ビジュアル・ブックマークの実践方法とは?--お気に入りガジェットバトン第10回

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手作りレザー・デジカメケースのこだわり

腰ベルトに装着する筆者手作りケース。革はタンニン鞣しのラティーゴという種類の牛革 腰ベルトに装着する筆者手作りケース。革はタンニン鞣しのラティーゴという種類の牛革

 一番好きなマテリアルを選べと言われたとしたら、迷わず牛革をチョイスする。好きが高じて、自作までしてしまうほどになってしまった。誰に教わったわけでもないけれど、高校時代にレイバンのサングラスケースを作ってから、ケースや小物の作品は多い。一時はPalmや携帯電話のケースのデザインも行っていたが、現在では自分の気に入ったモノのケースしか作らない。しかも一点もので自分さえ気に入っていれば誰にナニを言われようがかまわない……というスタンスだ。逆に気に入ったものは、修理したり作り替えたりしながら何十年も使い続ける。当然、お気に入りのガジェットのケースは手作りしてしまう。今回はそんな革ケースとガジェットとのコンビネーションの話だ。

擦り傷だらけの、歴戦の強者。いつ壊れても困らないように、まだ数台のU30がスタンバイしている 擦り傷だらけの、歴戦の強者。いつ壊れても困らないように、まだ数台のU30がスタンバイしている

電池込みで123gのデジカメSONY DSC-U30

 さて、ガジェット・バトン……と言われて最初に思い当たったのは長年付き合っているデジカメ SONY DSC-U30だ。2002年7月にDSC-U10が登場した時、一目惚れして購入したが、解像度が130万ピクセルと低いのが最大の欠点だった。U30が200万画素と解像度をアップさせて2003年夏に販売された後、初期ロットが捌けるのを待って購入した。今となってはオークションで数千円で取引されているが……。

 U30は単四電池2本の重さを含んでも123gしかない。まさに「ビジュアル・ブックマーク」を撮影するにふさわしいテイストを醸し出していた。単四電池というのも筆者の好みだ。撮影画像のピックアップ完了と同時に予備の電池に交換する。常にバッテリーは満充電のままだ。128Mバイトのメモリスティクを入れると240枚もの枚数が撮影可能だ。

 しかし筆者にとって、最も価値を見いだしたポイントはD30のちいさな筐体とレンズカバーだった。大きなカバーはそのまま電源スイッチを兼ね、カバー・オープンから1秒以内に液晶画面は使用可能。その後約3秒で撮影可能になる。

 レンズもまたおもしろい。広角よりの33mmという焦点距離だ。このままノートリミングで使用しても良いのだが、80mm程度までトリミングしてもブログやmixiでは十分に実用可能。つまり手作業でのデジタルズームというわけだ。この点、U-10の130万画素ではちょっとつらい。

筆者が「Vホールド」と名付けた、撮影方法。ほとんど何やってるのかわからない 筆者が「Vホールド」と名付けた、撮影方法。ほとんど何やってるのかわからない

 しかし、デメリットも数多くある。光学ズームに対応していない、手ぶれ補正もない、時代遅れと言われれてもしかたない。液晶画面も1.0型というちっぽけなものだ。軽いのが災いして、しっかりホールドしないと手ぶれ写真ばかりで見られたものではない。

 実際のところ、機能や画質だけ見ると、NikonやFujiなどの(当時の)ライバル機の方が勝っていると言えるかもしれない。或いは小型化に関しては薄いカードタイプのデジカメも存在していた。登場も劇的だったが飽きられるのも早かったように思う。

 ところが、筆者にとってはDSC-U30のデメリットなぞはどこかに吹っ飛ぶほどの、小粒なサイバーガジェットと化すのである。

こだわりの、小粒なサイバーガジェット専用ケース

 筆者が作成したU30用レザーケースはジーンズのベルトに装着するタイプだ。右手のマネーポケットのあたりに取り付ける。ベルトループはオフセットされているので、ケースの口がほんの少し上を向く。ベルトの方も筆者の手縫いで、革の間にワイヤーが仕込んであったり、バックルがウイスキーのスキットルになっていたり、ひっそりと懐中時計が隠されていたりするのであるが、これはまた別の話だ。

「Vホールド」を裏側から見るとこんな感じ。USサイズXXLの手袋がぴったりの大柄な手なので、U30がより小さく見えてしまう 「Vホールド」を裏側から見るとこんな感じ。USサイズXXLの手袋がぴったりの大柄な手なので、U30がより小さく見えてしまう

