楽天のストップ高は新興市場復活の号砲か

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 先週から株式市場ではジャスダック、東証マザーズ、大証ヘラクレスの新興3市場の動きが一気に好転の兆しを見せ始めている。2006年1月17日の「ライブドアショック」(ライブドアへの強制捜査開始は前日1月16日の夕刻)からちょうど1年が経過するのを待っていたかのように、新興市場の株価が反転上昇を鮮明にしてきた。

 先週末の1月19日現在で、株価指数のジャスダック平均は6日続伸。同様にマザーズ指数とヘラクレス指数はともに4日続伸。特にマザーズ指数は終値ベースで2006年10月27日以来の1200ポイント回復となった。

 さらに注目したいのは、1月19日の新興3市場の売買代金の合計が、2006年の4月以来となる約3500億円へと大きく膨らみ、最近の3市場における平均売買代金合計の2倍以上に達した。一方、テクニカル面でもジャスダック平均では25日移動平均線が75日移動平均線を下から上に突き抜けるゴールデンクロス(一般的に買いシグナルのひとつとされているが、絶対的なものではない)を示現するなど、上昇転換を示唆する指標も出てきた。

 この新興市場反転上昇をけん引したとされるのが、先週後半の楽天の急騰ぶり。

 TBSが楽天の保有する19%超の株式について1月18日、TOB(株式公開買い付け)による買い取りを検討し始めたと日経金融新聞が報じ、「現在の水準でTOBが実施されれば、楽天は300億円程度の売却益を得られるうえ、TBSにも節税効果が生まれる」としたことから一気に買い人気を集め、18日はストップ高(5000円高)の6万2600円で比例配分となり、大量の買い注文を残した。さらに翌日の19日も一時、ストップ高寸前の前日比4900円高の6万7500円まで買い進まれ、終値でも前日比2200円高の6万4800円となるなど人気が継続した。

 楽天の株価は2006年4月には10万円を超えていたが、新興市場全般の低迷や、TBSに対しての「経営統合問題」がこう着状態のまま進展をみせないことが嫌気されて、10月12日には一時3万6900円まで売り込まれた経緯がある。

 市場関係者は「2006年のライブドア、村上ファンド事件発覚以降、株を買い集めながらの敵対的M&Aに対する大衆の見方が大きく変化してきている。TBSサイドはすでに約60%の安定株主を固めているもようで、楽天はこれ以上の株式買い増しなどでは手詰まりの状態にある。したがって、TBSの自社株TOBに応ずることを条件に、事業面で何らかの提携を引き出す戦略に転換する可能性も否定できない」としている。

 ただ、今後のTBS・楽天経営統合問題の先行きを判断する場合、靴の専門小売店をチェーン展開するABCマートのオーナーで会長の三木正浩氏が代表を務めるイーエム・プランニング(三木会長の個人資産管理会社)が、TBS株式の発行済み株式数の8.92%を取得して大株主に浮上していることは、キャスティングボートを握る存在として見逃すことはできない。

 準大手証券の新興市場担当者は「1年間低迷を続けていた新興市場にようやく投資資金が回帰し始めたのは確か。しかし一方で、新興市場銘柄には決算を控えて会計監査で懸念の残る企業も少なくないことから、3月期決算の結果が明らかになる5〜6月までは予断を許さない状態が続きそうだ。さらに、IT・ネット関連企業の来3月期の業績好転見通しが明確にならない限り、新興市場の全般相場の本格反転上昇は見込めそうもない」との厳しい見方もある。

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