暮れが押し詰まっても、経済界ではM&Aの嵐が加速している。
12月21日にはHOYAとペンタックスが2007年10月1日付で合併し、両社の経営を統合することで基本合意したと発表した。統合後の新会社の社名は「HOYAペンタックスHD」となる。取締役会長には浦野文男氏(現ペンタックス代表取締役社長)、代表執行役最高経営責任者には鈴木洋氏(現HOYA代表執行役最高経営責任者)がそれぞれ就任する予定。HOYAを存続会社としてペンタックス株式1株に対し、HOYA株式0.158株を割り当てる計画だ。
発表翌日の22日の両社の株価はともに寄り付きから買い先行で始まり人気を集めた。連結売上高で5000億円という総合光学機器メーカーの誕生を、株式市場関係者はどう判断しているのか――。
今回の合併の狙いについて準大手証券の投資情報部では「会見当日のHOYAの鈴木洋代表執行役員の発言でも明らかなように、HOYAが将来性のあるメディカル(医療機器)事業部門を買収できる対象を探す中で、ペンタックスに白羽の矢が立ったようだ。鈴木代表は両社合わせて400〜500億円のメディカル事業部門の売上高を、早々に倍増(1000億円規模)を目指したいとしている。合併の狙いについて焦点を絞れば、現在、オリンパスが世界市場で約70%と圧倒的なシェアを誇っている内視鏡をはじめとする光学関連の医療機器事業部門で、ペンタックスの持つ技術開発力がHOYAの資金力を得てどの程度開花してシェアを奪いとれるにかかっているのではないか」としている。
今回の両社の合併についての主力証券会社の見方は、手放しでプラス評価するという論調は非常に少ない。外国証券のアナリストからも「現状の収益力は高くないペンタックスがHOYAの“お荷物”になりはしないかとの懸念があることも確か。ベテランの一部市場関係者からは“1対0.158という株式交換比率を見て、改めてHOYAとペンタックスの規模の違いを再認識させられた。株式時価総額で見るとHOYAが2兆円目前なのに比べて、ペンタックスは930億円に止まっている。“光学機器会社=カメラメーカー”という図式は完全に崩壊したと改めて感じた」としていた。
HOYAの最大の強みは、2006年3月期の連結決算実績で、売上高が3442億円(前期比11.7%増)、営業利益率1010億円(同19.0%増)、経常利益1036億円(同15.8%増)、純利益756億円(同17.9%増)となっていることでも分かるように、売上高に対しての利益率が非常に高い点だ。今後3〜5年くらいまでの期間で、メディカル事業の利益率をどの程度向上できるかにかかっている。
ペンタックスの今後の株価は、株式交換比率にサヤ寄せしながらHOYAの株価推移に連動することになる。HOYAの株価は4500円前後の水準でのもみ合いが続いていたが、今回の合併をキッカケに株価が動意づき、5000円に接近してきている。同社の株価は5000円がひとつの節となっている。したがって、5000円水準を大きく上回ってくるようだと、比較的短期間での6000円台乗せにも期待が持てそうだ。
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