ネット競売を主力事業とし、携帯電話向けサービスやアフィリエイト(成功報酬型広告)事業でも積極的な事業拡大を推進している東証マザーズ上場のディー・エヌ・エー(DeNA)に株価上昇期待が集まっている。2月末からの“世界同時株安”の影響で、東証マザーズ指数が設定来の最安値水準に低迷しているなかで、DeNAの株価反転上昇観測が浮上しているわけだ。この背景を探った。
同社が1月25日に発表した2006年4〜12月の連結業績は、売上高90億7900万円(前年同期比2.1倍)、経常利益30億9400万円(同2.4倍)と大幅な増収増益を実現した。これは、携帯電話向けのオークション(競売)やアフィリエイトを含むモバイル事業の売上高が前年同期比3.4倍の57億円と急拡大したことが大きく寄与したためだ。
特に、2006年2月にサービスを開始した携帯電話向けゲーム&コミュニティサイト「モバゲータウン」が、アフィリエイトの収益向上に対して大きく寄与している。通常は媒体主には成功報酬が現金対価で支払われるが、モバゲータウンのアフィリエイトではサイト内使用ポイントの支払いのみで換金性はないのが特徴だ。
モバゲータウンはサービス開始からわずか5カ月後の2006年7月には会員数が早くも100万人を突破。さらに4カ月後の同11月には200万人を超え、1年を経過した2007年3月12日現在では400万人の会員数に達している。このモバゲータウンが成功したのは、ゲームなど無料コンテンツで集めた会員を広告主のサイトに誘導してアフィリエイトを得るシステムを確立したためだと分析できる。
外国証券のアナリストは「DeNAで注目したいのは、携帯電話関連事業を展開する多くのベンチャー企業の業績が著しく伸び悩んでいるなかで、2004年から携帯電話関連事業に参入というかなりの後発ながら、同業他社を大きくリードして業績を飛躍的に伸ばすことに成功している点。当然のことながらコンテンツの持つ魅力とサービス方法の斬新さが成否を大きく左右している。携帯電話端末機能の高度化に見合ったコンテンツ・サービスの開発が勝負のポイントとなりそうだ」としている。
会社側は今のところ、2007年3月期通期の連結経常利益について、従来予想の37億5000万円(前期比2倍)を据え置いているものの、第1〜3四半期の連結経常利益は30億9400万円に達し、進ちょく率はすでに82%と上方修正の可能性が濃厚となっている。外国証券のアナリストは「現在のようなペースでモバゲータウンの会員数が拡大を続けることになれば、2007年3月期の経常利益は45億円(前期比2.3倍)程度に上方修正される可能性もある。さらに、来期の2008年3月期の経常利益は76億円程度とハイピッチで拡大する期待が持てる」としている。
同社の株価は、2006年11月の32万円水準から年末年始にかけて順調に上昇を続け、約2カ月間で43万円台まで上昇したものの、世界同時株安に連動するかたちで2月23日高値の43万7000円から調整を強いられ、3月16日には終値で37万2000円まで下落している。しかし、同社の業績は非常に好調な推移をみせる見通しで、全般低迷相場のなかで「東証マザーズのリード役を担う銘柄として、中期的には50万円乗せも十分期待できそうだ」(中堅証券投資情報部・新興市場担当者)としている。
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