ガジェット類はあまり持ち歩かない方なのだけれど、最近、必ずパンツのベルトにポーチをつけてまで持ち歩いているのが、今回、紹介する東芝のgigabeat V30Eだ。ビンゴゲームでも、ほとんどが最後まで揃わないほどクジ運の悪いぼくだが、10年ほど前に秋葉原電気クジで現金10万円を当て、それで一生分のクジ運を使い果たしたと思っていたのだが、この2月に、あるパーティのクジで、これが当たってしまった。ちなみに、秋葉原クジの10万円は、友人数名をカニの食べ放題に招待して使い果たした。そんなものを自分だけで使ってしまったら、その後の人生で何が起こるかわからない。
それまでは、持ち歩きのメディアプレーヤーとしてNECのVoToLを使っていた。これはこれで、自分のニーズにはピッタリで、録画したテレビ番組のMPEGファイルを、再エンコードしないで、そのまま転送して再生できたり、iTunesのAACファイルをそのまま再生できたり、音楽再生と、動画再生など、モードごとにレジュームポイントがあり、切り替えても以前の位置から再生されるといった点がとても気に入っていた。
gigabeatで、VoToLと何が違うかというと、まず、画面の大きさ。VoToLが2.7型だったのに対してgigabeatは3.5型あるので、ずいぶん大きく感じる。ぼくの眼では、ニュースのテロップなどを読むのはつらかったのだが、これで、ラクに読めるようになった。その代償として重量は増加した。188gが230gになったのだ。でも、gigabeatには、本体をたてるスタンドが付属するので、コーヒーショップなどのテーブルでちょっと視るというのに便利だ。VoToLには、それがなかったので、おしぼりなどを利用して自立させる工夫が必要だった。
自分では絶対使わないと思っていたワンセグ機能だが、これが意外に便利だった。というのも、都内を移動するのに地下鉄を利用するのがほとんどのぼくにとって、映らないテレビは無用の長物だ。しかも、昼間の時間帯は、夜のプライムタイムと違って視たいと思う番組がない。だから、別の環境で撮りためた番組を転送してそれを再生できればそれでよかった。でも、朝のニュースや連続ドラマ、前の夜のワールドビジネスサテライトくらいは視ておこうと、一時は、再エンコードしてminiSDにコピーし、携帯電話で視るようなこともやっていたのだが、これは、やっぱりめんどうくさくてやめた。何よりも、携帯のヘッドフォンジャックが平型なので、そのアダプタの装着が気にくわない。
だが、gigabeatで予約録画しておけば、転送する必要がないのだ。視なかったら視なかったで削除してしまえばいい。オチがあるとしたら、タイマー予約して録画する時刻に、ワンセグ受信圏外にいることがある点だろうか。だから、飲み会の帰りの地下鉄に乗っていることが多く、ワールドビジネスサテライトは、録画失敗の確率が高い。
一方、gigabeatに録画済み動画を転送するのには、再エンコードが必要だ。これはけっこう手間がかかる。ぼくは、ソニーのXビデオステーションを使って、毎朝7時から8時30までと、毎晩18時から翌1時までの7時間、東京で受信できるすべての地上派を録画している。HDDは500Gしかないので、蓄積できる番組数には限界がある。そこで、視るつもりのある番組は、PCのハードディスクにダウンロードしている。これが通常のMPEGファイルで、ビットレートは4Mbps程度だ。
これをカノープスの「なんでも換太郞」を使ってQVGAサイズのWMAに再エンコードしている。ダウンロードフォルダを監視し、ダウンロードが終わった瞬間にエンコードが始まるようにしたので、普段はあまり変換を意識する必要がない。これをUSB接続したgigabeatのフォルダに直接ドロップする。本当は、Windows Media Playerを使うように推奨されているのだが、それではさらに再変換が始まったりすることがあるため、直接ドロップすることにした。今のところ、それで再生できなかった番組はない。
WMA化した1時間番組は、約120Mバイトのサイズになる。オリジナルのMPEGファイルは1.5Gバイト程度なので、VoToLにはどうがんばっても20本程度しか入らなかったし、転送にも時間がかかった。でも、gigabeatでは、200本以上入る。通常視ているドラマを1クール分全部入れてもまだ余る。画質を気にしても仕方がないサイズだから、再圧縮による画質劣化は気にならない。
こうしてぼくは、ほとんどのテレビドラマを移動中に見る。移動時間は細切れなので、ドラマ1本を見るのに3日がかりということも少なくないのだが、とにかく移動中の時間を有効に使える。普段持ち歩いているレッツノートR6でも、電車の中ででドラマを見るくらいのことはできるし、何本かの視るべき番組はコピーしてあって、座れるときには、そうすることもあるのだが、10分程度の移動で立ったままというときには、gigabeatの機動性がありがたい。やばいなあと思うのは、以前はあんなに買っていたコミック週刊誌を買わなくなったことだ。最近のドラマや映画はコミック原作のものが少なくないので、ちょっとした危機感を持っている。
こんなテレビの楽しみ方ができるのは、アナログ放送ならではだ。地上波アナログ放送の停波まであと4年程度だが、そのころ、今のぼくのテレビの楽しみ方と同じことができる環境は、本当に整ってるんだろうか、ちょっと心配ではある。アナログ停波まで使い倒してやるぞ!
フリーランスのテクニカルライター。雑誌、新聞、ウェブ、書籍などざまざまな媒体で長きにわたって第一線で活躍する。
【使用製品】型番:東芝 gigabeat V30E ・入手時期 2007年2月 【お気に入り度合い】
アナログ停波まで使い倒してやるぞ。
【次回執筆者】元麻布春男さん
【次回の執筆者にひとこと】さて、次回は、ガジェット好きとしては、前回の塩田さんに勝るとも劣らない元麻布春男氏にお願いした。なんだか、記者発表会場などで会うたびに、新しいガジェットを入手しているという印象が強い彼だが、きっと、手持ちのコレクションの中から、アッと驚くものを紹介してくれるにちがいない。
【バトンRoundUp】START第1回:澤村 信氏(カナ入力派の必須アイテムとは?) →第2回:朽木 海氏(ウォークマンとケータイをまとめてくれる救世主とは?) →第3回:大和 哲氏(ケータイマニアのためのフルキーボードとは) 第4回:西川善司(トライゼット)氏(飛行機の友、安眠の友、ノイズキャンセリングヘッドフォン) →第5回:平澤 寿康氏(出張に欠かせない超小型無線LANルータ) →第6回:石井英男氏(いつでもどこでもインターネット接続が可能なPHS通信アダプタ) →第7回:大島 篤氏(電卓とデジタル時計の秘密) →第8回:荻窪 圭氏(自転車とGPSがあればどこにでもいけます) →第9回:田中裕子(Yuko Tanaka)氏(これでクラシックもOK!究極のカナル型イヤフォン) →第10回:佐橋慶信氏(ビジュアル・ブックマークの実践方法とは?) →第11回:清水隆夫氏(プロ御用達の業務用GPSデジタルカメラ) →第12回:高橋隆雄氏(傭兵たるものガジェットなど持たぬ!) →第13回:野本響子氏(「壊れても買い続けたい」理想のロボット) →第14回:本田雅一氏(本田雅一氏の求める条件にピッタリはまる「あのデジカメ」) →第15回:塩田紳二氏(紙に書いて「デジタルデータ」になるアイテム)
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