中をすることにより、事業の成長曲線を描くことが当方の希望ではありますが、仮にそれをないがしろにしてきてしまった経営者の方がいる場合には、今すぐにでも事業計画から資金繰り計画を作成し、その計画値に実績を入れてみて下さい。
最後に、私からの問いかけとしては、
「みなさんの会社は事業計画を達成した場合に、○○カ月後の資金残高の予定をすぐに把握できますか?」
──これが自信を持って回答できることは、実は最低レベルのことであり、仮に回答できない経営者がいたとしたら、従業員への責任を今一度再考してみて下さい。
6回にわたってコラムをまとめてきましたが、世間では監査法人の不祥事、上場審査が厳しくなり、内部統制法案の議論など、非常に管理面に対しての意識が強くなっています。みなさんの会社が今後企業として成長して、変化し、そして継続していくためには、世間でいうところの内部統制というニュースソースに振り回されずに、その内部統制、経営管理という本質を理解いただき、決して事務処理で終わらせない仕組みをしていただきたいと思います。
ベンチャー企業の管理業務を常に支援し続ける当社のミッションとしても、ぜひこの啓蒙活動を続けて参りたいと思います。本コラムを通じて、皆さんの会社の経営管理の意識が少しでも変わるきっかけになることを期待しています。
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