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ともに歩もうとする決意促すのは、「志」の高さと柔軟性 - (page 3)

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勝屋氏:ちまたではWeb2.0などと騒がれてネット系の企業が元気がいいと言われてます。西條さんがネット業界を見て興味があるところ、今後伸びそうなところはどういった企業ですか。

西條氏:やはり個人の能力を活かせるようなサービスですよね。たとえばブログなどでは、商才がある人はさまざまな手法で稼いでます。ソーシャルネットワーキングサービスはもともと、人脈の形成に優れた人がキーマンとなって世の中をネットワークしていく動きですし、ジー・プランのようなポイントやアフェリエイト系の事業も、実際に動かしているのは情報の受け渡しのセンスのある人たちが、ハブになるようなサイトを作って対価とモチベーションを元にやっているわけです。個人の才能が発揮できるという部分と、そのモチベーションの支えとなる収入が得られる事業は今後さらに伸びると思います。

 また、その才能を引き出すために、より多くのことを簡単にできることは重要だと思っています。今注目しているのは、弊社でもオープンしているドロップシッピングの事業です。たとえば釣りを趣味でやっている人がもし釣具店で働いていたら優秀な店員になれるかもしれませんが、実際にはなかなかそうはいきません。そういう時にウェブ上でショップを作っていろいろな情報を提供していけばビジネスになると思うんです。

勝屋氏:西條さんや鈴木さんから見て、渡辺さんはどんな経営者ですか。

鈴木氏:インターネットメディアのみならずリアルなメディアに関してもすごくお詳しいので、インターネットとリアルメディアとの融合という事業戦略においても心強いです。また、信頼感溢れる経営者ですから他社との提携話などがスムーズに運べるので、さまざまな企業をご紹介しています。

西條氏:ユーザーを相手にしたサービスに関して詳しく、しかも愛着を持って取り組んでいただけるのは一緒に仕事をしていても楽しいです。ビジネスはある程度のところまで来ると限界が来るじゃないですか。そこを乗り越えようとする時、その事業が好きで、ビジョンを描ける人が経営しているというのは心強いですね。

勝屋氏:今度は逆に渡辺さんから見て、おふたりの印象はどうですか。

渡辺氏:おふたりとも若いので最初は驚きました。この業界は皆さんそうですが、若くてもすごく勉強されていて、上場企業の経営の中枢で働かれているのはやはり驚きました。

勝屋氏:先ほど西條さんからVCに興味があったというお話がありましたが、そもそも興味を持ったキッカケは何だったんですか。

西條氏:小学生くらいから自分でゲーム会社を作りたいと思っていたんです。自分の思い通りのゲームを作って、その会社の社長になりたいと。それが根っこですね。

 その後、具体的にどうすれば独立できるのかを調べ始めた時に、VCの存在を知ったんです。アメリカで事業に成功した人がエンジェルになって若い人へ投資するというサイクルにすごく感銘を受けて、起業よりもそちらに夢中になってしまったんですね。

 それで学生時代に就職活動をして大手VCから内定をもらったのですが、その頃にベンチャーキャピタリストの人を紹介してもらって、その人から「いきなりVCになるのもいいけど、本当の意味でVCになりたいのなら、まずあなたが独立して何かの事業で成功しなさい。そしてその分野での投資家になるのが本当の意味でのVCですよ」と言われたんです。その時にそれはそうだな、VCになるのは将来の話だな、と思ったんです。それでなるべく幅広く商売をしている商社に入りました。

 商社では、財務に2年、その後、金融部門に2年いました。もちろん勉強にはなったんですが、営業サイドの部署ではなかったので、方向転換が必要だなと思ったんです。その時に雑誌でベンチャー企業のセミナー開催中という記事を読んで、そのセミナーに行ったんですよ。そこで将来は独立したいという話をしたら、担当の方がベンチャー企業でいい経営者を知ってるので紹介しますと言われて入ったのが、サイバーエージェントだったんです。

勝屋氏:鈴木さんはどうしてVCの仕事をやろうと思ったんですか。

鈴木氏:大学2〜3年頃に起業したいと思って、ホームページ制作のプロジェクトなどもやったんですが、実際に起業するにはまだ経験もないし、年齢も若いので、難しいと思ったんですね。そんな時にベンチャーキャピタルの存在を知って、そこに入れば経営や最近のトレンドなども学べるのではないかと思いました。また、ベンチャーが今後の日本を支えていくんのではないかと本気で思いましたし、その中でキャピタリストは社会的な貢献度も高いと思ったんです。キャピタリストになってこれからの日本を支えるようなベンチャー企業を発掘・支援したいと思いました。

