Symantecの「ノートン・アンチウイルス」などのセキュリティ製品が、誤ってWindows XP簡体字中文版のシステムファイルを削除し、起動できなくなる不具合が中国のITニュースで大きく扱われている。簡体字中国語の同OS以外は日本語版を含めてこの問題は発生しない。
Symantecは同社サイトのニュースリリースでこれについて報告し、謝罪のコメントを発表している。報告によると不具合とは、Windows KB924270のパッチをあてたWindows XP Service Pack 2簡体字中文版で、5月18日の午前1時から午後2時半の間に同社のセキュリティ製品をアップデートすると、同OSのシステムファイルのNETAPI.DLLとLSASRV.DLLをBackdoor.Haxdoorと認識し、隔離削除するというもの。その結果システムが起動しなくなる問題が発生する。落ちたシステムの救済措置として、同ページ内でFreeDOSと同社の対策ツールを収めたCD-ROMのISOイメージを配布している。
中国メディアは「被害は数百万台規模」と報じるとともに、中文版のWindowsでしか発生しなかったという結果から「シマンテックは中国のセキュリティ事情を研究しておらず、中国市場を重視していないのでは」という疑問を投げかけた。
23日改めて同社はマスコミに対して北京を主会場に、上海、広州、成都を副会場として釈明の記者会見を行った。会見にはSymantec Security ResponseのシニアディレクターVincent Weafer氏が登場。同氏は年内にも中国市場のセキュリティ問題や悪意のあるソフトへの対策の研究に特化した「中国安全響応中心(中国セキュリティ呼応センター)」を構築するとした。ただし中国メディアはその発表にも「具体的な成立時期、研究所を建てる都市、人員規模の詳細を発表していない」と辛口批評だ。
先日のBSAの世界の海賊版浸透率についての発表によると、中国の海賊版利用率は82%と報告されているが、セキュリティソフトについては海賊版が手に入りやすい一方で、ビジネスソフトの中では比較的値段が安いことからか、正規版も手に入れやすい状況だ。海賊版を利用し被害にあった個人ユーザーや企業ユーザーがある一方、ちゃんと正規版を購入したにもかかわらず被害にあってしまった個人ユーザーや企業ユーザーも少なくない。統計では中国のセキュリティソフト市場で、同社は企業ユーザー、特に金融業や電信業の企業ユーザーを中心にシェアを獲得している。しかし昨日の同社の会見では、賠償などの対処に関してはコメントを控えており、これにもマスコミは批判の目を向けている。
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