 このケースにレンズカバーを外側にしてU30を仕舞う。ケースはU30で型どりし、補助パーツを組み込んであるので、レンズカバーが開いているU30を挿入すると自動的にカバーが閉まるという仕組みだ。それだけではなく、ケースから取り出すと自動的にカバーが開く程度の抵抗がある。ケースがU30と接触する部分の革に摩擦の大きな鹿革を使ってあるのだ。U30を収納するベルトはマグネットで固定されているので、オープンもクローズも楽だ。

「盗撮スタイル」と呼ばないで

 取り出したU30のホールディングも筆者独自のこだわりがある。写真のように、右手の人差し指と中指の間にレンズとストロボ部分をはさみ、右手親指でシャッターボタンを操作するというものだ。ほとんどの部分が手のひらに隠れたままなので、撮影しているのかどうか、周囲の人にはほとんどわからない。「Vホールド」と勝手に名付けたが、友人らからは「ちょっとスケベだ」と突っ込みを入れられている。当然、シャッター音は消したままだし、ストロボは発光禁止になっている。181cm 105kgの筆者が持つと本当にカメラが豆粒のように見えるのである。

 まるで隠し撮り専用カメラのようなポジショニングだが、スナップ撮影には抜群の機動力を誇るのだ。水平を出すのに慣れが必要だが、ブレに対してはかなり強い。こういう撮影方法をとるとノーファインダーに近い状態も多く、U30の33mmレンズ画角が生きる。

 自転車で愛犬の散歩をしている時に片手で取り出して撮影したり、公園に咲いた薔薇を接写したり、珍しい雲が流れている空を見上げてシャッターを押したり……居酒屋のメニューからバスの時刻表までありとあらゆるものがメモされる。

 またもや、口の悪い友人達らは「盗撮スタイル」と呼ぶが、盗撮などには興味はない。しかし、たとえば、アジアの市場を撮影するような場合にはこの手法は大変役立つ。首からぶら下げた一眼レフを使うと、妙に構えられたり、不審がられたり、或いは撮影時に金銭を要求される場合もある。こんな時に、敢えて一眼レフを首からぶら下げたままU30を取り出す。ほとんどの人は撮影されているということにさえ気づかず、自然な表情をレンズに向けてくれる。

 こうして、筆者のビジュアル・ブックマークは毎日更新されているのだ。

佐橋慶信氏プロフィール

OS/2 Magazineがきっかけで学習塾塾長からライターに転職。昔はレビュー関連が得意技だったのだが、今はコラムの依頼ばっかりこなしている。炎上ネタの講演がツボにきたのか、あちこちから講演依頼があって、楽しませてもらっている。パートタイムで大阪総合デザイン専門学校漫画学科講師。
 趣味は剣道、ウエイトトレーニング。レザークラフト、その他広く深い数々の趣味を持っている。


【使用製品】

型番:SONY DSC-U30


【お気に入り度合い】

年に数回、ジーンズ以外のパンツを着用する時以外は、確実に右腰に装備されている。U30がないと歩くバランスが崩れるくらい、身体と一体化している。


【次回執筆者】

清水隆夫さん


【次回の執筆者にひとこと】

互いに日本に住んでいるはずなのに、会うのはいつも台北です。PDAやGPSへの造詣が深いので、何が飛び出すか、筆者もわくわくしてます。

【バトンRoundUp】

START第1回:澤村 信氏(カナ入力派の必須アイテムとは?) →第2回:朽木 海氏(ウォークマンとケータイをまとめてくれる救世主とは?) →第3回:大和 哲氏(ケータイマニアのためのフルキーボードとは) 第4回:西川善司(トライゼット)氏(飛行機の友、安眠の友、ノイズキャンセリングヘッドフォン) →第5回:平澤 寿康氏(出張に欠かせない超小型無線LANルータ) →第6回:石井英男氏(いつでもどこでもインターネット接続が可能なPHS通信アダプタ) →第7回:大島 篤氏(電卓とデジタル時計の秘密) →第8回:荻窪 圭氏(自転車とGPSがあればどこにでもいけます) →第9回:田中裕子(Yuko Tanaka)氏(これでクラシックもOK!究極のカナル型イヤフォン)

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