 それで大学時代から起業家ネットワークを運営したり、セミナーを開いたりして、さまざまな起業家の方にお会いしたり、国内や海外のベンチャー企業でのインターンを経て、金融系のベンチャーキャピタルに就職しました。ただ、実際に入ってみると、若いというだけで年齢層の高い一部のベンチャー経営者から少々差別的な対応をされることもあったんですね。なので、若くても対等に話せるのは同世代が経営するインターネットビジネスなのではないかと思い、また自分自身がインターネットビジネスが好きだったこともあり、そこに特化して投資していこうと思うようになりました。

西條氏:今、弊社に8人いるキャピタリストの中で、学生時代からキャピタリストを意識していたのは彼女くらいですね。

鈴木氏:学生の頃に志の高かった人とは、今になって偶然会うことも多いですよ。起業してすでに上場してたりして。やっぱり繋がっているなと思うことはありますね。

勝屋氏:投資の基準や、どうやって投資先を見つけるのか、というあたりはどうですか?

西條氏:全体の戦略としては、みんなで勉強会などをして、どの分野が伸びていくかなどは話し合ってます。ただ、それ以上の細かいところは自由にやってますね。起業家のネットワークを持っている人もいるし、ユーザー感覚としていいと思ったところに行く人もいるし、プレスリリースなどを見て行く人もいるし、それぞれですね。

鈴木氏:投資基準は一般的には経営者の資質とか、市場の成長性などですが、それだけではなく私がポリシーとして持っているのは、常に志が高い人、それからしっかりとした営業スタイルを持っている経営者です。たとえば投資する前にパートナーとなれるような企業を紹介して営業に同行するんですが、そこでの営業のセンスやプレゼン力を見て、柔軟性のある営業かつ経営者の志が伝わるような営業ができるような経営者は伸びるなと判断しますね。あとは自分がもしこの経営者の下で働くとしたら、本当に一緒に働きたいかと自分を問いただしたり──。そういう人を惹きつける力、カリスマ性なども重視しています。

勝屋氏:すごくよく分かります。そこは本質だと僕も思います。よく若いベンチャー経営者の方から、VCの方とどう付き合えばいいのかという質問もされるんですが、そのあたりで何かアドバイスはありますか。

西條氏:資本ってその会社の血や肉の部分なので警戒はしますよね。ただ、今の若い起業家は、「ライブドア事件」以降、みんな分かってるんですよ。昔はわけも分からずにVCのお金を入れている経営者もいましたが、今は知識レベルも上がっていると思います。

鈴木氏:まずそのビジネスやビジョンを理解し、感銘してくれるキャピタリストと付き合うのが一番重要だと思います。そしてキャピタリストとのコミュニケーションの機会を増やすことも重要だと思います。

 また、キャピタリストに「この事業の新しい収益源を考えてもらえないか」などどんどん課題や宿題を与えてみてもいいのではないでしょうか。キャピタリストに事業のほうにどんどん入り込んでもらうような仕掛け作りも重要だと思います。

渡辺氏:当然、リターンを求められるわけですが、自分たちがやっている事業に対する共感性とか、それが世の中にどう貢献して、その結果としてリターンが出るんだということを、キャピタリストに理解してもらってるかどうかは大きいと思いますね。

サイバーエージェント・インベストメント代表取締役社長(兼サイバーエージェント専務取締役)
西條晋一(さいじょう・しんいち)

1996年早稲田大学法学部卒。伊藤忠商事入社。同社財務部、金融部門為替部を経て、2000年サイバーエージェント入社。同社新規事業開発室、メールイン代表取締役を務めた後、2002年サイバーエージェント社長室。その後、2002年インターナショナルスポーツマーケティング代表取締役社長、2003年サイバーエージェント事業戦略室室長、シーエー・キャピタル代表取締役社長、ジークレスト代表取締役社長を歴任し、2004年サイバーエージェント取締役に就任。2005年アットパーティー 取締役(現任)、インターナショナルスポーツマーケティング取締役(現任)、2006年サイバーエージェント・インベストメント代表取締役社長(現任)、フィナンシャルプラス代表取締役社長(現任)を務め、サイバーエージェント専務取締役(現任)に就任した。2007年4月現在、ストアファクトリー取締役、サイバーエージェントFX代表取締役社長、ジークレスト取締役なども兼務する。

趣味:旅行、読書、釣り、ラジコン

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