取締役会は会社の重要事項をすべて承認しなくてはなりませんが、ここでは単に議事録を作っておけばよい、ということではありません。
その承認に際して、どのようなプロセスをとったのか、その判断材料は何だったのか、取締役会としては反対意見や質疑があったのか、どのような承認を取ったことにより、業務決定をしていったのか──。これをすべて議事録に文書として残す必要があります。
取締役会というのは、株主から経営を委任されているわけですから、仮にその経営に賛否があった際には、いかなる理由でその意思決定をしたのかを適宜説明しなくてはいけません。したがって、その承認事項だけではなく、プロセスも文書に残す必要があるわけです。
議事録管理には、まず議事録を作成するところから入ります。議事録ですから、通常の会議の議事録と原則は同じです。誰がいつどこで会議を行い、何をどのようにきめて、それを文書にまとめてハンコを押す──というものです。
ただし、この議事録はその承認内容によっては、新株を発行する際、登記事項を更新する際、役員を追加する際──など、あらゆるケースにおいて第三者からの要求されることがままあります。
そこで今回は、具体的事例として議事録サンプルを交えてまとめてみようと思います。
まずはこちらの「議事録サンプル」をダウンロードしてみて下さい。ケーススタディとして、「期中で取締役を新任で就任させたい場合」のものです。ここで必要となる議案は、下記の通りとなります。
・取締役会で新任取締役候補者として承認する
・取締役会で臨時株主総会の開催を承認する
・取締役会で臨時株主総会での新任取締役選任の付議事項として扱うことを承認する
・取締役会で臨時株主総会の開催日、開催場所、召集方法、基準日、公示方法などを承認する
・臨時株主総会を開催して新取締役の就任を承認する
・取締役会で新任取締役の役員報酬を承認する
・取締役会で新任取締役を含めた継承順位を承認する
一言で言うと、「取締役を新しく追加する」だけにも関わらず、議事録ではこれほどに議案を作らないといけないことになります。
さらに、この新任取締役にストックオプションを付与するとか、会社自体を増資するとか、さまざまな議案があった場合には、取締役会の議事録と、株主総会の議事録、また、それぞれの時間軸との整合性──。非常にやっかいなものです。
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