前回は事業計画書類について記載しましたが、今回は資本政策についてまとめたいと思います。
資本政策は何より、綿密な計画に基づいて立案することが重要です。事業計画というのはズレが生じる可能性を前提につくります。一方、資本政策は一度決めて走り出してしまったら後戻りができません。ですから、仮に計画が下ブレした際にも、それをリカバリーできる状態にしておくということが欠かせないのです。
失敗が許されないものですから、まとめる際には有識者の意見やあらゆるケース(特に事業計画が下ブレしたケース)をも勘案してまとめることをお勧めいたします。
資本政策を策定する際にはまず、大カテゴリをまとめます。
1.何に投資したいのか?(投資項目をまとめる)
2.お金以外の目的で外部株主を入れる可能性はあるか?(事業提携や安定株主作り)
3.経営権の確保はできているか?
さて、ある程度概念的なものがまとまったら、あとは数字に落としていくだけです。とはいえ、どこから手をつけていけばいいのか分からないのが実態でしょう。ここで前回まとめた事業計画が生きてくるわけです。
事業計画では、3年〜5年後の数値データがまとまっているはずです。その姿をイメージしてみましょう。5年後には何億円もの利益が出ているかもしれません。その時には株式上場できているでしょうか。もしできているというイメージがあるのであれば、株式上場するタイミングでどのくらいの時価総額がつきそうなのか──。
ベンチャー企業にとって株式上場というのはゴールではないですが、中期的な目標として位置づけられるものではあります。そこで、例えば「上場するときに時価総額がいくらになっているのか?」というところを資本政策立案のスタートにしてみてはいかがでしょうか。
昨今の株式上場では、会社のモデルと将来性(PER=株価収益率)を中心に時価総額が形成されることになります。(その一方、上場して1年も経つと将来性だけではなく、純資産倍率(PBR)や配当の可否といったところに投資家は目を移してきます)
みなさんの会社の類似企業が株式市場でどのくらいのPERをつけていますか。高いところでは100倍以上もあるでしょうし、IT企業ですと、平均20倍〜40倍といったところが2007年5月時点の相場ではないでしょうか。仮にここで20倍とすれば、みなさんの計画にある数字で、上場直前期にあたる期の経常利益に30倍をかけた数字が時価総額ということになります。
これらが決まると、あとはそこへ向けてさまざまなことが必要になってきます。
1.事業計画を達成するために投資する項目分の資金を調達する
2.経営陣や従業員へストックオプションを付与する
3.安定株主を入れて上場したときに社会的な信頼性をさらに高いものにする
4.経営陣をふくめた安定株主比率を高めておきたい
──などなどです。
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