筆者は仕事柄、常にモバイルノートPCを持ち歩いているのだが、外出先でインターネットに接続して、メールチェックやウェブブラウズをすることも多い。ちょっとしたメールチェック程度なら、同じく持ち歩いているウィルコムのスマートフォン「W-ZERO3[es]」でも用が足りるのだが、PDFで送られてくるゲラを急いでチェックしなければならない場合など、画面の狭いW-ZERO3[es]では厳しい。そうした場合はやはり、モバイルノートPCでインターネットにアクセスしたいのだ。モバイルでのインターネット接続手段といえば、公衆無線LANサービスもあるのだが、基本的に公衆無線LANサービスは人がたくさん集まる場所(ホットスポット)をカバーするサービスであり、エリアを面でカバーしているわけではない。いつでもどこでもインターネットに接続したいという望みを叶えるには、3GケータイかPHSを利用するしかない。しかし、3Gケータイは通信速度は高速だが、パケット料金が高く青天井であるため、気軽に使うというわけにはいかない。筆者のような個人ユーザーは、PHSを利用するのが一番リーズナブルであろう。
しかし、PHSを利用するといっても接続方法はいろいろある。音声端末とUSBケーブルでつないで接続するというのはちょっと面倒だし、見た目にもあまりスマートではない。筆者はずっと昔、NTTパーソナルの「パルディオ321S」という、PCカード一体型PHS端末を愛用していた。321Sはフリップ部分をそのままPCカードスロットに挿入できることが特徴で、ケーブルをなくしてしまう心配もなかった。通信速度は32kbpsと遅かったが、なかなか便利なガジェットであった。
ウィルコムからは、PCカードタイプやCFカードタイプなどのデータ通信用PHS端末が発売されているが、筆者は初代W-ZERO3を発売日(2005年12月14日)に購入しているので(その後W-ZERO3[es]も発売日に購入。現在はW-ZERO3[es]を利用中)、PHS端末を2回線持つというのも、基本料金が2回線分かかってしまうので現実的ではない。そこで狙っていたのが、USBに対応した通信アダプタ「DD」だ。DDは、小型PHSモジュール「W-SIM」を装着して利用する製品である。W-ZERO3やW-ZERO3[es]もW-SIM対応端末であり、同じW-SIMを使い回すことができる。普段は、W-ZERO3[es]にW-SIMを装着しておき、音声通話やメールチェックを行い、ノートPCでインターネットにアクセスしたい場合は、W-ZERO3[es]からW-SIMを外してDDに装着すればいいわけだ。このように、1つの回線契約でTPOに応じて複数の端末を使い分けられることが、W-SIM対応端末(WILLCOM SIM STYLE)の魅力である。
DDは当初、W-SIMとのセット(つまり新規契約)のみで販売されていたのだが、2006年3月にDD単体販売がウィルコムストアで始まったので、早速購入した(価格は6800円)。
DDは43×54×12mmとコンパクトで、重量も約30g(W-SIM除く)と軽い。使わないときには、USBケーブルを折り曲げて本体に固定できるようになっているので、持ち運びにも便利だ。DDを利用してインターネットに接続する手順は簡単だ。DDにW-SIMを挿入し、ノートPCのUSBポートにDDを接続して、ダイヤルアップ接続を実行するだけだ。
W-SIM(RX410IN)の通信速度は最大128kbps(4xパケット方式対応)であり、3Gケータイなどに比べれば遅いが、高速化サービス「MEGA PLUS」(有償)を利用することで、ウェブブラウズやメール送受信などの体感速度が向上する。サイズの大きな添付ファイルをダウンロードしたり、Flashなどが多用されているウェブサイトを見るにはやや時間がかかるが、テキストと静止画中心のウェブサイトなら結構快適にブラウズできる。
また、W-SIM対応端末には、より高速なW-SIMが登場した場合、W-SIMを差し替えることで通信速度を向上できるというメリットもある。実は、W-OAM対応の新型W-SIM「RX420AL」が2006年12月19日に発売される予定だ。W-OAMとは電波状態に応じて変調方式を自動的に変更する技術で、W-OAM対応端末では、4xパケット方式での通信速度が最大204kbpsに向上する。通信速度が約6割高速になるわけで、体感的にもかなりの差が期待できる。W-OAMで嬉しいのは、通信料金は据え置きのまま高速化されることだ。もちろん、DDやW-ZERO3[es]でもRX420ALを装着すれば、高速化の恩恵を受けることができるので、筆者もRX420ALに機種変するつもりだ。
早いもので、学生時代にライターをはじめてからもう15年になります。以前から、PDAやサブノートなどのモバイル系デバイスが好きでしたが、最近興味があるのは二足歩行ロボット。2年前に二足歩行ロボットキット「KHR-1」を購入後、ロボットバトル大会にも何度か参加しましたが、ほとんどが初戦負けでした。しかし、ライター仲間3人でチームを結成して臨んだロボットサッカー大会では、2連覇を達成。公式戦では今のところ負け知らずです。
【使用製品】型番 DD(WS002IN) 購入時期 2006年3月 ウィルコム直販サイトの「ウィルコムストア」で購入。
【お気に入り度合いを一言で表現してください】小さくてかさばらないので、外出時に背負っているディバッグのポケットには常に入れてます。
【次回バトンを託すのは?】大島 篤さん
【次回の執筆者に一言】大島さんといえば、「見て分かるパソコン解体新書」や「3DCGでよくわかる パソコン解体全書」で有名ですが、大島さんがすごいのは、文章だけでなく、緻密で美しいテクニカルイラストもすべて自分で描かれていることです。こうしたテクニカルイラストを描かせたら、大島さんの右に出る人はいないでしょう。そんな大島さんが、どんなガジェットを紹介してくれるのか楽しみです。
【バトンRoundUp】START第1回:澤村 信氏(カナ入力派の必須アイテムとは?) →第2回:朽木 海氏(ウォークマンとケータイをまとめてくれる救世主とは?) →第3回:大和 哲氏(ケータイマニアのためのフルキーボードとは) 第4回:西川善司(トライゼット)氏(飛行機の友、安眠の友、ノイズキャンセリングヘッドフォン) →第5回:平澤 寿康氏 第5回:平澤 寿康氏(出張に欠かせない超小型無線LANルータ―) →第6回:石井 英男氏
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