コンセントからインターネットにアクセス--松下電器産業 PLCアダプタ「BL-PA100」 - (page 2)

条件次第で非常に優れた速度を発揮

　では、BL-PA100のパフォーマンスをチェックしていこう。今回は、親機に設定されたBL-PA100を1000BASE-T対応のハブに接続し、同じハブに接続されているNAS（バッファロー製HD-HG250LAN）に保存されているデータを、子機に設定されたBL-PA100を経由してFTPでダウンロードした場合の速度を測定した。転送に利用したファイルは約200MバイトのMPEG2データで、FTPクライアントであるFFFTPを利用して3回ダウンロードを行い、その平均を出している。

　まず、親機と子機を同じコンセントに取り付けた状態での速度を計測してみると、約51.9Mbpsと、かなり高い速度が計測された。IEEE 802.11a/gなどの無線LANを利用する場合よりも高速であり、非常に魅力的な速度といえる。

　次に、子機を同じ室内の離れた場所のコンセントに取り付けてみた。この場合には約42.4Mbpsと、若干の速度低下がみられたものの、それでもまだ十分高速だ。さらに、子機を一般的なテーブルタップを経由して接続してみたが、その場合でも約43.5Mbpsと、コンセント直結の場合と全く変わらない速度であった。

　ただ、子機を隣の部屋のコンセントに接続して速度を計測してみたところ、約17.3Mbpsと大幅に速度が低下してしまった。筆者宅では、各部屋のコンセントが配電盤の独立したブレーカーから配線されている。そのため、異なる部屋に設置したBL-PA100は必ず配電盤を経由することになり、ここで影響を受けて速度が遅くなっているものと思われる。実際、隣の部屋の中に親機と子機を設置して測定してみると、約50.1Mbpsほどの速度が計測されたことからも明かだろう。利用時には、各部屋のコンセントの配線がどうなっているか確認し、同一配線下のコンセントに親機と子機を接続するようにすれば、BL-PA100の持つポテンシャルを最大限に引き出せることになるだろう。

　ところで、他の電気製品を利用した場合の影響だが、テレビやエアコン、冷蔵庫、電子レンジなどを稼働させてチェックしてみたが、どれもほとんど速度に影響が及ぶことはなかった。逆に、BL-PA100利用時にテレビの映像にノイズが乗るといったこともなかった。ただ、子機をテーブルタップに接続し、そのテーブルタップにバッテリ充電器を接続してバッテリを充電させている状態では、速度が約36.6Mbpsに下がってしまった。やはり、PLCアダプタの近くのコンセントに接続して利用すると速度に影響が出る機器も存在するようである。PLC利用時には、なるべくPLCアダプタ接続するコンセントだけでなく、周囲で利用する家電機器にも注意するべきだと言える。

　筆者宅の検証では、部屋をまたぐと大きく速度が低下するという状況であったが、もちろんこれは利用環境によって大きく変わる。隣の部屋でも十分な速度が得られる場合ももちろんあるだろう。また、速度が遅くなるとしても、無線LANの電波が届きにくい部屋ではPLCのほうが有利なのは間違いない。そのため、LANケーブルを敷設することなく手軽に家庭内LANを構築したい場合や、1階と2階の部屋の間のような、無線LANの電波が届きにくい場所でのLAN構築を考えているなら、BL-PA100は大いに活躍してくれるはずである。

テスト内容：NAS（HD-HG250LAN）に保存されている約200MバイトのファイルをFTPでダウンロード

子機を親機と同じコンセントに接続 51.9Mbps

子機を親機と同じ室内の異なるコンセントに接続 42.4Mbps

子機を親機と同じ室内の異なるコンセントにテーブルタップ経由で接続 43.5Mbps

子機を隣の部屋のコンセントに接続 17.3Mbps

子機を親機と同じ部屋の異なるコンセントにテーブルタップ経由で接続し、さらにバッテリ充電器を接続 36.6Mbps