電子債権、2008年にも導入へ--金融審が報告書

 首相の諮問機関である金融審議会は12月21日、手形などの債権を電子化し、ネット上で取引する「電子登録債権」制度の導入にに向けた報告書をまとめた。これを受け、金融庁は「電子登録債権法(仮称)」案を作成し、法務省と共同で2007年の通常国会に提出する。

 報告書では、電子債権の取引や支払いにあたって必要とされる管理事業者について、専業にすべきと提言。銀行や証券会社など既存の金融機関による管理事業者の兼業については、兼業による他業からの破綻リスクの回避や、中立性、情報管理の点での公平性が十分に保たれない可能性を指摘しながらも、金融機関による専門子会社の新規創設や、複数の事業者による共同出資でこれを設立することは可能だとし、あらゆる事業者に参入の門戸を開くと明記している。最低資本金の確保や金融庁が定める一定の条件を満たせば、「指定機関」として管理事業者の業務が可能だとしている。

 また、電子債権が金融商品として一般投資家で広く売買されることを想定。利用者保護の立場から、現在は金融商品取引法の対象外となっている債権も規制の対象とすべきだと提言している。

 現在、証券の取引は、2004年の通常国会で成立し、同年6月9日に交付された「株券の電子化(株券不発行制度)に関する法律」により、2009年6月までに上場会社の株式は電子化が実施されることが決まっている

 一方、紙媒体を利用することによるリスクやコストの問題から、近年その利用が減少している債権についても、経済社会のIT化の進展に呼応した債権の電子化の必要性が強調されている。そんななか、同審議会では、取引の安全性や流動性を確保する新たな制度として「電子登録債券制度」の整備に向けた検討を2005年4月より続けてきた。

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