人間のように動く柔軟な関節と柔らかな皮膚を持つヒューマノイド(人間型)ロボット「CB2」を科学技術振興機構(JST、埼玉県川口市)が開発し、1日、大阪府吹田市の大阪大学大学院で報道陣に公開した。ヒューマノイドロボットを研究するロボットとして開発されたが、癒し効果を持つ介護用や接客、1人暮らしの高齢者とのコミュニケーションロボットなどとしても役立ちそうだ。
人間に近い動きになるように、空気の圧力を利用して動く関節を全身56カ所に設置し、ロボットの表面はシリコーン製の柔らかい人工皮膚で覆った。
人工皮膚の下には約200個の高感度触覚センサーを配置した。ほおを押すと、その下にあるセンサーが検知し、押された方向に視線を動かしながら顔も向けることができる。
また、頭の部分にはカメラとマイクロホンをそれぞれ2個搭載しており、周囲の視覚的情報や音を感知して頭や手足を動かしたり、音声を発することができるようにした。開発期間は約1年半で、開発費は約6000万円。
石黒浩・大阪大学大学院工学研究科教授をリーダーとする研究グループが実際の開発を担当した。ロボットの高さは130センチ、重量は約30キロで、1、2歳の人間をモデルにした。
同日行われたデモンストレーションでは、座った状態のロボットが介助者の手を借りて立ち上がる動きが披露された。介助者がロボットの手を持って引き起こすと、ひざの屈伸運動を上手に使いながら立ち上がるなど人間に近い動作を見せていた。
石黒教授は「学習機能を搭載するなど、さらに改良を重ね、より人間とのかかわりが持てるロボットの開発に役立てたい」と話している。
従来のヒューマノイド型といわれるロボットは、機械的な動きや金属むき出しのボディーになっており、ヒューマノイドの大きな目的である「人間との自然なかかわり」を阻害していた。
また、硬い金属の体と強力なモーターによって駆動する関節を持つのが一般的だったが、2足歩行時の安定性や安全面も十分とはいえず、見た目の印象もヒューマノイドとは言い難い。とくにボディーの表面を覆う皮膚の触覚については研究が遅れていた。
CB2の登場で、より人間に近い“生命感”のあるヒューマノイドロボットの開発に弾みがつくといえそうだ。
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【用語解説】ヒューマノイドロボット
生産現場などで活用する産業用ロボットとは異なり、人間により近づくことを目的に設計されるロボットの総称。ホンダの「ASIMO(アシモ)」が代表格。2足歩行が大きな特徴で、人間の言葉を理解して会話をするなど、人間味あふれるロボットの開発が進められている。
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