任天堂に死角はないのか--想定される株価5万円へのシナリオ

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 任天堂の株価が好業績を背景に上昇し続けている。今後も順調に業績と株価が推移し、株価は5万円の大台を突破できるのか。また、“勝ち組の象徴”とされる同社に死角はないのか──。

 任天堂の2007年3月期の連結決算は、売上高9665億円(前期比90%増)、営業利益2260億円(同2.5倍)、経常利益2888億円(同80%増)、純利益1742億円(同77%増)と、大幅な増収増益を達成した。

 言うまでもなく、携帯型ゲーム機「ニンテンドーDS(NDS)」の好調に加え、2006年末に発売された据え置き型ゲーム機の「Wii(ウィー)」の販売が順調なスタートをみせていることが寄与した。NDSはハード販売台数が2356万台(前期比2.1倍)となり、ソフトも1億2355万本(同2.5倍)と非常に好調な結果となった。

 NDSの前期における地域別のハード販売台数は、国内912万台、米大陸663万台、欧州781万台となった。2007年3月期に発売された主なタイトルとしては、「NEW スーパーマリオブラザーズ」が全世界で950万本、「ポケットモンスター ダイヤモンド・パール」が国内517万本。さらに、2006年3月期以前に発売された「脳を鍛える大人のDSトレーニング」も568万本と好調な販売を続けている。

 Wiiに関しては、ハード販売台数が584万台となり、会社計画の初年度600万台をほぼ達成。ソフトも2884万本と第3四半期時点の会社計画2100万本を大きく上回った。タイトル別で見ると、ハードと同時発売となった「Wii Sports」が全世界で527万本、「ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス」が同327万本、「はじめてのWii」が262万本、「おどるメイドインワリオ」が同169万本などとなっている。

 Wiiで注目したいのは、これまでやや縮小傾向さえみせていた家庭用ゲーム機市場に、従来ゲームに対する関心の低かった女性や中高年層、高齢者までも巻き込んで需要層を広げたことの意義だ。また、ソフト面においても、脳トレーニング、語学研修、料理、旅行、音楽などへ幅を広げたことも見逃せない。

 2008年3月期の連結業績について同社は、売上高1兆1400億円(前期比18%増)、営業利益2700億円(同19%増)、経常利益2900億円(同0.4%増)、純利益1750億円(同0.4%増)と控えめな見通しを公表している。

 会社側の今期の販売計画は、NDSハード2200万台、同ソフト1億3000万本、Wiiハードは1400万台、同ソフトは5500万台を見込んでいる。ただし、同社は業績予想の為替前提を1ドル=115円、1ユーロ=150円としており、もし現状の1ドル=121円、1ユーロ=163円程度の為替水準で推移すると、大幅な為替差益の発生で収益が上方修正されることにもなりそうだ。同社の試算ではドルで想定に比べて1円の円安になると、37億〜38億円、ユーロでは同12〜13億円の為替差益が発生することになる。

近く大幅な株式分割発表か?

 順風満帆に見える任天堂の懸念材料について外国証券のアナリストは「ひとつはNDSハードの米大陸での販売台数が伸び悩んでいる点。さらに、Wiiについてはハードと同時に発売されたソフトのWii Sportsのような爆発的なヒットをみせるソフトが今後出現してくかどうかも気がかりな点」としている。

 ただ、今期はソフトメーカーのスクウェア・エニックから同社を代表するソフトの「ドラゴンクエスト」シリーズの最新作が、これまでの「PlayStation 2」からNDSにハードを変えて発売されるなど、有力ソフトメーカーの“重点ハード変更”が予想される。これにより、ユーザーのハード乗換えに弾みが付けば、非常に大きな好材料になることは間違いない。

 2005年9月には、1万1000円水準にあった任天堂の株価はその後ほぼ一貫して上昇軌道を描き、2年足らずの間に株価はほぼ4倍となる急上昇を遂げた。6月1日には株価4万3000円台に乗せてきている。

 ただ、さすがに連結PERは30倍まで上昇し、割り高感も出てきている。従って、今後は10%程度の調整は十分ありそうだ。しかし、現在売買単位が100株で、最低単位の購入金額が400万円を超えてきていることから、一般の個人投資家には手が出しにくい状況を加味し、近い将来の大幅な株式分割、あるいは投資単位のくくりなおしの可能性が高まっている。この予想される株式分割の発表などがきっかけとなることで、株価が5万円に向けて上昇する期待感が高まっている。

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