昨今、巷では「内部統制」「日本版SOX法対応」といった言葉をよく耳にします。これらは大企業や不祥事が続いた企業にだけ当てはまる言葉だと考えている経営者も多いかもしれませんが、実は、その本質の部分において、中小規模のベンチャー企業も着目しなければならない言葉なのです。
その本質の部分とは何か。ただ、これらの言葉自体は「利益が出ているように見えるけど、ちゃんと嘘偽りない会計をしなさいよ」という意味合いが非常に色濃い制度表現です。
ベンチャー企業には、一般的に耳にする「内部統制」以前に、やらなければならない内部統制があります。いわば、ベンチャー企業のための経営管理術です。
本コラムではこれから成長期を迎える企業、ないし今まさに急成長期を迎えているベンチャー企業にフォーカスし、その経営管理術の本質、具体例、オペレーション事務までを解説していきます。
諸事件で上場基準が非常に厳しくなっている昨今ですが、過去上場した企業が何もせずに上場してきたわけではありません。急激な成長曲線を達成し、それにともなう適正運用をしたからこそ、上場という社会的信用を得ることができたのも事実です。そんな急成長企業は、非常にユニークな経営管理をしていることもしばしばあります。
ただ、上場できる企業には、特徴的な組織上の共通点が見られる傾向にあるのも事実です。具体例を挙げましょう。
(1)営業部門(プロフィット部門)が会社の花形である。
(2)管理部門(コスト部門)が営業部門に引けをとらないくらいの存在感がある。
もう少し具体的なイメージができるまでに掘り下げるとこうです。
(1)部門長会議では、営業部長と管理部長が厳しい議論をかわす。
(2)営業部長と管理部長は社内のライバル同士。
おわかりでしょうか。つまり、会社が急成長しているということは、その仕事をとってくる営業やそれを生産する部門は花形部門なわけです。ところが、上場していく企業は、それと同様、あるいはそれ以上に管理部門が社内で強い発言力を持っているのです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」