国際共同科学プロジェクト開始--極地方の研究を目指す

文:Stefanie Olsen(CNET News.com) 翻訳校正:編集部 2007年03月05日 15時13分

 極地方の研究、および、それらの地域と地球規模の気候変動との関連性の研究を目的とした2年間の国際共同研究プロジェクトが先週開始した。このような共同科学プロジェクトが実施されるのは、およそ50年ぶりのことだ。

 同プロジェクトの名称はInternational Polar Year(IPY)2007-2008であるが、実際は2007年2月から2009年3月まで行われる。IPYでは、世界50〜60カ国の科学者に参加を呼びかけ、いわゆる氷圏と呼ばれる北極地方および南極地方の研究を行う。同プロジェクトの目的としては、極地におけるさまざまな変化の調査、極地に関する科学的共同研究の促進とそれらの地域に関する理解の向上、新技術への投資などに加え、学校の教育課程や極地に関する社会認識の向上を図ることにより、若い科学者らの意欲向上を図ることなどが挙げられている。

 ワシントンDCで先週開催されたIPYの開会式の中で、米内務省のLynn Scarlett副長官は次のように語った。「地球の極地地方と言うと、大抵の人は、勇敢な開拓者たち、ペンギン・・・住みにくい場所といったイメージを思い浮かべる」

 「しかし、(北極と南極の)2つの極地と、人口が集中する地域とは地理的に離れているにすぎず、全く関連性がないわけではない。例えば、2つの極地は、地球の気候に重大な影響を与える地球上のさまざまな変化と相互に関連している。極地の状況の変化は、世界中の生物系、大気系、人間系に影響を与えている」(Scarlett氏)

 史上初の共同科学プロジェクトが実施されたのは、126年前の1881年のことだ。その後、1932年に2つめの共同プロジェクトが実施された。さらに1957年には国際地球観測年(IGY)と呼ばれる国際科学研究プロジェクトが実施された。IGYでは、それ以前の2つのプロジェクトよりも広範囲にわたる地球科学の研究が行われ、ソビエト連邦発の人工衛星スプートニク1号の打ち上げに成功した。

 これらの国際共同研究の目的は、地球全体の研究に必要な技術、インフラ、専門家にかかるコストを各国で分担することにある。しかし、Polar Yearプロジェクトで、科学者らは到達するのに高いコストがかかる、人のいない遠隔の寒冷地の研究が可能になる。

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